太平洋を『架橋』するブリッジ・パーソン養成プログラム 夏学期・短期研修報告!
東京外国語大学では、7月23日から夏学期がはじまりました。夏学期は、集中講義とショートビジット(短期海外留学)の学期! 今回のTUFS Today では、2023年度より新しく開始した教育プログラム、大学の世界展開力強化事業(米国等)「太平洋を『架橋』するブリッジ・パーソン養成プログラム(TP-Bridge)」において夏学期前半に実施した短期研修を紹介します。
TP-Bridgeとは
今日のアジア太平洋では、安全保障上の不確実性や顕著な貧富の格差など、持続可能な地域の未来を創造するにあたって、国家間でも一国内でも多くの障壁があります。この困難な状況から脱却するには、個々の学術的・実務的分野で専門的な知見を創出・蓄積していくにとどまらず、多様な主体と問題が複雑に絡み合った現実を総合的にとらえ、かつ、現状にとらわれない柔軟な発想をもち、それによって諸分野の知見をつなぐ調整能力を身につけた人材の育成と輩出が求められます。
このような教育的課題に取り組むため、本学では2023年度より、大学の世界展開力強化事業(米国等)「太平洋を『架橋』するブリッジ・パーソン養成プログラム(TP-Bridge)」として、多様なアイデアと知見を取り込み言語・文化・専攻分野の違いを≪架橋≫して問題解決を導く創造的な調整能力を育む教育プログラムを推進しています。本事業では、専攻分野と文化的背景を異にする日本・米国・フィリピン・韓国の学生が、アジア太平洋という共通の地域に立脚し、文化的背景と専攻分野の相違を乗り越え、対話と協働を通して持続可能な未来を構想しうる調整能力の育成を目指しています。
その達成に向け、本事業は、1.オンライン・プログラム、2.オンキャンパス・プログラム、3.オンサイト・プログラムの3部から成る教育プログラムを、米国及びフィリピンの海外相手大学*から本学に実留学する学部生と、それらの大学に本学から実留学する学部生に提供しています。
*米国及びフィリピンの海外相手大学
サンディエゴ州立大学 / カリフォルニア州立大学ノースリッジ校 / サンフランシスコ州立大学 / ハワイ大学マノア校 / ネブラスカ大学カーニー校 / カリフォルニア大学リバーサイド校 / カリフォルニア大学アーバイン校 / フィリピン国立大学 / アテネオ・デ・マニラ大学 / デラサール大学
夏の短期集中研修報告!
異なる文化を肌で感じることにより国際理解を共に深めることを目的に、2024年7月20日(土)から8月3日(土)の2週間でカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)による日本研修を、7月23日(火)から7月26日(金)の4日間で韓国ソウルスタディツアーを実施しました。
カリフォルニア大学アーバイン校による日本研修
2024年7月20日(土)から8月3日(土)の2週間に渡り、TP-Bridgeプログラム連携校であるカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)から学生12名と教職員9名が参加し、「Building Binational Bridges(BBB)日本研修」を実施しました。
本BBB日本研修では、夏学期間中にも関わらず、本学からも延べ70名の学生がボランティアで日本文化紹介の機会を提供し、日米学生がさまざまに交流を深めました。
Week 1
UCI生が日本文化を体験するさまざまなイベントが実施され、本学学生がボランティアとして同行して、東京の今を共に体験しました。
(協力:学生サークル「TUFSジャパニーク」)
Week 2
本学キャンパスでのプログラムが実施されました。キャンパスツアーでは国際交流会館を含めた施設を見学し、本学講師による日本語授業の受講、本学学生サークルによる文化体験を実施しました。
Day 1:キャンパスツアー
Day 1~3:日本語授業
Day 2:UCI主催によるオープニングレセプション、日本文化体験
本学春名展生副学長の挨拶とレクチャー、UCI Dream CenterディレクターAngela Chenさんの挨拶、UCI教員のFernando Rodriguez先生による交流セッションが実施されました。
合気道体験(協力:合気道部)
茶道体験(協力:裏千家茶道部)
浴衣着装体験(協力:着付けサークル)
Day 3:日本文化体験
剣道体験(協力:剣道部)
書道体験(協力:TUFS留学生支援の会)
Day 4:レクチャー・プレゼンテーション
UCI弁護士による米国における移民政策に関するレクチャー
UCI学生による日本に関するビデオプレゼンテーション
Day 5:高校訪問
本学高大連携校である都立国際高校を訪問し、生徒との交流や、和楽器コンサートを楽しみました。
今回参加したUCI生は全員海外初体験で、日本の人の多さに驚くとともに、それでも街が綺麗なことや、電車に整然と並ぶ姿などに、とても驚き感動していました。日米双方の学生それぞれが様々な学びを得る充実した研修となりました。
韓国ソウルスタディツアーに行ってきました!
2024年7月23日(火)から7月26日(金)には、韓国ソウルのスタディツアーを実施しました。プログラムコーディネーターとスタッフが引率し、プログラム連携校からの留学生5名と、プログラム連携校へ留学する日本人学生5名の計10名が参加しました。
スタディツアーでは、日本、米国、フィリピンの学生が、個人観光ではなかなか行く機会のない日韓の関係について学ぶ博物館などを見学し、ソウル大学教員の講義を受け、韓国の学生と交流し、文化を肌で感じることにより、国際理解を共に深めることを目的としています。
参加学生は、TP-Bridgeプログラム連携校であるソウル大学キャンパス内にある宿泊施設に、留学生と日本人学生がペアになりツインルームをシェアして滞在しました。スタディツアーでは、個人観光ではなかなか行く機会のない日韓の関係について学ぶ博物館などを見学したり、ソウル大学にて教員の講義を受けるほか、韓国の学生と交流しました。
Day 1:西大門刑務所歴史館見学
ソウル到着後、西大門刑務所歴史館を見学し、日本統治時代に独立運動家達が投獄されていた歴史などを学びました。
Day 2:ソウル大学キャンパスにて
ソウル大学キャンパスにて、ソウル大学日本研究所のKi-Jeong Nam先生とHyojin Kim先生の講義を受け、ソウル大学の学生とともに昼食をとり、交流を深めました。
Day 3:人権博物館見学、ソウル大学にて講義
午前中に戦争と女性の人権博物館を見学しました。博物館職員に本学卒業生がいたことから、展示の背景や問題について細かな質問に答えてくれるなど、理解を深めました。
午後は再びソウル大学へ戻り、教育学部のKevin Kester先生の指導を受けている大学院生とともに昼食を取り交流を深め、大学院生2名によるプレゼンテーションと、Kevin先生のオンライン講義を受講しました。
Day 4:韓国文化体験、帰国
それぞれ帰国の準備をして、全員揃って無事帰国しました。自由時間には、皆でチマチョゴリを着る等、韓国文化を楽しみました。
参加した学生からは、普段目を向けない韓国の一面を知ることができたなどの気付きの声が寄せられました。本ツアーは参加者それぞれが、それぞれの立場から、様々な学びを得る貴重な体験となりました。
今からでも間に合う!秋学期・冬学期開講予定COIL型授業一覧
TP-Bridgeでは、オンライン・プログラムとして、米国・フィリピンの大学と繋ぐCOIL型授業*を実施しています。
* COIL型:オンラインを活用した国際的な双方向の教育手法(Collaborative Online International Learning)
米国・フィリピンの学生とともに授業を行い、実践的な英語を身につけるチャンスです。討論や意見交換をする機会もあり、テーマに対して多角的な視点に触れることができます。
今年度は、秋学期・冬学期に以下の授業の開講を予定しています。
- 【秋学期】「Postwar Japan, with a focus on politics and foreign relations」
◎担当講師:春名展生教授
19J3007 日本史・社会概論
◎カウンターパート:
カリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN):Dr. Jungliang Huang
◎シラバス
戦後日本において、政治と外交関係に焦点を当て、日本社会の進化を時系列で追跡する授業。その過程でアメリカの大学とのCOILを予定。 - 【秋学期】「[COIL] 国際教育と異文化間能力/International Education and Intercultural Competence」
◎担当講師:福田彩特任講師
19180032 多文化社会2 金曜2限
◎カウンターパート:
カリフォルニア大学アーバイン校(UCI) 担当講師:Dr. Fernando Rodriguez
フィリピン国立大学オープン・ユニバーシティ(UPOU) 担当講師:Dr. Roberto Figueroa
◎シラバス
異文化間能力について、アメリカ、フィリピン、日本の大学と共同で国際教育の実践を通して学ぶ授業。 - 【秋学期】「[COIL] Digital Platforms for Intercultural Communication」
◎担当講師:フィゲロア ロバート先生(UPOU)、福田彩特任講師
19180249 地球社会と共生2B 月曜5限
◎カウンターパート:
フィリピン国立大学オープン・ユニバーシティ(UPOU)、他
(調整中のため、諸々変更の可能性があります)
デジタルプラットフォームを利用して異文化間の会話に効果的に参加するための異文化コミュニケーションのための理論的理解と実践的能力を学ぶ授業。 - 【冬学期】「[COIL] Volunteer Fieldwork & Interview in Fukushima and Magazine Article Creation」
◎担当講師:福田彩特任講師
19180230 就業体験2 集中講義
◎カウンターパート:
カリフォルニア大学ノースリッジ校(CSUN) 担当講師:Dr. Junliang Huang
◎シラバス
参加者が福島を訪れ現地の人と交流し、2011年の震災で起きたことや現在の福島を学び、記事を作成しアメリカの学生に発表する授業。
秋学期の履修登録期間は9月30日(月)~10月7日(月)です。ぜひチェックしてみてください!
もっと知りたい方は…
TP-Bridgeプログラムについて詳しく知りたい方、最新情報やこれまでの活動について知りたい方は、プログラムウェブサイトをご覧いただくか、事務局までお問合せください。
Email:tenkai-bridge-coordinator[at]tufs.ac.jp
COIL型授業について詳しく知りたい方は、過去のCOIL型授業担当教員インタビューもご覧ください。
- [2020.9.16掲載] 太平洋を超えた日米COIL型オンライン授業 〜アメリカの連携大学教員にインタビュー〜
- [2022.6.30掲載] 日米学生コラボCOIL授業「開発援助」~教員・参加学生にインタビュー~