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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2020年04月

サヘルでの多国間安全保障枠組みの難しさ

2020/04/28/Tue

 4月27日付ルモンド紙は、米国がバルカンヌ作戦への関与を当面継続するとのパルリー仏軍事相の発言を報じた。バルカンヌ作戦はサヘル地域でのフランスの軍事行動で、イスラーム急進主義勢力の活動を制圧するために5千人以上の兵士を派遣している。広大なサヘル地域での活動は困難を極めており、仏軍にも多くの犠牲者が出ている。最近、トランプ政権は、アフリカでの軍事活動を縮小する意向を示しており、バルカンヌ作戦への協力を停止する可能性が取り沙汰されていた。フランスは、サヘル地域で多国間の安全保障枠組みを構築することに熱心で、当事国からなるG5サヘルを組織するとともに、EUそして欧米諸国に関与を呼びかけている。多国間枠組からの離脱をちらつかせる英米に対しては、引き留めに躍起になっている。  安全保障の多国間枠組みの維持は簡単ではない。4月初めには、サヘル地域の重要なプレーヤーであるチャドのデビィ大統領が、今後チャド軍は自国外での軍事行動に協力しないと表明した。これは、3月23日に「西アフリカのイスラム国」(ISWAP.ボコハラムの分派)の攻撃によって98人のチャド軍兵士が死亡する事件を受けての発言であった。チャド軍は、ISWAPに対してその後反撃し、政府発表で相手方1000人を殺害したとのことだが、4月9日になってデビィ大統領が自国以外での軍事行動に参加しないと表明した。  名指しこそしなかったが、この発言はナイジェリアやフランスを念頭に置いたものと見られる。チャド軍は砂漠での戦闘に高い能力を持ち、サヘル地域での「対テロ」活動で大きな役割を果たしてきた。デビィはこれによってフランスに恩を売る格好になっていたし、ナイジェリアに対しては軍事力の大きさにかかわらず関与が低いと不満を抱いていた。自国軍が大きな犠牲を受けたことで、対外活動から手を引くと述べてパートナー諸国に揺さぶりをかけたと見られる(4月16日付Africa Confidential)。  デビィの発言は、これまでチャドの軍事力に国防を依存してきたニジェールなど他のサヘル諸国にも衝撃を広げた。その後チャド外務省は、デビィの発言をそのまま認めることはせず、これまで通り国連PKOのMinusma、G5サヘル、ナイジェリアとの共同軍事作戦MNJTF(Multinational Joint Task Force)に参加すると確認した。当面は一息ついた形だが、こうした揺さぶりはこれからも続くだろう。サヘル地域では多国間安全保障枠組みが最も現実的ではあろうが、その実態は決して楽観を許すものではない。

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海外送金の大幅な落込み

2020/04/25/Sat

4月22日、世界銀行はプレスリリースで、現下の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年の世界全体の海外送金額が昨年に比べて2割減少し、5540億ドルから4450億ドルと、1000億ドル以上低下するとの見込みを示した。この急落により、送金に依存している国々は重大な影響を受ける。  同日付ファイナンシャルタイムズによれば、2019年に、送金は海外直接投資を超え、低所得国、中所得国にとって最大の資金流入源である。その総額は、貧困国のGDPの8.9%を占めるまでになっている。送金額の大幅な減少は、移民送り出し世帯の困窮化にとどまらず、マクロな財政・金融の側面でも甚大なショックを与えるであろう。  送金額の落込みを地域別にみると、最も大きいと予想されるのがヨーロッパ・中央アジアで27.5%、次いでサブサハラ・アフリカで23.1%、南アジア22.1%、中東・北アフリカ19.6%、ラテンアメリカ・カリブ海諸国19.3%、東アジア・太平洋諸国13%となっている。  海外直接投資も大幅な落込みが予想される以上、落ち込んだとしても、海外送金は依然として貧困国にとって貴重な外貨獲得源である。移民労働者に対する配慮もまた、経済危機の中の発展途上国支援の一側面なのだ。

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さらなるバッタの襲来に備えて

2020/04/19/Sun

4月14日付けで、国連食糧農業機関(FAO)は、東アフリカで大発生しているサバクトビバッタ(Desert Locust)に関する更新情報(FAO, Locust Watch Desert Locust situation update 14 April 2020)を公開した。この報告は、今後数ヶ月の間にバッタの数は劇的に増加し、とくにケニア、エチオピア、ソマリアで農作物に大きな被害が出るだろうと警告している。サバクトビバッタの特徴は、巨大な群れを形成することにくわえ、一日に150キロもの長距離を移動することにある。さらに、一日に自分の体重と同じ重さの草木を食べるため、一度バッタの群れが襲来するとほとんどの穀物が食べ尽くされてしまう。バッタの大群は、昨年末から今年2月にかけて、ソマリア、エチオピア、ケニア、ウガンダ、タンザニア、南スーダンに襲来し、モロコシやトウモロコシなどの穀物は大きな被害を受けた。 3月下旬に東アフリカの広い地域でまとまった雨が降ったことにより、バッタは定着、成長、産卵していると予想される。今後、予想される第二波は、第一波の群れの子孫からなり、その数はおよそ20倍に増加する。4月上旬における各国の状況は、1)ケニアでは中部と北部の18郡においてバッタの群れが拡大し続けており、西に移動している。2)エチオピアでは、南部(オロミア州と南部諸民族州)でバッタの群れが増加しており、一方、北部と東部(ソマリ州)では新しい群れが形成されつつある。3)ウガンダでは、東部(カラモジャ地域)にバッタの群れが出現した。その後、この群れの一部は南スーダンの南部に達している。専門家は、このままいくと、バッタは雨期の初めに成長し、次第に大きな群れを形成した後、穀物の収穫期である6月下旬から7月にかけて大群になると予測している。 東アフリカ各国は、バッタの駆逐を国家の優先事項に位置付けている。おもな対策は、上空と地上から殺虫剤を散布してバッタを駆除することだが、これまでのところ十分な効果をあげているとはいいがたい。目下の課題は、コロナウイルスの拡大により、バッタ対策に必要な人員と装置の移動が制約されていることである。とくに、世界中で航空便の運航が減っているために、殺虫剤がなかなか届かないという問題が生じている。 東アフリカでは、バッタの大発生に備えた対策が急務になっている。もし、前例のない規模でバッタが大発生することになれば、この地域の食糧安全保障と人々の生計に深刻な影響が及ぶことが懸念される。

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アフリカCDCでの米中対立

2020/04/19/Sun

 14日にトランプ政権が発表したWHOへの資金拠出停止措置に見られるように、米中対立は新型コロナウィルス感染症をめぐる国際協調を様々な面で阻害している。アフリカの国際保健医療に関しては、WHOの他にアフリカCDC(The Africa Centres for Disease Control and Prevention)が重要な役割を果たしているが、こちらも米中対立の影響を受けている。16日付アフリカ・コンフィデンシャル誌は、両者の関係や最近の動向に関する記事を掲載している。  アフリカにおけるWHOの活動については、ブラザヴィルに設置された地域オフィス(Africa Regional Office. WHO-ARO)が重要な権限が与えられている。WHO-AROは自律性が高く、特定疾病の対策プログラムを立てようとすれば、ジュネーブの本部ではなくブラザヴィルのAROを通じて話を進める必要がある。エボラ出血熱が西アフリカで医療危機をもたらした2014年以前、AROは特にその透明性に関して批判を受けており、ドナーの支援が集まらなかった。今日、ボツワナ人のモエティ(Matshidiso Moeti)地域ディレクターの下、AROは透明性を高め、国際的な好評価を得ている。とはいえ、トランプ政権による資金出資停止声明以前から慢性的な資金不足に苦しみ、コロナ危機に際しても十分な活動ができていない。  アフリカCDCは、2016年1月のAU首脳会議で設立が決まり、2017年から活動を開始したAUの特別機関である。加盟国の医療支援と能力形成が主たる業務である。アフリカ諸国は5つの地域に分かれ、ガボン(中部)、ケニア(東部)、エジプト(北部)、ザンビア(南部)、ナイジェリア(西部)がそれぞれのホスト国となっている。AU各国に加えて、世銀、米国、日本、中国などが資金出資をしている。米国はその設立当初1400万ドルを出資し、その後も医師の給与などを支払い続けてきた。設立は新しいものの、AUや有力ドナーの支援により、急速に存在感を増してきた組織である。ジャック・マーがいち早く表明した支援も、WHO-AROではなく、アフリカCDCに向かった。  ただし、アフリカCDCもまた、米中対立の余波を受けている。2月、中国が8000万ドルを提供すると申し出たところ、米国が反発。「アフリカはゲノムデータの宝庫であり、中国はCDC建設によって、他のCDCからデータを盗もうとしている」ととして、アフリカCDCが中国の資金を受け入れるなら米国は資金拠出を削減し、アトランタのCDCから出向させているスタッフを引き揚げると通告した(2月6日付ファイナンシャルタイムズ)。  米国に対しては、貧困層への安価な医薬品提供よりも、自国企業の知的所有権を優先するようWHOに圧力をかけてきたとの批判がある。一方、これまでの中国の行動に、米国やその他の国々を懸念させる点があったことも否定できない。国際機関は国益が衝突する場になりがちだが、危機の時代にあって、それがいっそう際立つようになっている。

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コンゴ民主共和国での感染拡大と政局

2020/04/18/Sat

16日付ルモンド紙によれば、コンゴ民主共和国の保健当局は、キンシャサで感染者数が急増しており、5月の初旬~中旬に最悪の時期を迎えるだろうとの予測を発表した。チセケディ大統領に近い人々も多く感染しており、15日には彼の父方オジが新型コロナ感染症のため亡くなった。  コンゴが直面する感染症は、新型コロナだけではない。コンゴ東部では、終息に向かったかに見えたエボラ熱の感染者が再び見つかり、14日には子供が死亡する事例が報告された。  こうした状況下でも、政治の動きはめまぐるしい。4月8日、官房長官のカメレ(Vital Kamerhe)が、大規模公共工事の資金利用をめぐる疑惑で逮捕された。カメレは政党「コンゴ国民同盟」(UNC)の党首で、先の大統領選挙ではチセケディに協力した有力政治家である。チセケディは就任後、景気浮揚策として、「大統領の100日プロジェクト」と呼ばれる大規模公共投資事業を打ち出した。この事業については、不明瞭な資金利用が指摘され、経済効果にも疑問符がついている。カメレの逮捕容疑は、この事業資金をめぐるものである。  カメレの逮捕について十分な情報はないが、16日付アフリカ・コンフィデンシャル誌は、チセケディにとって悪い話ではないと分析している。この逮捕によって、2023年の大統領選挙ではチセケディに代わってカメレが立候補するという選挙時の密約を反故にすることができる、という見立てである。ただし、「大統領の100日プロジェクト」をめぐっては、有力銀行の幹部などが複数逮捕されており、議会などで多数派を握るカビラ前大統領派は、これを機にチセケディ追い落としを狙っているとの見方もある。チセケディが危ない橋を渡っているという現実に変わりはない。

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アフリカ人差別の外交問題化

2020/04/14/Tue

 中国の広州で、新型コロナウイルス感染症に関してアフリカ人がいわれのない差別を受ける事態が広がり、外交問題に発展した。広州市は中国・アフリカ間貿易の拠点であり、多数のアフリカ人が居住・往来する。ルモンド紙(12、13日付)とファイナンシャルタイムズ紙(13日付)をまとめると、事の成り行きは次のようなものである。  3月下旬、広州で、5人のナイジェリア人が検疫隔離措置を守らず、外出したことが明るみに出た。その後、SNSには差別的な書き込みが続き、アフリカ人がホテルやスーパーマーケットへの立ち入りを拒否されたり、住居から追い出されたり、検査結果が陰性でも隔離施設に連行されるといった状況が広がった。  これに対して、北京のアフリカ各国大使は中国外務省に書簡を送り、「アフリカ諸国民に対する執拗なハラスメントと侮辱」が続いており、アフリカ大陸で中国人への反発が広がる恐れがある、として善処を訴えた。ナイジェリアとガーナでは政府が中国大使を呼んで抗議し、AU委員会のムーサ・ファキ・マハマト委員長もAU駐在中国大使を呼び、事情を聴いた。中国外務省も12日、中国はあらゆる「人種主義」を拒否するとして、善処を約束した。  今回の事件は、Covid-19の再発防止に敏感になっている中国で起こった。トランプ政権は早速、今回の事件が中国・アフリカ関係の空虚さを示すものだと揶揄した。しかし、社会的な緊張状態の下で、特定の人々がいわれのない差別の対象になることは、どこにでも起きうることだ。東日本大震災の後で見られた、福島県出身者への差別や中傷はその典型である。中国をあげつらう前に、この事件を他山の石として自戒すべきであろう。

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南スーダンの金採掘がまねく脅威

2020/04/12/Sun

4月2日付でセントリー(The Sentry)が公開した報告書は、南スーダンにおいて金の採掘が汚職と紛争を引き起こしかねないと警告している。セントリーは、人権活動家ジョン・プレンダーガストとアメリカ人俳優ジョージ・クルーニーらが、アフリカ諸国における戦争犯罪者と汚職マネーのつながりに関する調査と政策提言を行うために立ち上げたプロジェクトチームである。最新の報告書、「未開発と未整備:南スーダンの鉱業部門を脅かす汚れた取引(Untapped and Unprepared: Dirty Deals Threaten South Sudan's Mining Sector)」は、南スーダン政府の高官、州知事、軍の指導者たちが自らの親族や側近たちとともに、南部の中央・東エクアトリア州における金の採掘事業を独占的にコントロールし、汚職と紛争につながっていると指摘している。  この報告書は具体的に次のような事例をあげている。1)サルヴァ・キール大統領の親族と側近は、少なくても南スーダンの32の採掘会社の株を保有している。たとえば、大統領の娘は3つの採掘会社の株を保有し、ジェームズ・ワニ前副大統領の息子は別の3つの採掘会社の株を保有している、2)中国、エチオピア、南アフリカなど外国人投資家と南スーダン政府高官との共同経営による採掘会社がある、3)スーダン・南スーダンの政治エリートとつながりの深いスーダン人ビジネスマンがもっとも多くの金の採掘ライセンスを保有している、4)金が豊富な東エクアトリア州のカポエタ周辺では、東エクアトリア州の州知事が中央政府から独立して採掘ライセンスを発行している。5)予算不足に対処するために国防省が立ち上げた複数の会社が金の採掘ライセンスを保有しているが、ライセンスの取得に際し、法的に求められた要件を満たしていない可能性が高い、6)反政府軍がコントロールする地域では、採掘ライセンスなしで金の採掘と密輸が行われ、反政府軍の活動資金に充てられている。 2012年、南スーダン政府は、すべての採掘会社と零細採掘者に対し、採掘ライセンスの取得を求める鉱業法を施行し、それまでローカルかつインフォーマルに行われていた鉱物資源の採取をフォーマル化することを目指した。しかし、この報告書は、採掘ライセンスの取得プロセスや採掘会社の企業構造は、ほとんど情報開示がないため不透明であり、十分な採掘技術をもたない者も多いと指摘している。また、金の採掘と紛争との直接的な関連性は明確ではないものの、鉱区がある地域の多くでは紛争や人権侵害が起きている。このため、鉱業部門の汚職は、直ちに適切な対策がとられなければ、これまで内戦の火種となってきた石油と同じように資源をめぐる暴力を引き起こすだろうと警告している。 南スーダンの砂金採取は、砂金のパンニングを伴う手作業によって、世帯や共同体レベルで小規模に行われてきた。長い内戦と経済危機の間、砂金採取は、ローカルな人々が現金収入を得るための貴重な経済活動のひとつであった。独立後、金を含む鉱物資源の採取活動に対して、石油産業に依存する国の歳入を多角化するために産業化が期待された。しかし、この報告書は、無数の小規模な会社が金の採掘に乗り出す一方、南スーダンの政治・軍事エリートがその利益を独占し、汚職につながっていると告発している。南スーダンの「ゴールドラッシュ」は、搾取と汚職を受けやすい状況にある限り、さらなる紛争を引き起こす危険性をはらんでいる。

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コロナ危機へのアフリカ諸国の対応

2020/04/12/Sun

新型コロナウイルス感染症の広がりは、私たちの世界がどのような形で繋がっているのかを明らかにしている。ジョンズ・ホプキンス大学のデータによれば、アフリカ諸国のCovid-19感染者総数は、4月11日現在で13,273人、死者数は721人と、まだそれほど多くない。アフリカ各国の対応は迅速で、3月20日前後から多くの国々が次々に国境や都市の封鎖に踏み切った。  アフリカにおいて、Covid-19は国外、特にヨーロッパ諸国からやってきた。最初に持ち込んだのは外国人やエリートたちである。ナイジェリアでは、ブハリ大統領がロンドンから帰国した後、9人の娘のうち一人がコロナウイルスに感染していることが判明した(4月3日付ルモンド)。  今回の危機で、どの程度厳しい都市封鎖が敷かれているかは、アフリカ各国で差がある。南アやウガンダでは厳しい措置が取られているが、例えばベニンのタロン大統領は、3月29日、厳格な移動制限を行わないと発表した。都市封鎖は富裕国には可能だが、ベナンにはその余裕がない、というのが理由だ。タロンは、「人々を飢えさせるような措置を取れば、すぐに無視され、嘲弄されるだろう」と述べた(3月30日付ルモンド)。キンシャサでは、当局が都市封鎖をアナウンスした直後の3月27日、人々がスーパーや市場に殺到して大混乱が生じ、市民団体が「暴動が起こる」と警告するに至って、封鎖は延期された(3月31日付ルモンド)。  都市封鎖と相前後して、都市住民が農村に脱出する動きもアフリカ各地で見られた。都市のロックダウンを恐れ、農村の方が安全だという人々の判断である。これはまっとうな判断だと思う。ウガンダ、ガボン、コンゴ民主共和国など、農村への移動を制限する動きも取られたが、こうした措置の有効性は、その経済的なダメージと勘案して検証されるべきだろう。  ここまで、アフリカ各国政府は、きわめて厳格に感染症対策を行ってきたといってよい。それはWHOをはじめとする国際機関、そしてドナーの影響力が強いことの裏返しとも言える。だからこそ、そうした措置がもたらす経済的ダメージに対して、国際社会はしっかりカバーしていくべきである。

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深刻な景気後退と食料危機の恐れ

2020/04/11/Sat

新型コロナウイルス感染症による経済的影響の深刻さが露わになってきた。9日付ファイナンシャルタイムズ紙によれば、世界銀行は、パンデミックのためにサブサハラ・アフリカ諸国が25年ぶりの景気後退に入るとの予測を発表した。2019年の実質経済成長率は2.4%だったが、2020年のそれは大きく落ち込み、マイナス2.1%~マイナス5.1%の間と予想されている。人口成長率は2.7%と予測されているから、一人当たりの数値はさらに落ち込むことになる。  この状況に対応して、支援策が打ち出されつつある。世銀、IMF、アフリカ開発銀行は緊急融資を準備し、二国間債務の帳消しを呼びかけている。多国間金融機関の他に、アフリカ支援への動きを具体化させているのは、ヨーロッパである。7日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、最脆弱国に対する総額150億ユーロの支援を表明した(7日付ルモンド)。また、ルドリアン仏外相は、新型コロナウイルス感染症対策で、12億ユーロをアフリカ向けに供与すると議会で発表するとともに、アフリカの債務に対しても利子支払いに対するモラトリアムか、債務のリスケが必要だと述べた。  景気後退に加えて、懸念されるのは食料危機である。世界各国が国境封鎖に踏み切るなか、貿易網が混乱していることに加え、自国消費を優先して食料輸出を制限する動きがあると報じられている。こうした動きが広がれば、都市部での食料の多くを輸入に依存しているアフリカ諸国は深刻な打撃を受けるだろう。  さらに、アフリカの角地域ではバッタの被害が重大な懸念材料となっている。今年初めから、数十年ぶりといわれるバッタの大量発生が起こっており、農業生産が大きな打撃を被っている。8日、FAOが改めて警告を発し、各国に資金拠出を呼びかけた。Covid-19による国際貿易の混乱により殺虫剤の調達が困難になっているとの報道もあり(10日付ルモンド)、状況悪化が懸念される。

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新型コロナウイルス感染症の打撃と国際支援

2020/04/05/Sun

4日付ファイナンシャルタイムズ紙は特集記事で、発展途上国がCovid-19から受ける打撃について分析している。経済的ダメージは、ウイルスより先にやってきた。1バレル70ドル程度だった石油価格が30ドル前後まで下落したことで、産油国を既に深刻な影響を受けている。先進国の経済封鎖により、移民からの送金が顕著に縮小している。ケニアのヨーロッパに対する花卉輸出はストップした。観光業は崩壊状態にある。経済封鎖によって、食料や医薬品、石鹸、消毒剤などのサプライチェーンが麻痺した国も多い。食料など日用必需品の価格が高騰すれば、社会不安をもたらすだろう。  発展途上国の状況は、リーマンショック時より悪い。これをどう支援するか、という議論がようやく聞こえてくるようになった。IMFは、新興国支援に2.5兆ドルが必要だと試算している。IMFは既に500億ドルの緊急融資を実施し、これに85か国が要請を出した。  4日付ルモンド紙によれば、マクロン仏大統領は3日、アフリカの指導者10人とTV会議を行い、新型コロナウイルス感染症対策について議論した。会議に加わったのは、マリのケイタ、エチオピアのアビィ、南アのラマポサ、ルワンダのカガメ、セネガルのサル、コンゴ民主共和国のチセケディ、エジプトのシーシ、ケニアのケニヤッタ、ジンバブウェのムナンガグワという9人の国家元首と、アフリカ連合委員会のムーサ・ファキ委員長である。  Covid-19がもたらした危機を乗り越えるために、国際協調、国際協力が必要なことは明白だ。しかし、残念ながら、中国と米国が非難の応酬をし、他の国々も途上国支援を十分協議できていない現状で、マルチラテラリズムはほとんど機能していない。  現下の危機はここにある。

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