10月10日のファイナンシャルタイムズによれば、金属取引会社のGerald Groupは同日、シエラレオネ政府に突然鉄鉱石の採掘許可を取り消されたと発表した。Gerald Groupは補償措置として、5億ドル以上をシエラレオネ政府に請求する意向である。最近になって、アフリカ政府のなかで、鉱物資源採掘企業に対する強硬な姿勢が目立つ。植民地期以降外国企業を優遇する措置が続いてきたとして、取引条件を見直す動きである。
タンザニアでは、2015年にマグフリ政権が誕生して以来、鉱山企業に対する圧力が強まっている。Acacia Mining社は、未払いの税として1800億ドルを請求され、金の輸出を禁じられた。ザンビアでも、インド資本のVedanta Resource社が保有するKonkola銅山に対して、政府が統制を強化している。コンゴ民主共和国では、近年鉱業法が改正され、税額が大幅に引き上げられた。結果として、Glencore社がコンゴでのコバルト採掘を停止する事態に至っている。
こうした動きの背景に、鉱物資源価格の高止まり傾向がある。中国経済減速後も、再生可能エネルギー技術において様々な鉱物資源が必要なため、コバルトや銅の価格はあまり下がっていない。これがアフリカ諸国を強気にさせ、自分たちは正当な利益配分を得ていないという意識が広まっている。
ファイナンシャルタイムズはアフリカ諸国のこうした動きに警鐘を鳴らし、資源ナショナリズムは投資意欲を減退させると指摘している。確かにその通りであろうが、アフリカ側からすれば適正な利益分配を求めるのは当然である。企業側の責任と知恵も求められる事態と言えよう。