マリの首都バマコで、ガソリンをはじめとする物資不足が深刻化している。9月3日、アルカイーダ系のイスラム急進主義勢力GSIM(JNIM)は、バマコの包囲作戦を行い、燃料輸送トラックを標的に攻撃すると発表した。その直後から燃料輸送トラックへの攻撃が始まり、9月14日までの被害を受けたトラックの数は50程度に増えた。翌15日、GSIMのスポークスマンは、ビデオで攻撃を継続すると発表。これを受けてバマコではガソリン不足、高騰が進んだ(10月9日付Conflits)。
ジハディストによる攻撃は、セネガル、モーリタニア国境に近い地域とコートジボワールに近い地域で激化している。いずれもバマコへの物資流通ルートにあたり、首都への物資流入が著しく阻害されている。
これに対してマリの軍事政権は有効な対応策が取れていない。10月22日には、軍高官3名が「戦場での成果が出ていない」ことを理由に更迭された。参謀総長補佐、軍治安局長、陸軍参謀長といった高官である(23日付ルモンド)。軍事政権側の焦りを示す措置に見える。
アシミ・ゴイタをトップとする軍事政権は、選挙で選ばれたケイタ政権がジハディスト対策に無策であるとして2020年にクーデタを起こし、その後フランス軍を放逐してロシアに接近した。それ以来、約束した選挙を行わず、自分たちの政権長期化に布石を打つ一方で、批判的な勢力を次々に逮捕している。現在の苦境は、軍事政権もまたジハディスト対策に無能力であることを示しているが、もはや責任を転嫁する相手はいない。(武内進一)
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