コンゴ民主共和国のチセケディ大統領とルワンダのカガメ大統領は、12月4日、ワシントンでトランプ大統領立ち会いの下、和平に向けた共同声明に署名した。共同声明は概略次の4点からなる。
1.2025年6月27日の和平協定、4月25日の原則宣言(Decralation of Principles)の実施にコミットする。
2.両国の友好的関係に向けて尽力する。
3.地域経済統合枠組(REIF)に署名した。
4.以上に加え、実施に向けた諸合意がなされた。これら「平和と繁栄に向けたワシントン諸協定」は、地域和平の礎となる。トランプ大統領に感謝する。
以上のように、今回の共同声明は、和平プロセスに関しては、既存の合意を確認するものだ。新しい点は、REIFなど経済開発面での合意内容が明らかにされたことである。
REIFは、大湖地域の開発計画で、エネルギー、鉱物資源サプライチェーン、インフラ、観光、公衆衛生といった分野に投資を呼び込もうとしている。ローカルオーナーシップが強調され、コンゴとルワンダが米国と協力しながらサミットを行い、投資促進に努めることが想定されている。
この署名に合わせて、米国はコンゴ、ルワンダとも二国間協定を結んだ。公開されているコンゴとの「戦略的パートナーシップ」協定では、米国によるコンゴへの投資促進を目的として、詳細な規定が盛り込まれている。共同の運営委員会(Joint Steering Committee)を設立し、鉱物資源など戦略的投資分野の開発を進めることが定められている。米国側の意気込みが伝わる内容であり、コンゴにとっては非常に魅力的であろう。
ワシントンで両国首脳が署名したまさにその時、コンゴ東部ではコンゴ国軍とM23との戦闘が激化している。南キヴ州のカマニョラ(Kamanyola)をめぐる攻防で、ルワンダ国内に多数の避難民が流入したとルワンダメディアは報じている(New Times 5日付)。署名によって紛争がただちに終結するとは考えられない。
経済開発のインセンティブによって紛争を止めようというのが、今回の米国による提案である。果たしてうまく進むだろうか。多くのオブザーバーは懐疑的である。現地で紛争が続けば、投資をしようにもできないからである。事態がどう進展するか、注意深く観察したい。(武内進一)
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