エチオピア、首都等で政府抗議運動
2019/10/25/Fri
10月23日頃より、エチオピアの首都アディスアベバ、及びオロミア州のアダマ、ジンマ、ハラールなどの地方都市で、反政府抗議運動が展開された。この抗議運動による衝突で16人が亡くなった模様。
報道によれば、この抗議運動は、ジャワル・モハンメド氏の住居の警備を巡る騒動がきっかけの一つとなった。ジャワル氏は、エチオピア生まれ米国育ちのオロモ人であり、ニュース・メディア「オロミア・メディア・ネットワーク(OMN)」設立者の一人である。
ジャワル氏は、前政権(ハイレマリアム政権)の言論規制等に対して、メディアを通じて激しく批判してきた人物であり、現政権(アビィ政権)樹立時には、アビィの就任を支援するよう訴え、多くのオロモの若者に影響を与えた活動家としても知られている。ジャワルは、アビィ就任後に米国からエチオピアに居を移した。
今般の騒動は、夜分に、エチオピア連邦警察がジャワルの自宅を訪れ、警備員に対して警備を解除するように促したことに端を発する。ジャワルが、連邦警察への嫌疑をフェイスブックに投稿したことで、オロモの若者を中心とする1,000人超の支援者が、彼の自宅周辺に集まり、道路封鎖が行われる事態になった。警察は発砲し、催涙ガスを放つなどして混乱の収束を図ったものの、この騒擾が広く伝わり、オロミア州の地方都市等に飛び火した。人々は、抗議運動を展開し、アビィの辞任を求めて連呼したり、彼の近著を燃やすなどしたことも報じられている。
アルジャジーラ等によれば、同月22日、アビィは議会において「エチオピア・パスポートを持たない一部のメディア所有者ら」が、国内断絶の事態を弄んでいると指摘し、さらに平和を脅かすことになれば政府は対策をとると、不特定のメディアに対して警告していた。
アビィについては、ラディカルな改革を進め、エリトリアとの関係改善において手腕を発揮し、国際的に評価されてきた。一方、国内の諸民族間の対立が一向に収まらないことに対し、政府に不満を持つ市民も少なくない。今般の反政府運動の担い手の多くは、アビィと同じオロモの人々である。彼は支持基盤としてきたオロモの人々の信頼を失いつつあるのだろうか? ジャワル氏の今後の動向を含め、2020年5月に迫った選挙までの国内の動きに注視する必要がある。
参照サイト:
https://oromiamedia.com/category/news/
https://www.nytimes.com/2019/10/23/world/africa/ethiopia-protest-abiy.html
https://www.bbc.com/news/world-africa-50157385
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