エチオピア西部の治安情勢悪化とOLF
2019/04/02/Tue
2019年3月19日、エチオピア・オロミア州西ウォッレガ地方で、通行中の車両が身元不明の武装集団に急襲され乗員5名が死亡した。うち2名は外国人で、日本人が巻き込まれた可能性があると複数のメディアが報じている。
当該地域においてはとくに昨秋頃より治安情勢が悪化しており、それにはオロモ解放戦線(OLF)が関係しているとみられている。2018年7月、アビィ政権はOLFに対するテロ組織指定を解除し、その翌月には敵対行為禁止を含む合意を締結した。その際、ダウドOLF議長が亡命先のエリトリアにおいて署名を果たした。9月には同議長含むOLF構成員約1,500名がエチオピアに帰還した。 約20年ぶりにエチオピアに戻ったOLFを数万人もの支持者が歓迎した。
OLFの帰還に際し、アビィ首相は「武装した状態では誰一人として帰還させない。持参できるのは各自の旗のみだ」と述べるなど、非武装化が不可欠である点を強調した。しかしながら帰還後のOLFについて、非武装化されている人員は構成員総数の半数にも満たないとの指摘もある。2018年10月、エチオピア政府広報室長ら政府要人は「OLFの名のもと特定の武装勢力が西部で活動している」と同組織を非難し、即座の自主的な武装解除を訴えかけた。
このように非武装化をめぐって政府とOLFとの緊張が高じ、オロミア州西部で「連邦兵士によって強制的に非武装化が履行されるらしい」などといった情報が流れるなどした結果、10月下旬、オロミア州西部の主要地区(アンボ、ネケムテ、デンビ・ドロ などおよそ15町)で反政府集会が組織された。当初は平和裏におこなれれたものの、一部では連邦兵士を妨害するため道路封鎖が行われたり、手榴弾が使用されたとの報道もみられる。その後も同地域周辺の治安情勢は回復に至らず、昨年末までに幾度の道路封鎖のみならず州境近辺では爆撃事件も報告されている。
2019年1月、政府はOLF-SG(ダウド議長率いるOLFの一派)と和平調停を開き、即時停戦が合意された。オロモ地域社会のリーダーら(abba gadaa)を調停委員会に加えるなどといった進展はありつつも、依然として同地域の治安が回復したとは言い難い状況が続いている。政府とOLFの交渉の行方は同地域の治安情勢に即座に反映されるだろう。今後もその進展には注意が必要である。
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