今日のアフリカ
2026年10月
チャドがフランスとの軍事協力を再開
2026/10/17/Sat
10月13日、チャド大統領のマハマト・イドリス・デビィがフランスを訪問し、エリゼ宮でマクロン大統領と面会した。注目を集めたのは両国の軍事協力再開で、両首脳は「二国間軍事協力を発展させるための宣言」に署名した。
チャドは、2024年11月末、突如フランスとの軍事協力を破棄し、フランス軍を撤退させた。チャドは、マリ、ブルキナファソ、ニジェールのサヘル3国が2020年以降相次いでフランスとの関係を断絶するなかでも、継続して親仏の立場をとっていた。そのチャドが仏軍撤退を迫ったことは、フランスにとって大きな衝撃だった。
仏軍撤退以降、チャドはフランスに代わる軍事的パートナーを探し、UAE、トルコ、ロシアなどに接近した。今回のフランス回帰は、チャドがこれらの国々との間で、満足のいく安全保障の枠組を構築できなかったことを示している。
近年、チャドにとって、安全保障上の脅威は高まっていた。特に内戦が続くスーダンとの関係は深刻である。スーダン内戦においてマハマトは、UAEとの関係を考慮してRSFを支援してきた。一方、RSFは、ダルフールにおいて、マハマトを含めチャド政治エリートの多くを占めるザガワ人に残虐行為を繰り返している。当然ながら、RSF支持というマハマトの立場には、チャド国内で多くの批判がある。さらに、スーダンだけでなく、中央アフリカやニジェールとの国境付近でも、不安定化が指摘されている。こうした状況を踏まえて、マハマトはフランスへの回帰を決断したと見られる。
フランスにとっては外交的勝利と言えるが、フランス政府関係者は、反発を考慮して控えめな行動を心がけると表明している。チャド側からも、「フランス軍が撤退する前、チャドはフランスの県のひとつのようだった。今はより透明かつ強固な基盤の上に軍事協力ができると思う」とのコメントがでている(13日付ルモンド)。
フランスへの回帰といっても、チャドはUAEなど他国との関係を維持し続けるだろう。マハマトがフランスとの軍事協力を他国との天秤にかけること自体、フランスとアフリカとの関係が以前とは大きく変わったことを示している。(武内進一)
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ジョゼフ・カビラがコンゴ反政府組織トップに
2026/10/15/Thu
10月12日、コンゴ民主共和国東部の反政府武装勢力が再編され、前大統領のジョゼフ・カビラが代表に就任すると発表された。新組織「国家再編戦線」(Front pour la refondation de la nation: FRN)は、M23や「コンゴ川同盟」(Alliance fleuve congo: AFC)を包摂する形で結成された組織で、この日ゴマで行われた会見では、AFCトップだったナンガー(Corneille Nangaa)やM23幹部のビシムワ(Bertrand Bisimwa)、マケンガ(Sultani Makenga)らが、カビラとともに出席した。会見で、カビラは一言も発しなかったという(13日付ルモンド)。
カビラは2001~2018年に大統領を務め、2018年の選挙でチセケディにその職を譲った。不正の疑いが濃厚な選挙であり、チセケディはカビラが御しやすい人物として後継に選ばれた。しかしその後、チセケディはカビラ派を切り崩しながら自身の権力を確立し、それに伴ってカビラとの関係は悪化した。カビラはその後、南アフリカのヨハネスブルク大学で学業に専念するとして事実上の亡命生活を送っていたが、昨年4月に帰国。ゴマに滞在するようになった。チセケディ政権は、カビラが反政府武装勢力に協力しているとして、9月には欠席裁判で死刑判決を下している。
カビラはこれまでも事実上M23と協力関係にあり、今回の動きは驚きではない。しかし、前大統領が、正式に反政府武装勢力のトップに座ったことの意味は大きい。最近チセケディは憲法を改正して三選を狙う準備を進めており、これが反政府武装勢力側を刺激した可能性がある。
今回の動きは、米国が仲介するコンゴ東部紛争の和平プロセスにも当然波及する。東部紛争の主因をコンゴとルワンダの対立にあると見て、ルワンダに圧力をかけるのが米国の戦略だったが、カビラが反政府武装勢力のトップに座ったことで、コンゴの国内対立という様相が強まった。13日時点でコンゴ政府の正式な反応は報じられていないが、和平への道のりは見えないままである。(武内進一)
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エチオピア内戦の再発
2026/10/03/Sat
9月23日、エチオピア北部でティグライ人民解放戦線(TPLF)が空港など政府関連施設に攻撃を仕掛け、内戦が再び始まった。2022年に連邦政府とTPLFの間に結ばれた和平協定は、崩壊した。
今回の内戦は、2020~22年の内戦の単なる再発ではない。TPLFは、アムハラ人武装組織のFano、オロモ人によるオロモ解放戦線(OLF)、アファール人武装組織のUgugumo(アファール民族統一革命戦線:ANURF)などとともに「生存のためのエチオピア人民勢力同盟」(EPFAS)を結成し、国内の反政府武装勢力の統一戦線を組織した。
さらに、周辺国との関係がいっそう複雑になっている。エリトリアはTPLFを支援しており、10月1日、両国は国交を断絶した。アビィ政権に対して、アラブ首長国連邦(UAE)が支援し、軍事物資を供給している。スーダンのブルハーン軍事政権やエジプトは、反政府勢力側を支援するだろう。つまり、エチオピア内戦は、スーダン内戦と密接に連関して展開することになる。
ソマリア情勢との関係も複雑である。昨年末にイスラエルがソマリランドを承認したが、UAEもソマリランドに深く関与している。これに対して、トルコやエジプトはソマリア連邦政府側を支援している。こうした関係が、イエメン情勢とも連関していることは言うまでもない。
TPLFは先の内戦でかなりの戦力を失い、兵員も減少したと報じられている(9月26日付Africa Confidential)。エチオピア連邦政府が軍事的優位を持っていることは、おそらく疑いない。とはいえ、9月30日にはアジスアベバにドローン攻撃がなされたと報じられている(2日付ルモンド)。安価なドローンは広く普及しており、軍備で劣る側にとって、効果的な武器になる。
再開した内戦は長く続き、エチオピア国家の統合を深く傷つけるのではないだろうか。(武内進一)
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