2024年12月20日(金)
第99回『時間を遡行する:ジョン・デュベの行儀作法書 Ukuziphatha kahleにおける「文明」と「伝統」』
◾️講演者:上林 朋広 氏(甲南大学 文学部英語英米文学科 講師)
◾️タイトル:時間を遡行する:ジョン・デュベの行儀作法書Ukuziphatha kahleにおける「文明」と「伝統」
◾️概要:本報告は、南アフリカ・ナタール州においてズールー語教科書で記述された現在と過去の行儀作法を比較分析し、ミッション教育を受けたアフリカ人エリートの人種隔離政策への対応の一端を明らかにする。具体的には、宣教団アメリカン・ボードの下で生まれ育ち、オーバリン大学に留学した、アフリカ人教育家ジョン・デュベ(John Langalibalele Dube, 1871-1946)がズールー語で執筆した行儀作法書Ukuziphatha kahle(英語タイトルGood manners 1928年初版、報告者が入手できたのは、1935年の第2版のみ)を検討する。デュベの著作は、ページを分割し、左にキリスト教化したズールー人の生活規範を記した「現在(Okwamanje)」、右に植民地化以前のズールー人の伝統を記した「過去(Okwemvelo)」を配置し、現れ方は異なるものの本質的な点で両者が連続していると説明する。本報告は、ページ分割という本書の特徴を時間的な遡行を可能とする機制として捉え、アフリカ民族会議(ANC)初代議長でもあるデュベの著作を読み解くことで、デュベが連続性を主張するために、現在と過去の慣習をいかに選択し、提示していったのかを明らかにする。
◆日時:2024年12月20日(金) 17時40分~19時10分(6限)
◆場所:ハイブリッド方式 対面(東京外国語大学 研究講義棟 107教室)& オンライン(Zoomミーティング)
◆使用言語:日本語
◆参加費:無料
【参加をご希望の方は、こちらより事前にお申し込みください。】もしくはQRコードより事前申し込み願います。
定員:対面110名 ・ オンライン300名
申し込み〆切:2024年12月19日(木)正午 ※ 定員に達し次第締め切らせていただきます。
※ Zoom情報は事前登録の際に登録したメールアドレス宛てに返信メールとして送られます。
◆共催:日本アフリカ学会関東支部
ご報告
第99回ASCセミナーは、ハイブリッド方式で実施し、22名の参加がありました(対面6名、オンライン16名)。
上林朋広 氏による南アフリカのズールー語の教科書に記述された現在と過去の行儀作法についてのご発表の後、参加者からアフリカ民族会議(ANC)や人種隔離政策との関連や言葉の用い方などさまざまな観点から質問がなされ、積極的な意見交換が行われました。
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