30年に亘るスーダン・バシール政権が終焉を迎えた。4月11日、イブンオウフ第一副大統領兼国防大臣は、バシール大統領の拘束および退任を明らかにした。同氏が声明を読み上げる様子は同日、現地でTV中継された。そこでは、今後2年間を移行期間と定め、移行期軍事委員会が同期間の国家運営にあたる旨が説明された。また非常事態宣言、夜間外出禁止令、空域閉鎖等が併せて発表された。
食糧価格の高騰等を契機に昨年末から続いていたスーダン国民による粘り強い抗議運動は、国軍兵士を巻き込む恰好となり、ついには今般の政権転覆を呼び込んだ。しかしながら、市民のなかにはバシール退任を好意的に捉えつつも、軍事クーデターによってそれが成されたことを批判し、民意の反映される文民政権の樹立を目指すデモを続けるべきだと考えるものも少なくない。そのため、夜間外出禁止令に拘わらず、現在も座り込みの抗議運動を続ける市民が少なくないことが報じられている。
イブンオウフはバシールに長らく仕えてきた古参の一人であると言う。過去には軍事諜報部及び治安部門のトップを務めた人物である。さらに国際社会にとって重要なのは、彼がダルフールにおける暴力煽動及び人権侵害行為を担った一人として、2007年に米国から制裁を受けた経験を有することだろう。評価はおのずと慎重となるに違いない。
参考資料:
https://www.aljazeera.com/news/2019/04/awad-ibn-auf-face-sudan-coup-190411163025083.html
http://www.sudantribune.com/spip.php?article67356