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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2021年05月

コンゴ民、ニーラゴンゴ火山避難民の困窮

2021/05/31/Mon

5月22日のコンゴ民主共和国東部のニーラゴンゴ火山の噴火で、溶岩が近隣の町ゴマの中心部近くまで達したため、政府の指示を受け約40万人の住民が周辺の町に避難した。約25km先の町サクには特に多くの人々が移動したが、ルワンダに国境を越えて避難した人々も多い。避難先には受け入れる場所や体制がないため、公的な施設や知人の家で過密状態で生活している人もいるが、まだ屋外で寝起きしている人も多いという。政府からは食事や清潔な水の支給はなく、トイレやシャワー、医療なども確保されていないため、病気の蔓延が懸念されており、既にサクではコレラ患者が発生している(BBC 5月31日)。チセケディ大統領は会見で状況は制御下にあると語ったが、同時に避難民の早すぎる帰還には慎重であるべきだとした(TV5 Monde 5月30日)。一方、噴火の後、地震が続き不安ではあるが、飢え死にするよりましだとゴマに帰り始める人々も出てきていると言う。  ニイラゴンゴ山は活発な火山でその地理的条件からアフリカで最も危険な火山とも言われている。それにも関わらず爆発の予測などができなかったのは、世界銀行からの経済支援が、昨年横領疑惑が浮上したために打ち切られていたことや、観測ステーションが窃盗や破壊行為に遭い、修理されないまま放置されていたことなどが背景にあるという(National Geographic 5月25日)。喫緊の避難民の困窮への対応だけではなく、根本的な問題に対して改善を図っていくことが今後必要とされるだろう。

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ドイツ、植民地期ナミビアでのジェノサイドを認める

2021/05/29/Sat

 28日、ドイツのマース(Heiko Maas)外相は、1884~1915年に植民地統治を行っていたナミビア(南西アフリカ)のヘレロ人とナマ人に対する行為を「今日の観点から見れば『ジェノサイド』であった」と認め、公式に謝罪した。「我々は、ナミビアと犠牲者の遺族に許しを請う」として、30年にわたる総額11億ユーロの開発、再建プログラムを提示した。同時にマース外相は、それが法的な意味での賠償ではないこと、今回の謝罪が法的な補償金支払い要求に道を開くものではないことも明言した。  20世紀初頭のナミビアでは、叛乱を起こしたヘレロ人とナマ人に対して、鎮圧に送られたドイツ軍のフォン・トロータ(Lothar von Trotha)将軍が絶滅政策を取った。20世紀初頭に人口の4割を占めていたヘレロ人は、現在は7%ほどに激減している。当時、殺戮のために用いられた手法には、強制キャンプのように、のちのホロコーストにつながるものもある。犠牲者の頭蓋骨は、人種的な科学実験のためにドイツに送られた。  この問題の処理は、ナミビアとドイツの間で長く懸案となってきた。ドイツは、和解のために、2019年にヘレロとナマの遺骨を返還し、当時の外相が「心からの許し」を請うた。ナミビア側はこうした対応を不十分として公式の謝罪と賠償を求めたが、ドイツは独立以来多額の援助を行ったことを理由にこれを拒否してきた。今回、ジェノサイドが行われたとドイツ側が認めたことは、ナミビア側からも「良い方向の一歩だ」と評価されている(28日付ルモンド)。  近年、植民地期の人権侵害が様々な形で光を当てられ、その克服が検討されるようになった。ドイツとナミビアの事例もその一環だが、「ジェノサイド」概念が重要な意味を持ったことが特徴的である。

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仏大統領、キガリ虐殺記念館で演説

2021/05/28/Fri

 27日、マクロン仏大統領がルワンダを訪問し、首都キガリのジェノサイド記念博物館で演説。1994年のジェノサイドにフランスが重大な責任を有することを認めた。明確な謝罪はしなかったが、ルワンダのカガメ大統領はこの演説を「謝罪よりも価値がある」と称賛した。  マクロンの演説は、ルワンダ語も織り込んだ、格調の高いものだった。内容的には、3月に刊行されたデュクレール報告書に沿っている。というよりも、報告書の刊行に際して、今回の演説まで考慮されていたと考えるべきだろう。実際、報告書の責任者ヴァンサン・デュクレールは、4月9日にキガリを訪問し、カガメと面会している。その際、カガメから、ルワンダのジェノサイドを防ごうと努力したとして報告書の中で言及された人々、特に軍関係者に面会したいとの希望が出され、5月中旬、アフリカ経済復興サミット出席のためにカガメがパリを訪問した機会に、軍関係者との会談が実現した(27日付ルモンド)。それを踏まえての今回のマクロンの訪問と演説であった。マクロン政権は、ルワンダとの関係改善のために、長い時間をかけて、周到に準備をしてきたと言える。  マクロンの訪問に合わせて、ルドリアン外相もキガリを訪問し、二国間協定を締結した。Covid-19のワクチン10万回分を提供するなどの内容で、地元紙はこちらも大きく報じている(27日付New Times)。  フランス国内では、政治家が異なる反応を見せた。左派のメランシャン(Jean-Luc Mélenchon)が、「認識を共有する」とマクロン演説を支持する姿勢を見せたのに対して、極右のルペン(Marine Le Pen)は、「誰も満足しない、謝罪の連鎖だ」と批判した。  ルワンダは、フランスのアフリカ政策にとって、長年の桎梏であった。マクロンのイニシャティブによって、両国の外交関係は改善へと向かった。フランスのアフリカ政策にとって、節目となる演説だと評価できよう。

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マリ軍、大統領、首相を逮捕、解任

2021/05/26/Wed

 5月24日(月)、移行政権のンダウ(Bah N'Daw)大統領とウアン(Moctar Ouane)首相が軍基地に連行され、その後二人の逮捕、解任が軍によって発表された。25日、副大統領のゴイタ(Assimi Goïta)大佐は、移行憲章に対する重大な違反があり、二人の特権を剝奪したと発表した。昨年8月に続き、またも軍が政治に介入する事態である。  この事態は、新内閣が発表された直後に起こった。マリでは、最近、労働組合のストライキによって首都が麻痺状態に陥り、14日には首相が辞表を提出した。大統領は辞表を受理し、すぐに首相を再任して、新たな内閣の組閣を命じていた。新内閣が24日に発表されたのだが、そこではカマラ(Sadio Camara)国防相とコネ(Modibo Koné)治安相が再任されなかった。  昨年のクーデタ直後に結ばれた「移行憲章」では、軍が4つの閣僚ポスト(国防、治安、領域行政、国民和解)を占めることが合意されていた。カマラとコネはクーデタの中心人物でもあり、軍を代表する役割を担っていた。ゴイタは、自分に相談なく内閣改造が行われたことは「移行憲章」に違反するとして、今回の実力行使を正当化した。  国際社会は、二度目のクーデタだとして反発を強めている。ヨーロッパ諸国は、「受け入れがたいクーデタだ」として反発を強めている。マクロン仏大統領は、大統領と首相の逮捕を非難するとともに、制裁を科す準備があると述べた。ECOWAS(西アフリカ経済共同体)は、25日、ジョナサン前ナイジェリア大統領をマリに派遣し、調停を開始した。  今回の事件は、移行プロセスから疎外されそうになった軍の反発で起こった。一方、昨年のクーデタ前の大衆運動で中心となった「6月5日運動ー愛国勢力結集」(M5-RFP: Rassemblement des forces patriotiques)は、月曜日に発表された新内閣には不参加を表明していたが、大統領と首相の解任後に組閣される内閣には参加するとの見通しもある(25日ラジオ・フランス・アンテルナシオナル)。状況が落ち着くまで、しばらく注視が必要だ。

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移民大量流入でモロッコ、スペイン関係緊張

2021/05/21/Fri

 17日(月)、モロッコ北部にあるスペインの飛び地セウタに8,000人の移民が殺到した事件は、ヨーロッパとモロッコ、そしてアフリカとの、移民をめぐる抜き差しならない緊張関係を改めて浮き彫りにした。この大規模な人流は、スペインが4月18日に、西サハラの解放組織ポリサリオ戦線のガリ(Brahim Ghali)書記長を国内の病院に入院させたことに対するモロッコの反発が背景にある(19日付ルモンド)。昨年12月トランプ政権は、モロッコのイスラエルとの国交樹立と引き換えに、西サハラへの領有権を認めた。モロッコは、ヨーロッパも同様の政策を取るよう要求を強めてきた。この文脈で、ガリ書記長の受入れに反発したのである。  モロッコは、トランプ政権の政策転換以前から、移民を利用してヨーロッパに圧力を加えてきた。20日付ルモンド紙によれば、2020年、スペインに流入する移民が急増した。難民危機が起こった2016年、スペイン経由でヨーロッパに流入した移民は13,246人で、これは全体の3.4%であった。ギリシャから入った移民は全体の45.6%、イタリアからが46.7%であり、スペイン経由の流入は割合としては僅かであった。しかし、2020年になると、スペインから流入した移民は41,861人に増加し、全体の42%を占めるに至った。これは、イタリア(34.3%)、ギリシャ(14.8%)を大きく上回る。  この年にスペインに到着した移民の55%(41,861人中23,025人)はカナリア諸島経由であり、1年間で753%増加している。西サハラ沿岸のこの島に渡るルートは、モロッコ軍によって厳しく統制されてきた。2020年、モロッコは意図的にカナリア諸島への人流の管理を緩めたと言える。モロッコをはじめ北アフリカ諸国は、ヨーロッパにとって移民管理のパートナーであり、協力関係なくして人の流れは管理できない。EUは、2014年以来モロッコに対して、移民対策のために3億4300万ユーロを提供してきた。しかし、これはモロッコから見れば、政治的に利用可能な資源に他ならない。

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パリでアフリカ経済復興サミット

2021/05/20/Thu

18日、フランス政府はアフリカ経済復興サミットを開催し、パリにアフリカ21か国の元首が集まった。コロナ禍のため、アフリカは四半世紀来の経済不振の只中にあり、特に債務救済の必要性が議論されている。2020年4月のG20で債務サービス停止イニシャティブ(debt service suspension initiative:DSSI)が発表され、債務利子の繰り延べで合意したものの、これには民間債権者が加わっておらず、実効性がないと批判されている。  現在、2021年に終了する同イニシャティブに代えて、民間部門や中国を交えた債務再編の共通枠組みが議論されている。今回のサミットにも中国副首相がTV会議システムで参加した。アフリカへの積極的な投資、援助の結果、中国はアフリカの幾つかの国で最大の債権国になっている。債務再編の共通枠組み構築への議論に中国を参加させたことは、今回の成果と言える。  マクロン仏大統領はまた、IMFの特別引き出し権(SDR)の配分を通じたアフリカ支援を訴えている。SDRが提供された場合、ハードカレンシーと交換できるため、債務救済には効果的である。IMFは加盟国に6500億ドルのSDR増額を行うとされるが、出資額に応じた配分となるため、増額分の多くは先進国に回り、アフリカ向けは337億ドル(サハラ以南アフリカ諸国向けに240億ドル)に過ぎない(18日付ルモンド)。マクロンは、先進国が1000億ドル分のSDR新規割り当てをアフリカ向けに再配分するよう訴えた。  今回のサミットで新たな資金的コミットメントは見られず(19日付ルモンド)、会議が目立った成果を生んだとはいいがたい。民間部門を含めた債務の「共通枠組み」がどの程度機能するか、またマクロンが主張するSDRの再配分に先進国がどの程度応じるのか、今後に持ち越された格好である。

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コンゴ民主共和国―コロナワクチンへの疑念

2021/05/11/Tue

 10日付ルモンド紙は、コンゴ民主共和国で、コロナワクチンに対する疑念が広がり、接種が進んでいないと報じた。首都キンシャサの病院では、接種を受けるほとんどが外国人だという。4月、コンゴ政府はCovaxの枠組みで受け取った180万回分のAstraZeneca社ワクチンのうち、130万回分を返還した。  コンゴでは、新型コロナウイルス感染症に対する誤った噂が飛び交っている。Covid-19は存在しないとか、金持ちや白人しかかからないと信じる者は少なくない。ワクチンを受けると不妊や不能になるとの噂もある。  フェイクニュースだけの問題でもない。コンゴ政府の発表では、コロナウイルス感染症による死者は772人である。マラリアで1万人、はしかで6千人が亡くなる中で、コロナの危険性を説得的に伝えるのは簡単ではないと、現地のUNICEFスポークスマンは述べている。  コロナは白人の病気だ、という考えはアフリカの多くの国で見られる。コンゴだけでなく、南スーダンやマラウイも、Covaxで入手したワクチンを期限前に使いきれず、廃棄する動きを見せた。一方で、コンゴが返還したワクチンは、中央アフリカ、セネガル、トーゴ、ガーナなどに提供された。こうした国々やルワンダなど、ワクチン接種が順調に進んでいる国もたくさんある。  ワクチンに対する疑念は、ポリオやエボラ出血熱でも同じように見られた。一般に、こうした疑念の背景には、政府に対する不信がある。お偉方は何かしら理由を付けて自分たちを騙し、私腹を肥やしてきた、それに乗っかるのはごめんだ、という人々の認識である。医療の問題は常に、統治やガバナンスの問題と深く関わっている。

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