新型コロナウイルス感染症による経済的影響の深刻さが露わになってきた。9日付ファイナンシャルタイムズ紙によれば、世界銀行は、パンデミックのためにサブサハラ・アフリカ諸国が25年ぶりの景気後退に入るとの予測を発表した。2019年の実質経済成長率は2.4%だったが、2020年のそれは大きく落ち込み、マイナス2.1%~マイナス5.1%の間と予想されている。人口成長率は2.7%と予測されているから、一人当たりの数値はさらに落ち込むことになる。
この状況に対応して、支援策が打ち出されつつある。世銀、IMF、アフリカ開発銀行は緊急融資を準備し、二国間債務の帳消しを呼びかけている。多国間金融機関の他に、アフリカ支援への動きを具体化させているのは、ヨーロッパである。7日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、最脆弱国に対する総額150億ユーロの支援を表明した(7日付ルモンド)。また、ルドリアン仏外相は、新型コロナウイルス感染症対策で、12億ユーロをアフリカ向けに供与すると議会で発表するとともに、アフリカの債務に対しても利子支払いに対するモラトリアムか、債務のリスケが必要だと述べた。
景気後退に加えて、懸念されるのは食料危機である。世界各国が国境封鎖に踏み切るなか、貿易網が混乱していることに加え、自国消費を優先して食料輸出を制限する動きがあると報じられている。こうした動きが広がれば、都市部での食料の多くを輸入に依存しているアフリカ諸国は深刻な打撃を受けるだろう。
さらに、アフリカの角地域ではバッタの被害が重大な懸念材料となっている。今年初めから、数十年ぶりといわれるバッタの大量発生が起こっており、農業生産が大きな打撃を被っている。8日、FAOが改めて警告を発し、各国に資金拠出を呼びかけた。Covid-19による国際貿易の混乱により殺虫剤の調達が困難になっているとの報道もあり(10日付ルモンド)、状況悪化が懸念される。