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2026年3月12日から21日にかけて、世界教養プログラム「ウズベキスタン・スタディツアー」が実施されました。担当教員の島田志津夫准教授と木村暁准教授の引率のもと、1年生18名、2年生5名の計23名が参加しました。特筆すべきは、中央アジア専攻の学生10名に対し、他専攻(ロシア、モンゴル、トルコ、ペルシア、英語、スペイン、中国、インドネシア、国際日本)から13名の学生が集まったという多様な顔ぶれ。それぞれの専門的関心を胸に、学生たちは10泊11日の濃密な学びの旅へと出発しました。今回のTUFS Todayでは、現地の学生との共同調査や世界遺産の見学、そして多文化共生の最前線を歩いた学生たちの瑞々しい発見の記録をお伝えします。

「知る」から「体感する」へ:ツアーの狙いと歩み

2016年度に始まったウズベキスタン・スタディツアーは、今回で7回目の実施となりました。本ツアーの目的は、「ウズベキスタンの協定校の学生との交流・グループ活動を通じて相互理解を図ること」、「世界遺産に指定されている歴史的な遺産を見学し、ウズベキスタンの文化遺産に直接触れること」、そして「多民族・多言語社会であるウズベキスタンを実地に見聞し、多文化共生の実情を理解すること」にあります。

本スタディツアーの目的や概要を説明する島田准教授

学生たちは出発前、1月と3月の2回にわたる「事前学習」に臨みました。第1回ではウズベキスタンの概要を学ぶとともにグループごとに調査テーマを決め、第2回では日本国内で文献などをもとに調べた事前調査の内容をプレゼンし、「実際に現地に行ってさらに調べたいこと、確認したいこと」を明確にした上で渡航しました。単なる観光旅行ではなく、自ら設定した問いの答えを探しに行く「フィールドワーク」としての側面を重視したプログラムとなっています。また、ツアーの最終日にはタシュケントの日本人墓地と資料館を訪れ、かつてこの地に抑留された先人たちの歴史を学ぶなど、両国間の深い繋がりや敬意の歴史を確認することも重要な柱の一つです。

渡航前の事前学習。調査テーマについてグループ毎にプレゼンをしました。

協定校との学生交流:タシュケント国立東洋学大学でのグループワーク

本ツアーの大きな柱は、タシュケント国立東洋学大学の学生との共同調査です。現地では本学から参加した学生とウズベキスタンの学生が7〜8名の混成グループを作り、3日間のフィールドワークを行いました。

タシュケント国立東洋学大学での学生交流
タシュケント国立東洋学大学での学生交流

調査テーマは「ナウルーズ(春分祭)」「ソ連時代以降に形成された文化」「言語景観」など多岐にわたり、事前学習で明確化した疑問点を現地で直接検証しました。例えば「食文化」をテーマにしたグループは、現地の学生と共に市場や家庭での実態を調査し、最終日にはその成果を大学で発表しました。言語の壁を越え、共に歩き、議論を深めることで、文献だけでは得られない生きた知見を共有しました。

タシュケント国立東洋学大学での成果発表

悠久の歴史を歩く:サマルカンド・ブハラの世界遺産見学

タシュケントを離れた一行は、古くからの歴史的遺産が残るサマルカンドとブハラを訪れました。

サマルカンドでは、サマルカンド経済サービス大学を訪れ、現地の学生と活発な交流を行いました。本学の学生とサマルカンド経済サービス大学の学生がそれぞれ自分たちの国や自身の専門について、英語でのプレゼンテーションを通じて紹介し合いました。交流したサマルカンド経済サービス大学の学生たちは観光学について学んでおり、プレゼンの後には彼らの案内でサマルカンドの象徴であるレギスタン広場やシャーヒ・ズィンダ廟群などの歴史遺産を見学しました。

サマルカンド経済サービス大学での学生交流。
英語でそれぞれの自国文化などについてプレゼンしました。
サマルカンド経済サービス大学での学生交流
サマルカンドの歴史文化遺産サイトの見学

また、サマルカンドでは民家訪問も行われました。学生たちは現地の家庭に入り、一緒に料理を作って食べたり、ゲームを楽しんだりするなど、現地のリアルな生活文化を肌で感じる貴重な体験をしました。

サマルカンドでは民家も訪問

その後、一行はサマルカンドを離れ、ブハラへと向かいました。中世の面影を色濃く残すブハラでは、カラーン・ミナレットやイスマーイール・サーマーニー廟などを視察し、教科書で学んだ歴史的建造物の圧倒的な美しさと、そこに刻まれた多層的な文化の重みを実地で学びました。

ブハラでの歴史文化遺産サイトの見学
カラーン・ミナレットやイスマーイール・サーマーニー廟などを視察

「多文化共生」の現場を歩いて:学生たちの気づき

報告会では、学生たちから鋭い考察が共有されました。

  • 主食の「ナン」が語る日常と伝統:  「バザールや食卓で、まず目に飛び込んできたのは山積みの『ナン』でした」と語る国際社会学部 中央アジア地域2年(参加時1年)の小野琳瑚さん。スーパーでは1枚4,000〜5,000スム(日本円で50〜60円程度)という安さで売られ、現地の学生も「安いからみんな食べるんだよ」と、その日常性を当たり前のように語ってくれました。しかし、一口にナンと言っても、ずっしりと厚みのあるサマルカンド産や、模様の美しいタシュケント産など、地域ごとに異なる伝統が刻まれていることを肌で感じました。
報告をする小野さん
  • 伝統とアイデンティティ: 「伝統文化を守るのは、政府ではなく私たち一人ひとりです」。タシュケントの若者への調査から、言語文化学部中国語専攻2年(参加時1年)の大竹誠一さんは興味深い結果を得ることができました。伝統刺繍のスザニを油絵で表現した現代アートや、宇宙飛行士の肖像が彩る美術館のような地下鉄駅。歴史と現代が交差する街角で、現地の学生23名に調査を行った結果、文化の保護主体として「国家」を挙げた者はゼロでした。全員が「社会や個人」の責任だと断言し、9割以上が「次世代へ受け継ぐべきもの」と回答。伝統を自律的に守り抜く若者たちの強い意志に、国家や民族のアイデンティティを象徴する「生きた芸術」の姿を実感しました。
報告をする大竹さん
  • ラマダンと共生: 「日没後、断食を終えた人々が囲む豪華な食事『イフタール』。その場には驚くほどポジティブな空気が流れていました」。言語文化学部インドネシア語3年(参加時2年)の福本航生さんは、ラマダン期の食文化を調査しました。水やデーツで胃を慣らし、礼拝を経てプロフ(ピラフ)を囲む一連の流れ。そこには、家族や友人はもちろん、疎遠だった人とも絆を再構築しようとする人々の姿がありました。「精神を成長させ、他者への共感を深める大切な機会」。プロフ専門店で出される大量の料理を残す現地の習慣にも驚きました。片言のウズベク語にも温かな称賛を贈ってくれる現地の人々の寛容さに触れ、深い交流を実感した調査となりました。
報告をする福本さん

異文化理解のその先へ

ツアーの締めくくりには、タシュケントの日本人墓地と資料館を訪れ、第二次世界大戦後のソ連政府による日本人抑留の歴史についても学びました。先人たちが現地の人々と誠実に向き合ってきた歴史に触れ、学生たちは両国間の深い敬意と友情を改めて確認しました。

日本人抑留者資料館の見学(タシュケント)

【Column:今年度の参加を検討している方へ】

  •  実施日程と訪問地:例年3月中旬に実施されます(2025年度は3月12日〜21日の10日間)。訪問先は首都タシュケント、世界遺産の街サマルカンドブハラの3都市です。
  • 参加資格とメンバー構成:中央アジア専攻に限らず、全専攻の学生が参加可能です。2025年度は参加者23名のうち13名が他専攻(ロシア、モンゴル、トルコ、ペルシア、英語、スペイン、中国、インドネシア、国際日本)の1・2年生で、多様な視点を持って活動しました。
  • 事前学習の重要性:渡航前の1月と3月に計2回の事前学習を行います。ここでグループごとに調査テーマを決め、文献等で調べた内容をプレゼンし、「現地で何を検証するか」を明確にしてから出発します。
  • 現地での交流スタイル:タシュケントでは日本語を学ぶ学生と、サマルカンドでは観光を学ぶ学生と英語でのプレゼン交流や街歩きを行います。現地学生と7〜8名の混成グループを作り、3日間のフィールドワークを行うのが大きな特徴です。
  • 多彩な体験プログラム:歴史文化遺産の見学だけでなく、民家訪問での調理・食事体験や、タシュケントの日本人墓地・資料館での抑留の歴史学習など、多角的な学びが用意されています。
  • 費用目安:約27〜28万円(※航空券込み、2025年度実績)。
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