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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2026年07月

チャドがICC脱退表明

2026/07/28/Tue

 27日、チャド政府は国際刑事裁判所(ICC)からの脱退を表明した。6月下旬に、ニジェール、マリ、ブルキナファソの三カ国が脱退を表明しており、それに続く動きである。  チャドの脱退の背景には、米国からの働きかけがある。ファドル(Abdoulaye Sabre Fadoul)外相は、脱退の決定が米国からの要請に従ったものだと述べた。7月23日、米国のガルシア(Frank Garcia)アフリカ担当国務次官補は、チャドに対してICCからの離脱を検討するよう電話で促した。米国は、ICC関係者への制裁と加盟国への離脱の働きかけの両面で、ICCへの圧力を加えている。  ただし、米国の働きかけだけが脱退の理由ではない。チャドには、ICCを恐れる理由がある。スーダン東部・ダルフールでの残虐行為に関する捜査が始まったからである。7月3-8日、ICCのカーン(Nazhat Shameem Khan)副検察官がチャドを訪問し、ダルフール紛争に関する捜査の一環で東部のスーダン人難民キャンプを訪れた。  ICCによるダルフールでの捜査は、2005年の第1次ダルフール紛争の際に始まり、すでに起訴、逮捕がなされている。2023年にスーダン内戦が勃発すると、ダルフールが再び戦場となり、数々の残虐行為が繰り返された。特に、2025年後半のエル・ファシェール陥落時には、準軍事組織RSFによって民間人の大量虐殺がなされた。これに対応して、ICCも捜査を再開したのである。  RSFは、主としてアラブ首長国連邦(UAE)によって支援されてきたが、その他にもエチオピア、ケニアなどのアフリカ諸国からも支持を得ている。チャドもまた、RSFに後方基地を提供してきたと指摘されている。これまで、ICCとチャド政府の協力関係は問題なく進んでいる。7月16日、カーン副検察官は国連安保理で、チャド政府の協力に感謝した。しかし、チャド政府は、RSFへの捜査が自国に及ぶことを警戒している。実際、スーダン市民社会から、UAEをはじめ、RSFへの協力国に対する告発がなされている。  ICCに対する警戒感があるところに、トランプ政権からの働きかけを受け、チャドがICC脱退を決断したと見てよいだろう。チャド政府は脱退に際して、それがICCの機能不全を指摘した(7月27日付ルモンド)。ICCの機能を限定的にしているのは、米国のような大国である。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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コンゴ民主共和国の「幽霊警官」

2026/07/20/Mon

 7月9日、コンゴ民主共和国で国家警察に関する監査が公表され、63,817人が「活動なし」あるいは「存在せず」だと報告された。この監査の内容は、シャバニ副首相が10日の閣議で報告した。警官の総数が157,886人であるから、4割が存在しないことになる。  実体がないのに名簿には名前が掲載され、給与が支払われ、その給与を誰かが受け取るというのは、コンゴでは、警官に限らず、軍人を含めた公務員一般の常態である。2025年7月以降、警察改革の一環で生体認証制度が導入され、それによって今回の数字が公にされた。  「幽霊警官」の実態が明らかにされたことは、一歩前進と評価できるかもしれない。実際の警官数が9万人程度だとすれば、人口が1億人に近づくコンゴでは、警官一人あたりの住民数が1000人程度になる。この数字は、EUの平均で289人(14日付ルモンド)、日本では300人程度であるから、コンゴの警官には大きな負荷がかかっていることになる。  警官をはじめ、コンゴでは公務員の汚職が蔓延している。その背景には、給与がまともに支払われないために、市民に寄生して生計を立てているという実状がある。公務員数の正確な把握は、適切な給与の支払いの基本である。給与が適切に支払われることが、公務員改革の出発点になる。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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マリとアルジェリアの緊張緩和

2026/07/14/Tue

 10日、マリはアルジェリアに対する空域閉鎖を解除すると発表した。また、自国に召還していた大使をアルジェリア勤務に復帰させることも合わせて発表した。アルジェリアも10日、召還していた駐マリ大使の復帰を発表。両国の関係改善の方向性が明らかになった。  長い国境を接する両国は歴史的に深い関係にあり、マリ北部の紛争もアルジェリアが調停に取り組んできた。その成果が2015年のアルジェ協定で、アルジェリアはトゥアレグ人武装勢力と太いパイプを持っている。しかし、2020年、21年にマリでクーデタが続き、アシミ・ゴイタをトップとする軍事政権が成立して以降、両国の関係は冷え込んでいた。ゴイタ政権はアルジェ協定を軽視し、2024年1月にはその廃棄を一方的に宣言した。  さらに、2025年4月には、アルジェリアが領空侵犯を理由にマリ軍のドローンを撃墜したことをきっかけとして、マリが領空を閉鎖し、両国が大使を召還する事態に至っていた(2025年4月8日付ルモンド)。  マリとアルジェリアの関係悪化に伴い、サヘル諸国同盟(AES)加盟国のブルキナファソ、ニジェールでもアルジェリアとの緊張が高まっていたが、今年に入って事態の変化を予感させる動きもあった。  2月には、ニジェール軍事政権トップのチアニがアルジェを訪問し、テブーン大統領と会談した(2026年2月17日付ルモンド)。ニジェールは、ナイジェリアからアルジェリアに達するトランスサハラ・ガスパイプラインの当時国として、アルジェリアと独自の利害を持つ。  今回のマリとアルジェリアの緊張緩和は、さらなる対立が利益にならないと両国が判断したことを意味するが、特にマリ側の要因が大きいと考えられる。国内のジハディストの活動が収まらず、4月には北部地域を奪還される苦境に陥るなかで、いつまでも北隣の大国と角突き合わせる余裕はない。今年4月の攻撃の際、ジハディストらはアルジェリアの仲介でロシア兵を国外に退去させたと伝えられている。マリ軍事政権としては、ジハディスト対策にアルジェリアの助力が不可欠である。  加えて、最近になって、マリ側を懸念させる情報が流通した。昨年4月にアルジェリア外務省高官がロシアを訪問して外務省や国防省の高官とマリ情勢について会談し、アシミ・ゴイタのやり方は誤りだとの見解で一致したという(Africa Confidential 2026年6月16日付)。Africa Corpsを所管するロシア高官が批判的に見ているとなれば、ゴイタ政権にとっては重大である。  アルジェリアにとっても、マリとの関係改善は、サヘル地域への影響力を取り戻す好機である。両国の関係改善が、サヘル三国をめぐる西アフリカの外交関係にどのような影響を与えるか、興味深い。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ソマリア平和維持軍の資金確保困難に

2026/07/12/Sun

 ソマリアで実施されてきたアフリカ連合(AU)による平和維持活動が、存亡の危機に直面している。7月1日、米国はAUに書簡を送り、国連ソマリア支援事務所(UNSOS)への資金提供を今期限りで終了すると通告した。  長年内戦が続いたソマリアでは、ケニアなど国際社会の関与によって2004年に暫定連邦政府が成立したが、実効統治に近づけるため、AUが2007年に平和維持軍(AMISOM)を発足させた。AMISOMは、その兵員をアフリカ諸国が提供する一方、ロジスティクス面(資金面)では欧米に依存した。その後AMISOMは、2022年にATMIS、2025年からはAUSSOMと組織名を変えた。平和維持活動が引き継がれたが、ロジスティックス面で欧米(特に米国)に依存する仕組みは変わらなかった。欧米など国際社会の提供する資金が、UNSOSを通じてAUSSOMに提供される仕組みである。  米国の通告は、2026年12月31日をもってUNSOSへの資金提供を終了する、AUSSOMのマンデート更新に反対はしないが、国連によるロジ面、作戦面の支援延長には反対するというものである。報道によれば、米国はソマリア連邦政府のパフォーマンスの悪さを問題にしている。内部対立を繰り返し、イスラム急進主義勢力シャバブとの戦いが進展していないと批判している。トランプ政権は、米国内のソマリア人移民を敵視する発言を繰り替えしており、それがソマリアに対する政策に影響した可能性も高い(7月8日付ルモンド、10日付アフリカ・コンフィデンシャル)。  米国の支援がなくなれば、AUSSOMの存続はきわめて難しくなる。AUは7月3日、この問題に関する緊急会合を開いた。米国の抜けた穴を中国からの支援で補う案などが議論されたと伝えられるが、具体的な展望は不明である(8日付ルモンド)。  ソマリアにおけるAUの平和維持軍は、これまで相当数の人的犠牲を払って連邦政府を守り、実質的にその治安部隊として機能してきた。その役割が失われれば、首都モガジシオがシャバブなど反政府武装勢力に武力で制圧されるシナリオも現実味を帯びる。ソマリアが紛争状態に戻れば、スーダン、南スーダン、エチオピア北部、またイエメンの紛争とつながり、混乱が広がる恐れがある。アフリカの角に、さらに不安定要因が加わった。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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