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最新10件

スペイン領セウタに大量の移民が越境

2026/08/05/Wed

 7月30-31日にかけて、アフリカ大陸の北端にあるスペイン領セウタに、凄まじい数の移民が押し寄せた。セウタに隣接するモロッコの町から泳いで渡ってきた人々の数は、4万人とも6万人とも言われる。そのほとんどは、翌日にはモロッコに戻された。  膨大な数の人々の越境は、当然ながら、様々な問題を引き起こした。スペイン当局の発表では、80人近い人々が海で溺れるなどして死亡した。また、大量越境は、ヨーロッパ連合(EU)全体の安全保障問題として認識された。イタリアなど移民に厳しい姿勢を取る政権は、EUの「国境」が破られたことを問題視し、シェンゲン協定の自由通行圏からスペインを排除するよう主張した(3日付ルモンド)。  大量越境の背景として、次のような要因が指摘されている。1)スペイン最高裁が7月初め、海路でスペイン領にやって来た移民を直ちに送還しないよう命じた。2)4月、スペイン政府が50万人の非正規移民(サンパピエ)を正規化する政策を打ち出した。3)7月31日、モロッコ国王モハメドVI世が在位25周年の記念式典を開催したため、国境警備人員が不足していた。4)7月20日、スペインのサンチェス首相がアルジェリアを訪問した。  1)、2)によって、モロッコからスペインに渡りたいという人々の願望が刺激され、3)によって実効性が高まった、というわけである(4日付ルモンド)。4)は、モロッコと敵対関係にあるアルジェリアに接近したスペインを罰するために、モロッコが意図的に警備を緩めたという解釈である(7月31日付ルモンド)。  「国境が開いた」という噂がSNSで急速に広まり、膨大な数の人々がセウタへと泳ぎだしたことは事実である。しかし、何がきっかけになったのか、未だ正確にわかってはいない。  スペイン当局は、モロッコへの批判を避けている。一方、モロッコは、最高裁の判決が原因だとして、スペインを非難している。この事件によって、移民に寛容な政策をとってきたスペイン左派政権は、イタリア、デンマーク、フィンランドなどの右派政権から非難を浴び、移民政策をめぐるEU内の亀裂が露わになった。スペインと関係が悪い米国やイスラエルも、ここぞとばかりにスペインを非難した。  大量の越境がモロッコにとってどんな利益があったかは、よくわからない。移民が対ヨーロッパ外交政策のレバレッジになることが改めて明確になったが、それは以前からわかっていたことである。今回の事件を受けて、少なくとも短期的には、スペインも移民政策を厳格化する可能性が高い。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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チャドがICC脱退表明

2026/07/28/Tue

 27日、チャド政府は国際刑事裁判所(ICC)からの脱退を表明した。6月下旬に、ニジェール、マリ、ブルキナファソの三カ国が脱退を表明しており、それに続く動きである。  チャドの脱退の背景には、米国からの働きかけがある。ファドル(Abdoulaye Sabre Fadoul)外相は、脱退の決定が米国からの要請に従ったものだと述べた。7月23日、米国のガルシア(Frank Garcia)アフリカ担当国務次官補は、チャドに対してICCからの離脱を検討するよう電話で促した。米国は、ICC関係者への制裁と加盟国への離脱の働きかけの両面で、ICCへの圧力を加えている。  ただし、米国の働きかけだけが脱退の理由ではない。チャドには、ICCを恐れる理由がある。スーダン東部・ダルフールでの残虐行為に関する捜査が始まったからである。7月3-8日、ICCのカーン(Nazhat Shameem Khan)副検察官がチャドを訪問し、ダルフール紛争に関する捜査の一環で東部のスーダン人難民キャンプを訪れた。  ICCによるダルフールでの捜査は、2005年の第1次ダルフール紛争の際に始まり、すでに起訴、逮捕がなされている。2023年にスーダン内戦が勃発すると、ダルフールが再び戦場となり、数々の残虐行為が繰り返された。特に、2025年後半のエル・ファシェール陥落時には、準軍事組織RSFによって民間人の大量虐殺がなされた。これに対応して、ICCも捜査を再開したのである。  RSFは、主としてアラブ首長国連邦(UAE)によって支援されてきたが、その他にもエチオピア、ケニアなどのアフリカ諸国からも支持を得ている。チャドもまた、RSFに後方基地を提供してきたと指摘されている。これまで、ICCとチャド政府の協力関係は問題なく進んでいる。7月16日、カーン副検察官は国連安保理で、チャド政府の協力に感謝した。しかし、チャド政府は、RSFへの捜査が自国に及ぶことを警戒している。実際、スーダン市民社会から、UAEをはじめ、RSFへの協力国に対する告発がなされている。  ICCに対する警戒感があるところに、トランプ政権からの働きかけを受け、チャドがICC脱退を決断したと見てよいだろう。チャド政府は脱退に際して、それがICCの機能不全を指摘した(7月27日付ルモンド)。ICCの機能を限定的にしているのは、米国のような大国である。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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コンゴ民主共和国の「幽霊警官」

2026/07/20/Mon

 7月9日、コンゴ民主共和国で国家警察に関する監査が公表され、63,817人が「活動なし」あるいは「存在せず」だと報告された。この監査の内容は、シャバニ副首相が10日の閣議で報告した。警官の総数が157,886人であるから、4割が存在しないことになる。  実体がないのに名簿には名前が掲載され、給与が支払われ、その給与を誰かが受け取るというのは、コンゴでは、警官に限らず、軍人を含めた公務員一般の常態である。2025年7月以降、警察改革の一環で生体認証制度が導入され、それによって今回の数字が公にされた。  「幽霊警官」の実態が明らかにされたことは、一歩前進と評価できるかもしれない。実際の警官数が9万人程度だとすれば、人口が1億人に近づくコンゴでは、警官一人あたりの住民数が1000人程度になる。この数字は、EUの平均で289人(14日付ルモンド)、日本では300人程度であるから、コンゴの警官には大きな負荷がかかっていることになる。  警官をはじめ、コンゴでは公務員の汚職が蔓延している。その背景には、給与がまともに支払われないために、市民に寄生して生計を立てているという実状がある。公務員数の正確な把握は、適切な給与の支払いの基本である。給与が適切に支払われることが、公務員改革の出発点になる。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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マリとアルジェリアの緊張緩和

2026/07/14/Tue

 10日、マリはアルジェリアに対する空域閉鎖を解除すると発表した。また、自国に召還していた大使をアルジェリア勤務に復帰させることも合わせて発表した。アルジェリアも10日、召還していた駐マリ大使の復帰を発表。両国の関係改善の方向性が明らかになった。  長い国境を接する両国は歴史的に深い関係にあり、マリ北部の紛争もアルジェリアが調停に取り組んできた。その成果が2015年のアルジェ協定で、アルジェリアはトゥアレグ人武装勢力と太いパイプを持っている。しかし、2020年、21年にマリでクーデタが続き、アシミ・ゴイタをトップとする軍事政権が成立して以降、両国の関係は冷え込んでいた。ゴイタ政権はアルジェ協定を軽視し、2024年1月にはその廃棄を一方的に宣言した。  さらに、2025年4月には、アルジェリアが領空侵犯を理由にマリ軍のドローンを撃墜したことをきっかけとして、マリが領空を閉鎖し、両国が大使を召還する事態に至っていた(2025年4月8日付ルモンド)。  マリとアルジェリアの関係悪化に伴い、サヘル諸国同盟(AES)加盟国のブルキナファソ、ニジェールでもアルジェリアとの緊張が高まっていたが、今年に入って事態の変化を予感させる動きもあった。  2月には、ニジェール軍事政権トップのチアニがアルジェを訪問し、テブーン大統領と会談した(2026年2月17日付ルモンド)。ニジェールは、ナイジェリアからアルジェリアに達するトランスサハラ・ガスパイプラインの当時国として、アルジェリアと独自の利害を持つ。  今回のマリとアルジェリアの緊張緩和は、さらなる対立が利益にならないと両国が判断したことを意味するが、特にマリ側の要因が大きいと考えられる。国内のジハディストの活動が収まらず、4月には北部地域を奪還される苦境に陥るなかで、いつまでも北隣の大国と角突き合わせる余裕はない。今年4月の攻撃の際、ジハディストらはアルジェリアの仲介でロシア兵を国外に退去させたと伝えられている。マリ軍事政権としては、ジハディスト対策にアルジェリアの助力が不可欠である。  加えて、最近になって、マリ側を懸念させる情報が流通した。昨年4月にアルジェリア外務省高官がロシアを訪問して外務省や国防省の高官とマリ情勢について会談し、アシミ・ゴイタのやり方は誤りだとの見解で一致したという(Africa Confidential 2026年6月16日付)。Africa Corpsを所管するロシア高官が批判的に見ているとなれば、ゴイタ政権にとっては重大である。  アルジェリアにとっても、マリとの関係改善は、サヘル地域への影響力を取り戻す好機である。両国の関係改善が、サヘル三国をめぐる西アフリカの外交関係にどのような影響を与えるか、興味深い。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ソマリア平和維持軍の資金確保困難に

2026/07/12/Sun

 ソマリアで実施されてきたアフリカ連合(AU)による平和維持活動が、存亡の危機に直面している。7月1日、米国はAUに書簡を送り、国連ソマリア支援事務所(UNSOS)への資金提供を今期限りで終了すると通告した。  長年内戦が続いたソマリアでは、ケニアなど国際社会の関与によって2004年に暫定連邦政府が成立したが、実効統治に近づけるため、AUが2007年に平和維持軍(AMISOM)を発足させた。AMISOMは、その兵員をアフリカ諸国が提供する一方、ロジスティクス面(資金面)では欧米に依存した。その後AMISOMは、2022年にATMIS、2025年からはAUSSOMと組織名を変えた。平和維持活動が引き継がれたが、ロジスティックス面で欧米(特に米国)に依存する仕組みは変わらなかった。欧米など国際社会の提供する資金が、UNSOSを通じてAUSSOMに提供される仕組みである。  米国の通告は、2026年12月31日をもってUNSOSへの資金提供を終了する、AUSSOMのマンデート更新に反対はしないが、国連によるロジ面、作戦面の支援延長には反対するというものである。報道によれば、米国はソマリア連邦政府のパフォーマンスの悪さを問題にしている。内部対立を繰り返し、イスラム急進主義勢力シャバブとの戦いが進展していないと批判している。トランプ政権は、米国内のソマリア人移民を敵視する発言を繰り替えしており、それがソマリアに対する政策に影響した可能性も高い(7月8日付ルモンド、10日付アフリカ・コンフィデンシャル)。  米国の支援がなくなれば、AUSSOMの存続はきわめて難しくなる。AUは7月3日、この問題に関する緊急会合を開いた。米国の抜けた穴を中国からの支援で補う案などが議論されたと伝えられるが、具体的な展望は不明である(8日付ルモンド)。  ソマリアにおけるAUの平和維持軍は、これまで相当数の人的犠牲を払って連邦政府を守り、実質的にその治安部隊として機能してきた。その役割が失われれば、首都モガジシオがシャバブなど反政府武装勢力に武力で制圧されるシナリオも現実味を帯びる。ソマリアが紛争状態に戻れば、スーダン、南スーダン、エチオピア北部、またイエメンの紛争とつながり、混乱が広がる恐れがある。アフリカの角に、さらに不安定要因が加わった。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ベナン新大統領の地域外交

2026/06/27/Sat

 ベナンのワダニ(Romuald Wadagni)新大統領が、就任早々、活発な地域外交を展開している。5月24日に大統領就任式を終えると、6月初めにナイジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、トーゴ、コートジボワールを歴訪した。  歴訪の主目的は地域の緊張緩和で、特にニジェールとの関係改善がポイントである。2023年のクーデタで軍事政権が成立したニジェールに対して、地域機構の西アフリカ経済共同体(ECOWAS)は経済制裁を加え、ベナンもそれを積極的に支持した。その結果、国境は封鎖され、両国関係は著しく緊張した。昨年12月にベナンでクーデタ未遂が起こった際には、ニジェールの関与が疑われた。  ワダニは、大統領就任式にニジェールの首相、内相、国境地域で強い政治力を持つスルタンを招待したうえで、自ら首都ニアメを訪問し、軍事政権トップのチアニと会談した。結果として、6月20-21日、ベナンの最大都市コトヌをニジェールの治安担当大臣が訪れ、安全保障・国境協定に署名した。ニジェールはベナンに駐留するフランス軍の存在に神経を尖らせており、完全な和解とは言えないものの、両国関係は大きく改善した。  ワダニは今回の歴訪でブルキナファソを訪問し、トラオレ大統領と会談している。マリ、ニジェールとともにECOWASから脱退したブルキナファソへのアプローチも、西アフリカの緊張緩和という文脈で注目される。関係がよくなかった隣国のトーゴを訪問したことも、同様の文脈で重要な動きである(23日付Africa Confidential)。  これまで西アフリカでは、サヘル三国(マリ、ブルキナファソ、ニジェール)の軍事政権が反フランスを掲げ、ECOWASからも脱退して、域内の緊張を高めていた。三国に対してはトーゴが接近していたが、ナイジェリア、ベナン、コートジボワールはサヘル三国に厳しい態度を示してきた。こうした域内の構図が変化するかも知れない。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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グローバルなエネルギー危機とアフリカのEV

2026/06/24/Wed

 イラン戦争が引き起こしたグローバルなエネルギー危機が、アフリカではEV(電気自動車、電動バイク)への需要増となって現れている。東アフリカでは特にEVの利用が広がっているが、昨今のガソリン価格急騰がこれに拍車をかけている。  アフリカ各国で電動バイクとバッテリー交換事業を展開するSpiro社は、最近巨額の資金調達を続けている。22日には中国市場から5500万ドルの資金調達を発表した。ヨーロッパやアジアの中古車利用からアフリカのEV普及が始まると考えられていたが、中国製のEVや中国製部品を使ってアフリカで組み立てられたバイクの普及が急速に進んだ。モバイルフォンで起こったことがEVでも起きている。  ケニア、エチオピア、ルワンダなど、東アフリカを中心とするアフリカ各国は、次々にEV普及策を打ち出している。ルワンダでは、2025年1月に首都キガリでEV以外のバイクタクシーの新規登録を禁止し、EV販売は28%上昇した。バイクタクシーの主役は、急速に電動バイクになりつつある。  IEAによれば、アフリカにおける電気自動車の販売台数は、2023年の4000台から2025年には2万5000台へ急増した。その35%を中国メーカーのBYDが占めている。  アフリカをベースにするスタートアップも育っており、EV向けチャージスポットを提供するKabisa社は、ルワンダやケニアで事業を拡大させている。ケニアに本社を置く電気自動車用バッテリー・電気バイク製造のARC Ride社は、世銀のIFCなどから数千万ドルの資金調達に成功し、世界最大の電動二輪車メーカーである中国のYadea社とパートナーシップを結んだ。  Yadea社幹部は、ホルムズ海峡危機は「中国がアフリカのEV市場で支配力をいっそう強める機会を提供した」と述べている(22日付ファイナンシャル・タイムズ)。米国が引き起こした戦争が、中国の利益に繋がるという図式がここでも看取される。  一方、Spiro社の創業者でインド人実業家のGagan Gupta氏は、同社が先月アフリカで1万台の電動バイクを販売したとして、2027年には年間100万台の目標を掲げる。同氏は次のように述べている。「現在ほとんど中国でつくられているリチウムイオンバッテリーをケニアやナイジェリアで製造する企業が増えるだろう。アフリカの資源がアフリカで加工されることになる」。EVの構造は、内燃エンジンを搭載したガソリン車より単純だと言われる。最近、幾つかのアフリカの国々が見せているレアメタル輸出制限の動きと合わせて考えれば、それほど遠くない将来、自動車の生産拠点が大挙してアフリカに移ることもあり得るかもしれない。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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コンゴ民主共和国で大統領任期延長の動き

2026/06/17/Wed

 コンゴ民主共和国のチセケディ大統領が、任期延長に向けた動きを本格化させている。6月9日に下院が憲法改正案を採択し、15日には同案が上院を通過した。  2006年に制定されたコンゴの現行憲法には厳しい三選禁止条項があるが、今回の法案はその条項の変更ではなく、技術的な点の改正に留まる。しかし、国民投票を経て憲法改正がなされれば、チセケディのこれまでの任期がカウントされなくなり、新たな一期目の任期として次の大統領選挙に立候補できる。アフリカの多くの国々で、大統領の任期延長のために用いられてきた手法である。  任期延長のために憲法改正を利用するチセケディと与党の意図は明らかであり、抗議の声が高まっている。議会では野党が審議をボイコットしたし、12日にはキンシャサでデモが発生して2人が死亡した。  チセケディ周辺は今が任期延長のチャンスと見ているが、その背景には米国との関係がある。トランプ政権はコンゴ東部紛争を終わらせるとして、コンゴとルワンダの仲介に動いてきた。その動機はコンゴの稀少鉱物確保にあり、米国の民間企業をコンゴの鉱物資源開発に関与させるために、コンゴ寄りの姿勢を取っている。このタイミングであれば、任期延長に動いても米国は何も言わないとの計算があるようだ。憲法レファレンダムも、11月3日に予定されている米国の中間選挙前に実施されると見る向きが多い。中間選挙でトランプが負ける前に、さっさとレファレンダムを済ませようということである(16日付ルモンド)。  この状況は、平たく言えば、チセケディと与党が数の力で権力維持を図っているのだが、そこに米国との関係が深く影響していることがポイントである。国際関係とりわけパワーを持った国家との関係を利用して、自分たちの利益を最大化しようとしている。  チセケディの前職カビラも憲法を改正して三選を目指したが、激しい抗議デモに直面して諦めた経緯がある。トランプ政権の威を借りたチセケディは、これに成功するだろうか。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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南アフリカで反移民運動の高まり

2026/06/09/Tue

 5月以降、南アフリカで反移民運動の高まりが報道されている。5月27日には、ガーナ政府が飛行機をチャーターし、300人の自国民を帰還させた。ナイジェリア政府も自国民の帰還を準備している(5月30日付ルモンド)。  南アフリカには、アフリカ各国出身の移民が数多く生活している。その数は、約400万人(人口の6%程度)とも言われる(5月31日付ファイナンシャルタイムズ)。合法的に滞在する人も多いが、非合法に滞在する移民が自分たちの職を奪っているという考えが、南アフリカ人に広く流通している。  南アフリカの反移民運動は「ゼノフォビア」(外国人嫌悪)とも呼ばれるが、2008年、2015年、2019年など、これまで周期的に起こってきた。特に、選挙の際に政治家が反移民感情を煽ることが指摘されている。失業率の高さを移民のせいにして、取り締まりを強化すると訴えるわけである。  今回も、11月に予定されている地方選挙の影響が見て取れる。ジョハネスバーグ近郊のタウンシップ、ソウェトでは、野党ActionSAのマシャバ党首が選挙集会を開き、不法移民取り締まり強化を訴えた後に、移民が経営する商店に支持者が押しかけたという(5月31日付FT)。  6月5日付ルモンド紙は、反移民運動の指導者のひとりJacinta Ngobese-Zumaを紹介している。もともとクワズールー=ナタール州のFMラジオでズールー語のパーソナリティを務めていた。2025年3月以降、ダーバンで、不法移民取り締まり強化を訴える運動「March and March」を活発化させた。Facebookには87万人のフォロワーを持ち、反移民を訴える動画を相次いで投稿して若者から支持を集めている。ズマという名前だが、元大統領との親族関係はない。クワズールー=ナタール州から始まったMarch and Marchの反移民デモは、イーストロンドン、ヨハネスブルク、ブルームフォンテイン、ケープタウンなど、南アフリカ各地に広がっている。  アフリカ各国は、南アフリカへの非難を強めている。ガーナ政府はアクラに駐在する南ア大使を呼び出して抗議し、AUの会合でも問題化する意向である。反移民運動が、アフリカにおける南アフリカの指導力に重大なダメージを与えることは疑いない。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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マリとの関係を深めるトルコ

2026/06/06/Sat

 2日付けルモンド紙は、トルコが軍事物資の提供や軍事協力を通じて、マリやサヘル諸国との関係を深めていると報じている。最近、トルコとマリの間では、装甲車、光電子工学システム、監視システム、地雷除去装置、軍人トレーニングなどに関して、数多くの二国間協定が結ばれた。  両国の関係強化は、最近になって加速している。理由のひとつは、ロシアの影響力低下である。4月にジハディストの攻撃で軍事政権側が深刻な被害を受けたことで、マリ市民からロシアへの批判が高まった。ロシア兵がジハディストらの攻撃の前に無力だったからである。これがトルコの進出を後押しした。  過去10年間に、トルコとマリの貿易は3倍以上に増加した。きっかけのひとつはエルドアン大統領のマリ訪問(2018年)であった。2024年の貿易では、最大の輸出品は武器・軍事用品で、総額の約20%を占めた。それに電子機器、工作機械、穀物などが続く。  2025年11月、マリで防衛治安国際サロン(Bamako Expo: Bamex)が開催され、トルコの防衛産業が参加した。この催し物は、トルコ側が主導してが開催し、防衛電子産業のAselsan、ミサイル製造のRoketsan、武器製造MKE、ドローン製造のBaykarなどトルコの主要企業が参加した。マリ軍部やサヘル諸国指導者を前に、トルコ企業が技術を売り込む機会となった。  マリでは、軍事政権がフランスとの関係を断つなかで、ロシア、中国、トルコなどとの関係が深まった。関係強化の梃子となっているのは、マリ側が渇望している軍需用品である。ロシアと違って、トルコがマリに派兵することは当面ないと見られるが、軍事顧問を送り、訓練に協力することは十分にあり得る。すでにナイジェリアに対しては、そうした協力を進めているようだ。  紛争影響国は軍事物資に対する需要が大きいので、それを中心に対外関係が構築されやすい。トルコはソマリアに対しても関係を強化しており、軍事拠点を置いている。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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