ナイジェリアのカルト集団、犯罪、政治家
2021/12/15/Wed
BBC Africa Eye(BBC 12月13日)が、ナイジェリアのカルト集団Black Axe(黒い斧)の世界的な犯罪の動向や、国内の著名な政治家とのつながりを内部告発者の資料や証言に基づいて報じている。Black Axeは、秘密の入会儀式やメンバーの強い忠誠心を特徴とする、地元では「カルト」と呼ばれる組織である。極端な暴力で悪名高く、ライバルとする他の「カルト」との抗争の中で、一般市民を含む多くの人々が殺害されてきた(Black Axe: Nigeria's Deadliest Cult - BBC Africa Eye documentaryも参照)。
Black Axeは人身売買や売春、薬物の取引に関わるが、主な収入源はサイバー犯罪であるとされる。その犯罪ネットワーク広く、30,000人を超えるメンバーがいるという証言があるだけではなく、世界中に拡散しているという。2017年、カナダ当局はBlack Axeと関わる50億ドル以上のマネーロンダリングスキームを摘発した。また、米国ではFBIのBlack Axeへの対策が2019年11月と2021年9月に開始され、最終的に35人以上を数百万ドル規模のインターネット詐欺で起訴している。
これらの行為は国内の政治家ともつながり、BBC Africa Eyeは内部告発者の文章から、エド州の著名な政治家が英米市民をターゲットとした相続詐欺に関与し、330万ドル以上詐取したことを検証したという。
Black Axeのルーツとなっているのは、約40年前にエド州の大学で設立された友愛組織である。現在も大学内での動きが活発で、主な加入者は16歳から23歳までの男子学生だとされる。学校におけるカルト集団の広がりは大学から拡散しており、先日は寄宿制の中学校で12歳の男児がカルトへの加入を断ったことを理由にリンチにあい殺害されたことが、ナイジェリアで大きなニュースになった(BBC 12月6日)。暴力の連鎖を一刻も早く止める必要がある。
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