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最新10件

ナミビア、Starlinkのライセンス申請を却下

2026/04/01/Wed

 ナミビア政府は3月23日、アメリカの実業家イーロン・マスク氏率いるSpaceX社の衛星インターネットサービス事業、Starlink(スターリンク)の同国内展開のための申請を却下したと発表した。  スターリンクは、数千基の低軌道衛星を介して世界中の遠隔地に高速インターネット接続を提供しており、現在、世界150以上の国、アフリカ諸国では約25か国で事業を展開している。  ナミビア通信規制局(CRAN)によると、スターリンクの通信事業ライセンスおよび無線周波数帯域へのアクセス申請があったものの、同社は通信法で定められた6つの基準のうち3つしか満たしていなかったという。同社は、ナミビアの国民または現地企業が少なくとも51%の所有権を有することを義務付ける法定要件を満たしておらず、国家防衛および公共の安全上の理由から、スターリンクの外資所有100%というビジネスモデルが、管轄権および法令遵守義務の履行可能性に関して重大な規制上の懸念を生じさせると述べている(3月24日付BBC、25日付ナミビアン、APA、ウィントフック・オブザーバー)。  CRANの発表を受け、イライジャ・ングラレ首相は、外国投資家はナミビアの51%の現地資本比率要件を遵守しなければならないと主張し、「我が国に来る者は誰であれ、我が国の法律を遵守しなければならない。個人が権力を持っているからといって、法律を曲げることはできない」と加えている(25日付ナミビアン)。  隣国、南アフリカに目を向けてみると、スターリンクは同国でもライセンス取得に失敗しており、参入を阻むのは所有権に関する同国の規制であった。南アフリカでは、アパルトヘイト政策下で不利な立場におかれていた黒人への経済活動をうながす、黒人経済力強化政策(BEE)がとられている。この政策には、投資家に対し、南アフリカ国内の黒人企業に事業の30%の株式を付与することを義務付ける法律の制定も含まれている。  24日付BBCによると、昨年、マスク氏はソーシャルメディアへの投稿で、「私が黒人ではないというだけの理由で、南アフリカでの事業展開を認められなかった」と主張し、BEEが外国投資の障壁となっているとして、同政策を強く批判したという。  ナミビアに話を戻すと、同国は1884年から1915年までドイツの植民地支配を受け、その後1990年に独立するまで南アフリカの委任統治下にあり、アパルトヘイト体制が敷かれていた。独立後は、企業における地元資本の拡大とこれまで不利益を被ってきた人びとの経済的自立を支援することを目指す政策、新公平経済エンパワメントフレームワーク(NEEEF)がとられているが、今回焦点となっている通信法との関連は言明されていない。NEEEFはナミビア版BEEとも言われるが、NEEEFの支援対象は、黒人だけでなく、女性や障害者なども含む。  CRANは、決定はまだ再検討される可能性があると述べており、「自らの判断、または訴訟手続きにおける不服のある当事者からの申し立てに基づき、本通知から90日以内に、下した命令または決定を再検討することができる」として、猶予をのこしている(24日付BBC)。今後、どのような動きがスターリンク側からあるのか、引き続き注視する必要があるだろう。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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軍事産業の拠点としてのモロッコ

2026/03/23/Mon

 軍事産業の生産拠点としてモロッコが注目を集めている。2025年、カサブランカ近くの町ベンスリマン(Benslimane)に、2つのドローン製造工場が建設された。トルコのバイカル社の現地子会社Atlas Defense社と、イスラエルのBluebird Aero Systems社の投資である。  インドも軍事産業をモロッコに投資する意欲を見せている。2月末には、インド大使がインドの軍事産業MKUグループがモロッコに投資すると発表した。オプトエレクトロニクスシステムなどを製造する見込みである。  フランス政府も投資促進に熱心で、1月末には防衛産業の使節団が首都ラバトを訪問した。装甲車の現地生産に向けた議論が始まったと伝えられている。米国のロッキード・マーチン社も、輸送機C-130や戦闘機F-16のメンテナンスセンターをモロッコに開設した。  2025年11月、ルディ国防担当相はモロッコ議会で、2021年以降防衛産業に対して少なくとも10のプロジェクトに2.6億ドルの投資がなされたと説明している。投資呼び込みのため、モロッコは武器の輸入、輸出、取引、移送をカバーする法律を制定し、法整備を行った。自動車や航空産業の基盤があり、民生技術を利用できる産業上のエコシステムが存在することもモロッコの強みだとされる(3月20日付ルモンド)。  ストックホルム国際平和研究所(Sipri)によれば、モロッコは2021ー25年の合計でアフリカ最大の武器輸入国である。米国、イスラエル、フランスなどから武器を輸入しており、軍事産業の誘致によって、技術移転や自らの製造能力強化に期待している。  Sipriの報告書は、2021-25年の動きについて、ヨーロッパでは武器取引の大幅な増加があった一方、アフリカでは減少したと指摘している(3月20日付Jeune Afrique)。前者はウクライナ戦争の影響、後者は経済危機の影響と考えられる。そのなかでモロッコは武器輸入を増やしており、その重要な背景は隣国アルジェリアとの緊張関係の高まりである。アルジェリアもまた、ロシアなどから大量の武器を購入している。マグレブ二ヵ国の緊張がグローバルな武器市場と結びつく形で高まっていることは、大いに懸念される。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ODAと自国企業の利益

2026/03/22/Sun

 3月16日付ルモンド紙に、フランスの援助政策に関する共同意見が掲載された。元世界銀行幹部、議員、大学教授など11名によるもので、援助政策の転換を求めている。興味深い内容なので、以下紹介する。  グローバルな競争が強まるなか、ODAは自国企業を支える正当な道具である。これまでODAはしばしば、遠く離れた地域で何をやっているのかわからず、無駄だと批判されてきた。つまり、そこから利益を得るのは外国だけだと見なされてきた。  ODAの一義的なミッションは、貧困削減にある。この考え方は、倫理的な問いに対応するだけでなく、明確な利益にも答えるものだ。急速に人口が増加するアフリカのような地域が経済発展に失敗すれば、統御できないリスクに晒される。一方、ODAはフランスの影響力にとって核心的な道具である。アフリカにおけるフランスの影響力は、大いにこの道具と結びついている。フランスの影響力低下を嘆きながら、ODAの削減を要求するのは矛盾している。  財政的制約があるのは確かだ。単にばらまくのではなく、本当に必要なところに集中すべきだ。それはまず、サヘルである。サヘルは、フランスが責任を果たすべき歴史的地域だ。広義の地中海地域やインド・太平洋地域では、フランスは中国に対する信頼できる代替策を提供すべきだ。その他の地域への提供は、もっと軽くてよい。  ODAの提供にあたっては、民間資金の動員という観点を重視すべきだ。公的資金を触媒にして、インパクトを最大化すべきだ。このテコの原理を作用させるために、支援の結果に対する厳密な評価が必要になる。  これまでフランスは、ODAとプロジェクト・ファイナンスを結びつけることを、倫理的観点から逡巡してきた。国際的競争が強まるなか、この逡巡は美徳ではなくハンディキャップだ。ODAをわが国企業支援の道具とすることは、正当で、戦略的で、必要だ。パートナー国にも、わが国企業にも利益になり、世界におけるフランスの位置取りに不可欠だ。  以上が共同意見の概略である。トランプ政権下の米国だけでなく、フランスなど欧州諸国でもODAを削減する動きが顕著になっている。そうしたなかでこの共同意見は、援助を単に削減するのではなく、対象を絞り、自国企業に資する形で戦略的に利用することを求めている。  この議論が興味深いのは、日本の経験を彷彿とさせるからである。日本はもともと自国企業を利する形でODAを利用してきたが、高度成長期にヨーロッパ諸国から批判を受け、「ひも付き援助」の削減に取り組んだ。しかし、近年では経済界の要請を背景に、それをまた復活させる動きがある。上の議論は、日本の動きを後追いしているようにも聞こえる。「選択と集中」を謳うところも既視感があるが、サヘルが最初に来るところは面白い。  今後、援助のビジネス化は世界的な潮流となるのだろう。そこでは「ビジネスと人権」の観点からの関与がいっそう必要となる一方、平和構築のようにビジネスが対応しにくい分野に関する議論が不可避になる。ビジネスの観点からサヘルにどう対応するのかは、それが可能かどうかを含めて、日本にとっても大いに参考になろう。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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セネガル議会が反同性愛法を採択

2026/03/15/Sun

 3月11日、セネガル議会は反同性愛法を採択した。この法律では、同性愛行為に禁錮5~10年を科すなど厳罰化した。セネガルでは最近、同性愛の抑圧が進められている。その背景について、12日付ルモンドの記事が若干の解説を提供している。  ウスマヌ・ソンコ首相は、反同性愛を主張するNGOのJamraや宗教団体のAnd Samm Jikko Yiから強い圧力を受け、法案提出に至った。ソンコは政権に就く前、マッキー・サル政権に対する批判のひとつとして、同性愛の容認を挙げていた。大衆の多くが同性愛はヨーロッパから持ち込まれてものだと考えるなか、フランスからの自立や「主権」を強調するソンコの主張は、反同性愛を主張するグループとの相性がよかった。政権に就く前の2022年、ソンコはこうした保守派に対して、「同性愛を犯罪とする法律は、優先事項のひとつだ」と約束している。  ただし、彼が実際に同性愛対策を重要な優先政策と考えたかどうかはわからない。彼自身2024年には、同性愛は受け入れられないが許されるべきだ、と発言している。  セネガルは現在、マッキー・サル政権期の隠し債務が発見されるなど、経済危機状況にある。2024年に政権を獲得したソンコや与党のPastefにすれば、多くの公約が進まないなかで、同性愛取り締まり強化はコストがかからず、強調してきた「主権」や「反欧米」のレトリックを用いて、与党への支持を高めうる(12日付ルモンド)。  近年アフリカでは、ケニア、ガーナ、ウガンダ、ブルキナファソなど、多くの国で反同性愛の動きが観察される。この動きの背景には欧米の宗教右派によるキャンペーンの影響もあるが(2025年5月16日付および11月20日付ルモンド)、それだけでなく「反欧米」、「反植民地主義」という動因が作用していることは重要である。  アフリカ諸国における反同性愛法は、その起源を辿ると、植民地期にヨーロッパ宗主国が制定したものだと言われる。近年のLGBTQ+権利強化運動の一環がアフリカ諸国にも及び、権利強化に向けた先進国からの働きかけが強まったとき、そうした介入への反発が「反植民地主義」思想と一体になって噴出し、規制強化、厳罰化の動きになっていると考えられる。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ココ・ネットワークス社の破綻

2026/03/12/Thu

 ケニアの代表的なスタートアップ企業ココ・ネットワークス社が破綻した。2014年に設立されたココ社は、気候変動対策として導入されたカーボンクレジットを利用して注目され、マイクロソフト社やグローバル商社のVitolなどから出資を得た。また、世界銀行系列のMIGA(Multilateral Investment Guarantee Agency)の投資保証も獲得した。  ココ社は、調理用レンジとバイオエタノール燃料を販売し、人々が木炭や薪を使わずに調理することで温室効果ガス削減に貢献すると謳っていた。国内に3,000カ所のバイオエタノールの販売所を持ち、130万以上の顧客を抱えていた(2月19日付JETROビジネス短信)。  ココ社は、調理用レンジを85%割引で販売し、燃料もコストの半分以下で販売していた。安価な設定で顧客数を増やし、値引き分を埋め合わせるためにカーボンクレジットを利用しようとしたのだが、ケニア政府はその発行を認めず、破綻につながった。ココ社だけでケニア政府の発行分を使い切ってしまうため、発行できないというのが、政府側の言い分である。  ケニア政府が承認しなかった理由については政権内の対立を指摘する声もあるが、ココ社のビジネスモデルに問題があったとファイナンシャルタイムズ紙は指摘している(3月10日付)。論点の一つは、ココ社の調理用コンロを利用することで、どの程度温室効果ガスが削減されるのか、という問題である。  ココ社は、顧客世帯のほとんどが炭や薪から調理コンロに変えたとの想定で温室効果ガス削減量を推計し、カーボンクレジット要求の根拠としていた。しかし、2019年の家計調査では、ケニアの都市部で炭や薪を使って調理する世帯は、既に半分以下になっている。ココ社の顧客の多くは、他社が提供する調理用燃料からココ社の燃料に変えたのであって、炭や薪からではないという指摘がある。また、顧客はココ社の調理用レンジを購入しても、バイオエタノールの価格が上がれば使用を止める、とも言われる。世帯あたりの二酸化炭素削減量は、ココ社の主張の3分の1程度だったとみられる。こうした指摘に反証するデータを、ココ社は公開していない。  カーボンクレジットはビジネスを通じた気候変動対策として注目を浴びているが、話はそれほど簡単ではない。ココ社の事例から言えるのは、透明性の高い正確なデータに基づいてビジネスがなされる必要があるという基本的な真理である。(武内進一)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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米国がルワンダ軍に制裁

2026/03/05/Thu

 2日、米国財務省は、昨年12月4日にワシントンで結ばれた和平協定への違反を理由に、ルワンダ国軍と4人の軍幹部に制裁を科すと発表した。過去30年以上にわたって、アメリカはルワンダのカガメ政権を強力に支持してきた。この制裁措置は、アメリカの政策転換と、そのコンゴ民主共和国寄りのスタンスを明示している。  周知のように、ワシントン和平協定以降も東部コンゴの戦火が止まず、ルワンダが支援するM23の進軍が続いたが、この間ルワンダとコンゴはお互いに戦闘継続の責任を押しつけ合ってきた。M23の攻撃を非難するコンゴ側に対して、ルワンダ側はコンゴが依然としてFDLR(東部コンゴで活動する反ルワンダ勢力)を支援し、ワザレンドゥと呼ばれる民兵や傭兵を利用した攻撃を止めないためだと反論してきた。今回の制裁は、アメリカがルワンダの言い分を認めないと、態度を明確にしたことを意味する。  制裁の影響は大きい。これにより、米国内の資産が凍結されるほか、あらゆる資金取引が事実上禁止される。銀行間決裁システムSwiftからも排除されることになる。  ルワンダは、世界最大の国連平和維持部隊提供国であり、南スーダンや中央アフリカに部隊を派遣している。また、二国間協定を通じて、モザンビークや中央アフリカに派兵している。今回の制裁措置は、ルワンダ軍の国外派遣に影響を与えずにいないであろう。  米国の制裁は、コンゴのチセケディ政権にとっては外交的勝利と言える。それと符合するように、ここ数週間、コンゴ軍によるM23支配地に対する攻撃が激化している。世界最大のコルタン産出地ルバヤ(Rubaya)鉱山地帯では、コンゴ軍によるドローン攻撃が激化し、2月24日にはM23のスポークスマン、ウィリー・ンゴマの殺害が報じられた(2月24日付ルモンド)。米国の制裁は、コンゴ側の攻撃に拍車をかける可能性がある。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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アフリカペンギン、飢餓に瀕す

2026/02/24/Tue

 南アフリカやナミビアの比較的温暖な海岸沿いに生息しているアフリカペンギンが、飢餓が原因で減少している。アフリカペンギンは、南極に生息する近縁種とは異なり、小型で暑さに強いことで知られる。  2月3日付のCCNがアフリカペンギンが近年、飢餓に瀕している状況についてまとめているため、補足を加えながら紹介しよう。過去30年間で、アフリカペンギンの個体数は、汚染、生息地の破壊、そして食糧不足によって推定80%減少した。最近の研究では、飢餓が主な死因として挙げられている。南アフリカ森林・水産・環境省と英国エクセター大学の共同研究によると、2004年から2011年の間に、南アフリカで最も重要な繁殖地であるロベン島とダッセン島で、6万羽以上のペンギンが栄養失調で死亡したことが明らかになった(Crawford et al 2025)。論文によると、集団繁殖地のペンギンはおそらく換羽期に餓死したとされ、気候危機と食糧となるイワシ科魚類(Sardinops sagax)の乱獲が個体数の減少の原因としている。  アフリカペンギンは、断熱性と防水性を保つため、毎年、古くなった羽毛を脱ぎ捨て、新しい羽に生え変わる。しかし、約21日間の換羽期間中は、陸上に留まらなければならない。この絶食期間を乗り切るためには、事前に太っておく必要がある。「換羽前、あるいは換羽直後に餌が見つからないと、絶食期間を乗り切るのに十分な栄養が蓄えられなくなります」とエクセター大学生態学・保全センターのリチャード・シャーリー氏は12月5日付のガーディアン紙で述べている。大量の死骸は見つかっておらず、おそらく海で死んでいくのだろうと推測している。研究によると、2004年以降、南アフリカ西部沖におけるイワシ科魚類の生物量は、3年を除いて毎年、最大個体数の25%にまで減少した。アフリカペンギンにとって、このイワシ科魚類は重要な食糧である。アフリカ西海岸沖の気温と塩分濃度の変動により、産卵は不調に陥っているが、この地域での漁獲量は依然として高い水準にとどまっている。  2024年に、アフリカペンギンは国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種(CR)に分類され、現在、野生に生息する繁殖つがいは1万組以下と考えられている。自然保護活動家らは、雛鳥を保護するための人工巣をつくり、捕食動物の管理、救助が必要な成鳥や雛鳥の人工飼育などをおこなっている。その一つ、アフリカペンギンの保護活動で知られる南部アフリカ沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)は、救助活動、リハビリ活動、そして研究を通して、個体群の回復に注力している。SANCCOBはリハビリ施設において、ケガ、油汚染、病気、その他の症状に苦しむペンギンなどの海鳥に対し、24時間体制の医療ケアとサポートを提供している。SANCCOBは昨年948羽のペンギンを保護したが、到着時の状態はおおむね「よくても、痩せ細っている」状態だった。最近保護されたある成鳥のペンギンは、体重がわずか1.9kgで、適正体重の約4kgの半分にも満たない状態だったとCCNに報告している。  しかし、飢餓はアフリカペンギンが直面する多くの相互に関連した脅威の一つに過ぎない。SANCCOBの臨床獣医師デビッド・ロバーツ氏によると、自身の外科手術のほとんどは外傷によるもので、大気汚染からプラスチックの絡まりまであらゆる原因が考えられるが、多くの場合、外傷はアザラシやサメなどの捕食動物に噛まれたことが原因であるとCCNに述べている。魚が不足すると、栄養失調のペンギンは衰弱し、捕食動物から逃れる能力が低下するため、捕食による負傷や死亡が増加するのである。  2025年3月には、自然保護活動家と商業漁業業界は、南アフリカの6つの主要な集団繁殖地を10年間保護する禁漁区を設定することに合意した。これらの海洋保護区は、漁業から鉱業まで、あらゆる採取活動を禁止し、ペンギンにとってより安全な餌場と繁殖環境を提供するものである。「データによると、ロベン島周辺の禁漁区は、2033年までにロベン島だけでペンギンの個体数の減少に歯止めをかけるはずです。もちろん、他にも様々な要因が影響していますが」とSANCCOBのフレイザー=ノウルズ氏はCCNに述べている。「アフリカペンギンは指標種であり、その減少は私たちの生態系が深刻な危機に瀕していることを示しています。もし彼らに食料安全保障がなければ、トリクルダウン効果が始まり、最終的には人間にまで影響が及ぶでしょう」と彼女は付け加えている。  気候危機や絶滅危惧種の問題は言われて久しいが、相互に連関し合う生態系の中で私たち人間が生きていることを真摯に受け止めない限り、アフリカペンギンの飢餓のニュースも遠い世界の出来事として消費されるだけで終わってしまうだろう。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ボツワナで流行する口蹄疫に対する懸念と影響

2026/02/24/Tue

 2月1日、ボツワナ北東部で口蹄疫(FMD)の発生が確認された。感染拡大を防ぐために、検疫措置と家畜の移動制限を直ちに実施しているが、国境を介す隣国ナミビアや南アフリカでは共通の放牧地帯を介した国境を越えた感染拡大への懸念が高まっている(2日付APA)。  口蹄疫は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどの蹄が偶数に割れている偶蹄類動物に感染する、感染力の強いウイルス性疾患である。人体への影響はないが、輸出禁止や農家の収入減少など、畜産業に壊滅的な影響を与える可能性がある。  ボツワナ北東部は同国において家畜の大部分が暮らす地域であり、近年口蹄疫の発生が定期的に報告されるジンバブエのマタベレランド地域と国境を接している。ボツワナでは、第一発生確認ののち、感染地域では積極的なワクチン接種と監視活動を開始し、国内全域では指定地域外への偶蹄類動物の輸送、屠殺、移動の禁止を含む移動制限が実施されている。  南アフリカでは、農務省が口蹄疫対策を強化しており、アルゼンチン、トルコ、ボツワナからのワクチンを用いた大規模なワクチン接種を実施している。ナミビアにおいても、発生時に迅速に対応できるよう、獣医局が包括的な緊急時対応計画を策定し、ナミビア国防軍、警察、民間生産者などの関係者が、連携した対応チームをつくっている(7日付インフォーマンテ)。  21日付アフリカン・ファーミングによると、口蹄疫の発生とそれに伴う制限措置以前、ボツワナの偶蹄類動物由来の製品の輸出額は年間約7,300万米ドルと報告されている。これからどれほどの経済的影響が生じるかは注視していく必要があるが、偶蹄類動物由来の製品を輸出するボツワナの主要市場の一部は、ボツワナが口蹄疫の発生を公式に抑制するまで、ボツワナからの偶蹄類動物由来の製品の輸入を予防的に停止している状況である。  英国環境・食糧・農村地域省と動植物衛生庁は、ボツワナからの生牛肉の輸入を一時的に制限した。この制限は、2025年12月30日以降に加工された貨物に遡及的に適用される。同省庁は声明で、「ボツワナはヒツジ、ヤギ、ならびに家畜および野生で非家畜の反芻動物の鮮肉輸入国としてリストに掲載されているものの、これらの製品には承認された残留物管理プログラムが存在しないため、輸入対象とはならない」と述べている。欧州連合(EU)も、ボツワナからのこれらの製品の輸入を停止したままであると報じられている。  影響は文化的側面にもおよんでいる。ボツワナに暮らす人たちの中でも、ウシやヤギなどを放牧させながら暮らす牧畜民の人たちは、葬式や結婚式などの際に、犠牲獣としてウシなどを屠る儀礼をおこなう。しかし、今回の流行によって、ボツワナ全土で偶蹄類動物の家庭内屠殺が禁止されている影響を受け、儀礼において代替として偶蹄類ではないロバを犠牲獣として屠っていることが報道されている(17日付ナミビア・ヘレロ語ラジオ放送)。  家畜の感染症の流行においては、貿易との関係から経済的な側面に焦点が当たりやすいが、大きな報道にはなりにくい、こうした文化的側面への影響も見逃してはいけないだろう。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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東部コンゴ南キヴ州への国連PKO再配置

2026/02/13/Fri

 2月9日、国連のラクロワ(Jean-Pierre Lacroix)平和活動担当事務次長はコンゴ民主共和国の首都キンシャサを訪問し、政府高官と面会した。M23がいったん占領し、その後撤退した南キヴ州の都市ウヴィラに対して、国連PKO部隊を派遣する案について議論するためである(11日付ルモンド)。  コンゴには1999年以来、1万人を超える規模の国連PKOミッションMonuscoが駐留している。しかし、コンゴ政府はMonuscoに対して厳しい態度を取ってきた。チセケディ大統領は2023年9月には国連総会でMonuscoを厳しく批判し、同年末には政府からもMonuscoの撤収要求が出された。そのためMonuscoは、2024年6月30日には南キヴ州での活動を終了させた。そこにまた、Monuscoの部隊を出そうということである。  言うまでもなく、この背景には東部コンゴ情勢の変化がある。2025年1月~2月に北キヴ州の主要都市ゴマとブカヴがM23に制圧され、12月4日に米国の仲介でコンゴ、ルワンダ両大統領が停戦合意文書に署名したものの、その直後に南キヴ州のウヴィラまでM23の手に落ちた。米国がルワンダを非難して、M23はウヴィラから撤退したものの、状況が不安定であることは変わりない。そこで、Monuscoによる停戦監視案が浮上したわけである。  M23撤退後の不安定な状況をPKO展開で補強するという考えは、平和維持、平和構築の観点から当然あり得ることである。しかし、この構想の実施にあたっては、少なくとも2つの課題がある。  第一に、コンゴ政府の対応である。Monuscoを厳しく批判し、撤退を要求していたコンゴ政府が、その停戦合意維持活動を信頼し、協力するだろうか。  第二に、Monusco側の能力である。7日、南アフリカ政府は、Monuscoに提供していた700人の部隊を今年末までに撤収すると発表した(8日付ルモンド)。直接的には、予算の問題が挙げられている。南アフリカはコンゴの平和維持に積極的に関わり、Monuscoだけでなく、南部アフリカ開発共同体SADCが派遣した平和維持部隊SAMIDRCにも兵員を提供してきた。しかし、2025年1月のゴマ攻防の際に14人の自国兵士が戦死し、国内では強い批判に晒されてきた。SAMIDRCは既に撤収しているが、南アフリカはこの段階でMonuscoからも部隊を引き揚げる決定をしたわけである。南アフリカの撤収によって、Monuscoの能力低下は避けられない。  Monuscoに限らないが、国連PKOは近年目立った成果を上げられていない。ウヴィラにMonuscoが再び展開し、意味のある平和維持活動ができるかどうかは、コンゴに限らず、国連PKOの今後にとって重要な試金石となるだろう。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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モロッコと米国の蜜月

2026/02/12/Thu

 1月19日、モロッコはトランプ米大統領が主導する平和委員会への参加を宣言した。1月初めには、両国の外交関係250年を記念する式典が米国上院内で開催された。モロッコは1777年に米国の独立を承認した経緯がある。  両国は近年蜜月状態と言ってよく、外交的、軍事的関係を深めている。2025年12月半ば以降だけでも、米国はStingerミサイル600発、GBU-39/B誘導爆弾500発などをモロッコに供与している。大量の武器供与はモロッコへの信頼を示すものであり、2004年以降、米国にとってモロッコは主要な非NATO同盟国の位置づけにある。  モロッコはまた、2006年以降、米国との間で二国間自由貿易協定を結んでいる。2025年4月にトランプ大統領が世界各国に関税を宣言した後も、モロッコは最低水準の10%に留まっている。  こうした深い関係を加速したのが、2020年12月のモロッコによるイスラエルとの外交関係樹立であった。これは同年8月のアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの国交樹立に始まる、いわゆるアブラハム合意によるものである。イスラエルとの国交正常化を受けて、アメリカは西サハラに対するモロッコの主権を認めた。  これ以降、米国とモロッコはさまざまな領域で関係を深めている。特に顕著なのが軍事面で、モロッコは急速に空軍力を増強した。最新鋭のF-16Block 72戦闘機、パトリオット地対空ミサイルシステム、ハイマースロケット砲、ボーイング社製アパッチ軍事ヘリコプターなどが供与された(2月6日付ルモンド)。  米国戦争省(旧国防省)は、モロッコとの関係を「アフリカの平和への礎石」と位置づけ、アフリカのみならず地中海地域全体にとって有益なパートナーだとみている。モロッコ側としても、アルジェリアとの緊張関係を考えると、欧米やイスラエルの支持を受けた軍事力増強は望ましい。  モロッコとアルジェリアは国交断絶状態が続いており、アルジェリアはロシアなどから大量の武器を購入している。北アフリカに「安全保障のジレンマ」による軍拡競争が広がりつつある。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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