11月26日、ギニアビサウで軍が全権掌握を発表した。クーデタである。同国では23日に大統領選挙が実施され、結果を待っているところだったが、選挙プロセスは停止された。
クーデタの発表直後、それが現職のエンバロ(Umaro Sissoco Embalo)と軍が結託したいかさまだという説が広く流布した。翌27日には、陸軍参謀長のホルタ・ンタム(Horta N'Tam)将軍が移行政権の大統領に就任し、エンバロはセネガルに出国したが、セネガルのソンコ首相もクーデタがいかさまではないかとの疑念を示した(28日付ルモンド)。
29日になって、エンバロはセネガルからコンゴ共和国の首都ブラザヴィルへと移動した。短期的に、エンバロが政権に復帰することは考えにくい状況になった。
エンバロとの結託でなかったとしても、軍が選挙プロセスを無効化するためにクーデタを起こしたことは疑いない。つまり、大統領選挙でエンバロと争った対立候補のダコスタ(Fernando Dias da Costa)の勝利を阻止するためのクーデタだったということだ。
エンバロにとって、最大のライバルは有力政党PAIGCのペレイラ(Domingos Simoes Péreira)だった。しかし、ペレイラは9月に最高裁の判断で立候補資格を奪われていた。クーデタ後すぐに、ペレイラは逮捕された。
ギニアビサウは近年政情が不安定で、クーデタが頻発してきた。今回、軍は政党政治を抑圧して秩序回復を図ろうとしている。アフリカ連合(AU)はすぐさまクーデタを非難し、ギニアビサウを資格停止処分とした。今後の軍の対応が注目される。(武内進一)
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