マダガスカルのラジョエリナ大統領は、12日、フランス軍用機でレユニオン島(フランス領)に退避した。事実上のクーデタとみられる。
マダガスカルでは、当初は劣悪な電気、水道サービスへの抗議として、Z世代の若者たちが中心となって、9月末から主要都市で連日デモが行われた。10月に入ると野党勢力や労働組合もそれに合流して大統領の辞任を求めるようになった。
10月11日、Capsatと呼ばれる軍の部隊が、鎮圧活動を拒否すると宣言し、デモ隊側に合流した。Capsatは直訳すれば「管理技術人員業務部隊」となるが、首都郊外に本拠を置き、2009年にも民衆蜂起に加わったことがある。この時には、結果としてラジョエリナ政権の樹立へと至った。
12日になると、Capsatは新たな参謀長としてピクラス(Démosthène Pikulas)将軍を就任させ、軍全体の掌握を宣言した(12日付ルモンド)。治安部門が大統領側から離反したことが明白になったこの日、ラジョリエナはヘリコプターで首都を脱出し、沿岸部からフランス軍用機で国外脱出したとみられる(13日付ルモンド)。
ラジョエリナは13日、Facebookに動画を投稿し、辞任を否定して憲法遵守を訴えた。なお執務を続行中と主張しているが、既に帰国は困難であり、国内に政権が立ちあがればそちらに権力が移行されるだろう。今後は、どのような形で移行政権が形作られるのかが焦点となる。(武内進一)
アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。