選挙を前に中央アフリカ情勢が緊張
2020/12/20/Sun
12月27日に予定されている大統領選挙、国会議員選挙を前に、中央アフリカ共和国の情勢が緊張の度合いを高めている。先週半ば、中央アフリカ政府や国連PKOミッション(Minusca)は、前大統領のボジゼが国土不安定化工作を図っていると非難した。ボジゼは、2013年のクーデタで追放されたが、昨年帰国し、大統領選挙への立候補を申請した。しかし、今月初め、最高裁はボジゼを大統領選挙立候補者に不適格だとして、その申請を退けていた。
19日、広範な国土を支配下に置く3つの主要武装勢力が、同盟関係を構築すると発表した。北部を主たる活動領域とする「中央アフリカ愛国運動」(Mouvement patriotique pour la Centrafrique:MPC)、西部で活動するプール人の勢力「帰還、抗議、復興」(Retour, réclamation, réhabilitation:3R)、そしてボジゼ支持と言われる「アンチ・バラカ」(anti-balaka)の3つである。これら3つの組織は、「変革のための愛国者同盟」(Coalition des patriotes pour le changment:CPC)を結成し、統一の指揮下に入るとのことである。政府や国連は、この動きの背後にボジゼがいると見ている。
武装勢力は活動を活発化させており、これに対してMinuscaは、首都バンギ周辺のOmbella-Mpoko県に部隊を展開している。18日、グテーレス国連事務総長は中央アフリカの各勢力に対して、敵対状況を即時停止するよう、メッセージを送った。
内戦以降、国際社会の関与によって、中央アフリカでは何とか平和構築プロセスが進んできた。しかし、首都以外の地域では武装勢力が実効支配する状況が続いており、紛争後の国家建設が進んだとは言い難い。Minuscaには現在11,500人の要員がいるが、もし2013年のときのように、ある程度統合された武装勢力が首都に攻め込んでくれば、それを阻止することは困難だろう。
専門家の分析では、武装勢力の統合宣言は脅しの要素も強く、すぐに首都に攻め込む状況ではなさそうだという(19日付ルモンド)。しばらくは様子見が続くのだろうが、27日に予定されている選挙が実質的な意味を持つことには、悲観的にならざるをえない。
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