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今日のアフリカ

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マダガスカル、モロッコでZ世代の抗議運動

2025/10/08/Wed

 9月下旬から、マダガスカルやモロッコで若者によるデモが激しさを増している。マダガスカルでは、頻繁な断水や停電への不満を発火点として、9月25日から主要都市で連日デモが続いている。ラジョエリナ大統領は抗議活動が始まるとすぐにエネルギー担当相を更迭し、29日には前閣僚の交代を発表した。しかし、運動の勢いは衰えず、10月に入ると若者たちはラジョエリナ大統領の辞任を要求するようになり、野党や労働組合もこれに同調した。大統領は、デモ隊が「国家転覆を企んでいる」と非難するとともに、6日、陸軍のザフィサンボ(Zafisambo)将軍を首相に任命した。軍を利用してデモ隊を鎮圧しようとの意図があるようだ(7日付ルモンド)。

 一方、モロッコでは、9月中旬に南部アガジールの公立病院で帝王切開を受けた妊婦が死亡した事件がきっかけとなって、医療制度の不備に対する不満が広がった。オンラインコミュニケーションサービスのディスコード(Discord)を使った呼びかけを通じて、27日から若者が中心となったデモが各地で行われた。その主体は"GenZ 212"と名乗り、医療制度や教育制度の質の悪さに抗議し、首相の辞任を要求している。

 マダガスカルもモロッコも、Z世代の若者がデモの中心になっている。アフリカでは、昨年ケニアのルト政権が、Z世代の若者を中心とした抗議行動に屈して、増税案を撤回した。最近では、バングラデシュやネパールでも若者のデモが政治体制を揺るがせている。

 これら各国の運動は、相互に影響を受けている。マダガスカルの運動はネパールの動きに刺激された側面があるし(5日付ルモンド)、デモ参加者の動員の手段としてディスコードが使われた点にも共通点がある(4日付ルモンド)。不満の背景に違いがあっても、若者たちを街頭での抗議活動に駆り立てるメカニズムに共通性が見られることは興味深い。(武内進一)

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