タンザニア大統領が国内のコロナ問題を認める
2021/02/23/Tue
コロナ問題を重要視せず、祈りによって打ち勝ったなどとしてきた、タンザニアのマグフリ大統領が国内にコロナ問題があることを認め、国産のマスクをつけるなどの対策を呼びかけたことが報じられている(Aljazeera, 2月22日)。タンザニアの公式のコロナの感染者数は昨年4月以降509名で止まっており、大統領は「タンザニアにはコロナ感染者はいない」と謳ってきた。タンザニアではほとんどPCR検査がされず、現在ワクチンの接種なども計画されていない。一方で、国内には肺炎に近い症状の患者が多数いることも報道されている。また、最近では多数のタンザニアからの旅行者からコロナの陽性が検出され、政治的に重要人物の中でもコロナ感染が疑われる死者数が増加しているとされる。特に、COVIDへの感染を明らかにした後数週間で亡くなったザンジバル島の副大統領セイフ・シャリフ・ハマド氏は強いインパクトを与えた(BBC, 2月18日)。これらの状況の中で、WHOテドロス事務局長はタンザニアに国内の感染者数の公表や強い対抗施策を実行する必要を訴えた(Aljazeera, 2月21日)。今回の大統領のスピーチは、それらを受けてのこととみられる。
これまでナイジェリア・ガーナ・ルワンダなど他のアフリカ諸国では、コロナ対策のために大規模な教会礼拝を禁じるだけではなく、宗教によるコロナの治癒を謳った牧師の取り締まりを行うなどの施策を行っていたが、タンザニアのマグフリ大統領は信仰でコロナに打ち勝つことを謳い、国民に教会・モスクに礼拝に行くことを勧めるという特異な立ち位置にいた。今回の発言もマスクをつけるなどの対策を呼びかけると同時に、コロナ問題に対抗するために3日間の祈りを国民に呼びかけるなど、宗教と極めて近い立場からのものだった。このような立場からタンザニアがコロナ問題に対してその他の対策を打ち出していくのか、今後の動向が注目される。
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