歴史と人権の深淵に触れ、対話の「架け橋」を築く ~TP-Bridge ソウルスタディツアー報告
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2026年5月3日(日)から5月5日(火)の3日間、大学の世界展開力強化事業(米国等)「太平洋を≪架橋≫するブリッジ・パーソン養成プログラム(TP-Bridge)」の一環として、韓国ソウルでのスタディツアーを実施しました。
TP-Bridgeは、日本・米国・フィリピンの学生が協働して国際理解を深める教育プログラムに取り組んでいます。今回のツアーでは、日韓関係に関する博物館の見学、ソウル大学教員による講義の受講、韓国の学生との交流を通じて学びを深めました。日韓関係を二国間の問題としてのみ捉えるのではなく、歴史、戦争記憶、戦時下における女性の人権、そして「和解」というテーマを、より広い視野から問い直しました。日本、アメリカ、フィリピン、韓国という異なる背景を持つ学生たちが共に学ぶことで、歴史をそれぞれの経験や関心に引きつけながら深く考える貴重な機会となりました。
準備と出発:自らの「問い」を携えて
参加したのは、プログラム連携校からの留学生9名と、今後連携校へ留学予定の本学学生6名の計15名です。
学生たちは出発前に、オリエンテーションに参加し、講義動画の視聴と、関連する論文を読み、事前学習に取り組みました。これらの資料をもとに、各自がコメントや質問を準備し、自分なりの「問い」を持ってソウルの地を踏みました。
Day 1:植民地の記憶
ソウル到着後、一行はまず「植民地歴史博物館」を訪問しました。展示の多くは韓国語でしたが、学生は各自翻訳ツールを活用して丁寧に内容を読み解いていきました。時には、日本語や漢字から読み取れる情報から、日本の学生が留学生に展示内容を解説する場面も見られ、互いに助け合いながら理解を深める初日となりました。
Day 2:ソウル大学での対話と「多層的」な学び
2日目は、韓国屈指の名門・ソウル大学を舞台に充実したプログラムが行われました。
キャンパスツアーと詩の読解
午前中は、ソウル大学の学生ボランティアによる案内で広大なキャンパスを巡りました。その後、同大学英語英文学科のYe Sul Oh先生による講義を受講。カシミールにルーツを持つ詩人Agha Shahid Aliの詩を題材に、close reading(精読)の実践やグループワークを行いました。学生たちは、言葉が持つ多層性や解釈の多様性に触れ、情報を急いで消費するのではなく、注意深く読み、考えることの意義を再確認しました。
「和解」をテーマとした合同授業と交流
午後は、日本研究所の南基正先生による「日韓の和解」をテーマとした合同授業に参加。授業は韓国語で行われましたが、学生はAI通訳システムを利用しながら受講しました。本学の学生とソウル大学の学生が隣り合って座り、言語や授業内容について教えあいながら学ぶ姿が印象的でした。
授業後には交流会が開かれ、食事を共にしながら、大学生活やそれぞれの関心について小グループで語り合いました。交流会後には、両校の学生が一緒に出かける姿も見られ、プログラムを超えた交流が生まれました。
Day3:証言に向き合い、継承を考える
最終日は「戦争と女性の人権博物館」を訪れました。学生たちはオーディオガイドを利用し、展示された証言や歴史的背景についてここに学びを深めました。見学後の博物館スタッフとのQ&Aセッションでは、戦争の記憶についての質問やコメントが寄せられました。
帰国後レポート:学びを「自分事」として引き寄せる
ツアーを終え、提出されたレポートには、歴史を単なる知識としてではなく、自分自身の学びや将来の進路、他者との関係構築に結びつけて考える姿勢が見られました。学生レポートから、学びの一端をご紹介します。
深く読む・考えることへの気づき
But now I see that history is not just a set of facts that you memorize and move on from. It is something that requires effort and attention if you actually want to understand the full picture. There are always perspectives that are left out or not emphasized enough and it is up to you to actually go and find them. (和訳:「歴史は、単に暗記して通り過ぎるための事実の断片ではないと今は分かる。全体像を真に理解しようとするならば、努力と注意が必要だ。そこには常に、省かれたり、十分強調されなかったりする視点が存在する。それを見つけ出すのは、自分自身だ。」)
対話・多様な視点への学び
Another thing I learned from the study tour was how important dialogue is, even when conversations become uncomfortable. There were moments where students had different opinions or emotional reactions to topics, but honestly I think hearing different perspectives was one of the most valuable parts of the experience.(和訳:「このスタディツアーで学んだもう一つのことは、たとえその会話が居心地の悪いものであっても、対話がいかに重要かということだ。特定のテーマに対して学生たちが異なる意見を持ったり、感情的な反応を示したりする瞬間もあったが、正直に言って、異なる視点を聞くことこそが、この経験で最も価値のある部分だったと感じる。」)
他者理解・将来への接続
歴史や互いの無知さがゆえに個人の関係性に亀裂が入ってしまうのはとてももったいないことだ。留学中は自分の無知さを自覚して常に相手の文化や背景を知ろうとする姿勢を保ちたいと思う。
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今回のスタディツアー実施にあたり、多大なるご協力をいただいたソウル大学の先生方、学生の皆さま、そして各訪問先の関係者の皆さま、学生たちの学びを支えてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。今年度も実りある形で実施することができました。
参照
本ツアーに関するお問い合わせ先
東京外国語大学
総務企画部 国際化拠点室(アゴラグローバル 2F)TP-BRIDGE 事務局
E-mail: tenkai-bridge-coordinator@tufs.ac.jp
