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最新10件

ココ・ネットワークス社の破綻

2026/03/12/Thu

 ケニアの代表的なスタートアップ企業ココ・ネットワークス社が破綻した。2014年に設立されたココ社は、気候変動対策として導入されたカーボンクレジットを利用して注目され、マイクロソフト社やグローバル商社のVitolなどから出資を得た。また、世界銀行系列のMIGA(Multilateral Investment Guarantee Agency)の投資保証も獲得した。  ココ社は、調理用レンジとバイオエタノール燃料を販売し、人々が木炭や薪を使わずに調理することで温室効果ガス削減に貢献すると謳っていた。国内に3,000カ所のバイオエタノールの販売所を持ち、130万以上の顧客を抱えていた(2月19日付JETROビジネス短信)。  ココ社は、調理用レンジを85%割引で販売し、燃料もコストの半分以下で販売していた。安価な設定で顧客数を増やし、値引き分を埋め合わせるためにカーボンクレジットを利用しようとしたのだが、ケニア政府はその発行を認めず、破綻につながった。ココ社だけでケニア政府の発行分を使い切ってしまうため、発行できないというのが、政府側の言い分である。  ケニア政府が承認しなかった理由については政権内の対立を指摘する声もあるが、ココ社のビジネスモデルに問題があったとファイナンシャルタイムズ紙は指摘している(3月10日付)。論点の一つは、ココ社の調理用コンロを利用することで、どの程度温室効果ガスが削減されるのか、という問題である。  ココ社は、顧客世帯のほとんどが炭や薪から調理コンロに変えたとの想定で温室効果ガス削減量を推計し、カーボンクレジット要求の根拠としていた。しかし、2019年の家計調査では、ケニアの都市部で炭や薪を使って調理する世帯は、既に半分以下になっている。ココ社の顧客の多くは、他社が提供する調理用燃料からココ社の燃料に変えたのであって、炭や薪からではないという指摘がある。また、顧客はココ社の調理用レンジを購入しても、バイオエタノールの価格が上がれば使用を止める、とも言われる。世帯あたりの二酸化炭素削減量は、ココ社の主張の3分の1程度だったとみられる。こうした指摘に反証するデータを、ココ社は公開していない。  カーボンクレジットはビジネスを通じた気候変動対策として注目を浴びているが、話はそれほど簡単ではない。ココ社の事例から言えるのは、透明性の高い正確なデータに基づいてビジネスがなされる必要があるという基本的な真理である。(武内進一)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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米国がルワンダ軍に制裁

2026/03/05/Thu

 2日、米国財務省は、昨年12月4日にワシントンで結ばれた和平協定への違反を理由に、ルワンダ国軍と4人の軍幹部に制裁を科すと発表した。過去30年以上にわたって、アメリカはルワンダのカガメ政権を強力に支持してきた。この制裁措置は、アメリカの政策転換と、そのコンゴ民主共和国寄りのスタンスを明示している。  周知のように、ワシントン和平協定以降も東部コンゴの戦火が止まず、ルワンダが支援するM23の進軍が続いたが、この間ルワンダとコンゴはお互いに戦闘継続の責任を押しつけ合ってきた。M23の攻撃を非難するコンゴ側に対して、ルワンダ側はコンゴが依然としてFDLR(東部コンゴで活動する反ルワンダ勢力)を支援し、ワザレンドゥと呼ばれる民兵や傭兵を利用した攻撃を止めないためだと反論してきた。今回の制裁は、アメリカがルワンダの言い分を認めないと、態度を明確にしたことを意味する。  制裁の影響は大きい。これにより、米国内の資産が凍結されるほか、あらゆる資金取引が事実上禁止される。銀行間決裁システムSwiftからも排除されることになる。  ルワンダは、世界最大の国連平和維持部隊提供国であり、南スーダンや中央アフリカに部隊を派遣している。また、二国間協定を通じて、モザンビークや中央アフリカに派兵している。今回の制裁措置は、ルワンダ軍の国外派遣に影響を与えずにいないであろう。  米国の制裁は、コンゴのチセケディ政権にとっては外交的勝利と言える。それと符合するように、ここ数週間、コンゴ軍によるM23支配地に対する攻撃が激化している。世界最大のコルタン産出地ルバヤ(Rubaya)鉱山地帯では、コンゴ軍によるドローン攻撃が激化し、2月24日にはM23のスポークスマン、ウィリー・ンゴマの殺害が報じられた(2月24日付ルモンド)。米国の制裁は、コンゴ側の攻撃に拍車をかける可能性がある。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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アフリカペンギン、飢餓に瀕す

2026/02/24/Tue

 南アフリカやナミビアの比較的温暖な海岸沿いに生息しているアフリカペンギンが、飢餓が原因で減少している。アフリカペンギンは、南極に生息する近縁種とは異なり、小型で暑さに強いことで知られる。  2月3日付のCCNがアフリカペンギンが近年、飢餓に瀕している状況についてまとめているため、補足を加えながら紹介しよう。過去30年間で、アフリカペンギンの個体数は、汚染、生息地の破壊、そして食糧不足によって推定80%減少した。最近の研究では、飢餓が主な死因として挙げられている。南アフリカ森林・水産・環境省と英国エクセター大学の共同研究によると、2004年から2011年の間に、南アフリカで最も重要な繁殖地であるロベン島とダッセン島で、6万羽以上のペンギンが栄養失調で死亡したことが明らかになった(Crawford et al 2025)。論文によると、集団繁殖地のペンギンはおそらく換羽期に餓死したとされ、気候危機と食糧となるイワシ科魚類(Sardinops sagax)の乱獲が個体数の減少の原因としている。  アフリカペンギンは、断熱性と防水性を保つため、毎年、古くなった羽毛を脱ぎ捨て、新しい羽に生え変わる。しかし、約21日間の換羽期間中は、陸上に留まらなければならない。この絶食期間を乗り切るためには、事前に太っておく必要がある。「換羽前、あるいは換羽直後に餌が見つからないと、絶食期間を乗り切るのに十分な栄養が蓄えられなくなります」とエクセター大学生態学・保全センターのリチャード・シャーリー氏は12月5日付のガーディアン紙で述べている。大量の死骸は見つかっておらず、おそらく海で死んでいくのだろうと推測している。研究によると、2004年以降、南アフリカ西部沖におけるイワシ科魚類の生物量は、3年を除いて毎年、最大個体数の25%にまで減少した。アフリカペンギンにとって、このイワシ科魚類は重要な食糧である。アフリカ西海岸沖の気温と塩分濃度の変動により、産卵は不調に陥っているが、この地域での漁獲量は依然として高い水準にとどまっている。  2024年に、アフリカペンギンは国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種(CR)に分類され、現在、野生に生息する繁殖つがいは1万組以下と考えられている。自然保護活動家らは、雛鳥を保護するための人工巣をつくり、捕食動物の管理、救助が必要な成鳥や雛鳥の人工飼育などをおこなっている。その一つ、アフリカペンギンの保護活動で知られる南部アフリカ沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)は、救助活動、リハビリ活動、そして研究を通して、個体群の回復に注力している。SANCCOBはリハビリ施設において、ケガ、油汚染、病気、その他の症状に苦しむペンギンなどの海鳥に対し、24時間体制の医療ケアとサポートを提供している。SANCCOBは昨年948羽のペンギンを保護したが、到着時の状態はおおむね「よくても、痩せ細っている」状態だった。最近保護されたある成鳥のペンギンは、体重がわずか1.9kgで、適正体重の約4kgの半分にも満たない状態だったとCCNに報告している。  しかし、飢餓はアフリカペンギンが直面する多くの相互に関連した脅威の一つに過ぎない。SANCCOBの臨床獣医師デビッド・ロバーツ氏によると、自身の外科手術のほとんどは外傷によるもので、大気汚染からプラスチックの絡まりまであらゆる原因が考えられるが、多くの場合、外傷はアザラシやサメなどの捕食動物に噛まれたことが原因であるとCCNに述べている。魚が不足すると、栄養失調のペンギンは衰弱し、捕食動物から逃れる能力が低下するため、捕食による負傷や死亡が増加するのである。  2025年3月には、自然保護活動家と商業漁業業界は、南アフリカの6つの主要な集団繁殖地を10年間保護する禁漁区を設定することに合意した。これらの海洋保護区は、漁業から鉱業まで、あらゆる採取活動を禁止し、ペンギンにとってより安全な餌場と繁殖環境を提供するものである。「データによると、ロベン島周辺の禁漁区は、2033年までにロベン島だけでペンギンの個体数の減少に歯止めをかけるはずです。もちろん、他にも様々な要因が影響していますが」とSANCCOBのフレイザー=ノウルズ氏はCCNに述べている。「アフリカペンギンは指標種であり、その減少は私たちの生態系が深刻な危機に瀕していることを示しています。もし彼らに食料安全保障がなければ、トリクルダウン効果が始まり、最終的には人間にまで影響が及ぶでしょう」と彼女は付け加えている。  気候危機や絶滅危惧種の問題は言われて久しいが、相互に連関し合う生態系の中で私たち人間が生きていることを真摯に受け止めない限り、アフリカペンギンの飢餓のニュースも遠い世界の出来事として消費されるだけで終わってしまうだろう。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ボツワナで流行する口蹄疫に対する懸念と影響

2026/02/24/Tue

 2月1日、ボツワナ北東部で口蹄疫(FMD)の発生が確認された。感染拡大を防ぐために、検疫措置と家畜の移動制限を直ちに実施しているが、国境を介す隣国ナミビアや南アフリカでは共通の放牧地帯を介した国境を越えた感染拡大への懸念が高まっている(2日付APA)。  口蹄疫は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどの蹄が偶数に割れている偶蹄類動物に感染する、感染力の強いウイルス性疾患である。人体への影響はないが、輸出禁止や農家の収入減少など、畜産業に壊滅的な影響を与える可能性がある。  ボツワナ北東部は同国において家畜の大部分が暮らす地域であり、近年口蹄疫の発生が定期的に報告されるジンバブエのマタベレランド地域と国境を接している。ボツワナでは、第一発生確認ののち、感染地域では積極的なワクチン接種と監視活動を開始し、国内全域では指定地域外への偶蹄類動物の輸送、屠殺、移動の禁止を含む移動制限が実施されている。  南アフリカでは、農務省が口蹄疫対策を強化しており、アルゼンチン、トルコ、ボツワナからのワクチンを用いた大規模なワクチン接種を実施している。ナミビアにおいても、発生時に迅速に対応できるよう、獣医局が包括的な緊急時対応計画を策定し、ナミビア国防軍、警察、民間生産者などの関係者が、連携した対応チームをつくっている(7日付インフォーマンテ)。  21日付アフリカン・ファーミングによると、口蹄疫の発生とそれに伴う制限措置以前、ボツワナの偶蹄類動物由来の製品の輸出額は年間約7,300万米ドルと報告されている。これからどれほどの経済的影響が生じるかは注視していく必要があるが、偶蹄類動物由来の製品を輸出するボツワナの主要市場の一部は、ボツワナが口蹄疫の発生を公式に抑制するまで、ボツワナからの偶蹄類動物由来の製品の輸入を予防的に停止している状況である。  英国環境・食糧・農村地域省と動植物衛生庁は、ボツワナからの生牛肉の輸入を一時的に制限した。この制限は、2025年12月30日以降に加工された貨物に遡及的に適用される。同省庁は声明で、「ボツワナはヒツジ、ヤギ、ならびに家畜および野生で非家畜の反芻動物の鮮肉輸入国としてリストに掲載されているものの、これらの製品には承認された残留物管理プログラムが存在しないため、輸入対象とはならない」と述べている。欧州連合(EU)も、ボツワナからのこれらの製品の輸入を停止したままであると報じられている。  影響は文化的側面にもおよんでいる。ボツワナに暮らす人たちの中でも、ウシやヤギなどを放牧させながら暮らす牧畜民の人たちは、葬式や結婚式などの際に、犠牲獣としてウシなどを屠る儀礼をおこなう。しかし、今回の流行によって、ボツワナ全土で偶蹄類動物の家庭内屠殺が禁止されている影響を受け、儀礼において代替として偶蹄類ではないロバを犠牲獣として屠っていることが報道されている(17日付ナミビア・ヘレロ語ラジオ放送)。  家畜の感染症の流行においては、貿易との関係から経済的な側面に焦点が当たりやすいが、大きな報道にはなりにくい、こうした文化的側面への影響も見逃してはいけないだろう。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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東部コンゴ南キヴ州への国連PKO再配置

2026/02/13/Fri

 2月9日、国連のラクロワ(Jean-Pierre Lacroix)平和活動担当事務次長はコンゴ民主共和国の首都キンシャサを訪問し、政府高官と面会した。M23がいったん占領し、その後撤退した南キヴ州の都市ウヴィラに対して、国連PKO部隊を派遣する案について議論するためである(11日付ルモンド)。  コンゴには1999年以来、1万人を超える規模の国連PKOミッションMonuscoが駐留している。しかし、コンゴ政府はMonuscoに対して厳しい態度を取ってきた。チセケディ大統領は2023年9月には国連総会でMonuscoを厳しく批判し、同年末には政府からもMonuscoの撤収要求が出された。そのためMonuscoは、2024年6月30日には南キヴ州での活動を終了させた。そこにまた、Monuscoの部隊を出そうということである。  言うまでもなく、この背景には東部コンゴ情勢の変化がある。2025年1月~2月に北キヴ州の主要都市ゴマとブカヴがM23に制圧され、12月4日に米国の仲介でコンゴ、ルワンダ両大統領が停戦合意文書に署名したものの、その直後に南キヴ州のウヴィラまでM23の手に落ちた。米国がルワンダを非難して、M23はウヴィラから撤退したものの、状況が不安定であることは変わりない。そこで、Monuscoによる停戦監視案が浮上したわけである。  M23撤退後の不安定な状況をPKO展開で補強するという考えは、平和維持、平和構築の観点から当然あり得ることである。しかし、この構想の実施にあたっては、少なくとも2つの課題がある。  第一に、コンゴ政府の対応である。Monuscoを厳しく批判し、撤退を要求していたコンゴ政府が、その停戦合意維持活動を信頼し、協力するだろうか。  第二に、Monusco側の能力である。7日、南アフリカ政府は、Monuscoに提供していた700人の部隊を今年末までに撤収すると発表した(8日付ルモンド)。直接的には、予算の問題が挙げられている。南アフリカはコンゴの平和維持に積極的に関わり、Monuscoだけでなく、南部アフリカ開発共同体SADCが派遣した平和維持部隊SAMIDRCにも兵員を提供してきた。しかし、2025年1月のゴマ攻防の際に14人の自国兵士が戦死し、国内では強い批判に晒されてきた。SAMIDRCは既に撤収しているが、南アフリカはこの段階でMonuscoからも部隊を引き揚げる決定をしたわけである。南アフリカの撤収によって、Monuscoの能力低下は避けられない。  Monuscoに限らないが、国連PKOは近年目立った成果を上げられていない。ウヴィラにMonuscoが再び展開し、意味のある平和維持活動ができるかどうかは、コンゴに限らず、国連PKOの今後にとって重要な試金石となるだろう。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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モロッコと米国の蜜月

2026/02/12/Thu

 1月19日、モロッコはトランプ米大統領が主導する平和委員会への参加を宣言した。1月初めには、両国の外交関係250年を記念する式典が米国上院内で開催された。モロッコは1777年に米国の独立を承認した経緯がある。  両国は近年蜜月状態と言ってよく、外交的、軍事的関係を深めている。2025年12月半ば以降だけでも、米国はStingerミサイル600発、GBU-39/B誘導爆弾500発などをモロッコに供与している。大量の武器供与はモロッコへの信頼を示すものであり、2004年以降、米国にとってモロッコは主要な非NATO同盟国の位置づけにある。  モロッコはまた、2006年以降、米国との間で二国間自由貿易協定を結んでいる。2025年4月にトランプ大統領が世界各国に関税を宣言した後も、モロッコは最低水準の10%に留まっている。  こうした深い関係を加速したのが、2020年12月のモロッコによるイスラエルとの外交関係樹立であった。これは同年8月のアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの国交樹立に始まる、いわゆるアブラハム合意によるものである。イスラエルとの国交正常化を受けて、アメリカは西サハラに対するモロッコの主権を認めた。  これ以降、米国とモロッコはさまざまな領域で関係を深めている。特に顕著なのが軍事面で、モロッコは急速に空軍力を増強した。最新鋭のF-16Block 72戦闘機、パトリオット地対空ミサイルシステム、ハイマースロケット砲、ボーイング社製アパッチ軍事ヘリコプターなどが供与された(2月6日付ルモンド)。  米国戦争省(旧国防省)は、モロッコとの関係を「アフリカの平和への礎石」と位置づけ、アフリカのみならず地中海地域全体にとって有益なパートナーだとみている。モロッコ側としても、アルジェリアとの緊張関係を考えると、欧米やイスラエルの支持を受けた軍事力増強は望ましい。  モロッコとアルジェリアは国交断絶状態が続いており、アルジェリアはロシアなどから大量の武器を購入している。北アフリカに「安全保障のジレンマ」による軍拡競争が広がりつつある。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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ワシントン和平合意以降の東部コンゴ

2026/02/08/Sun

 昨年12月4日、コンゴ民主共和国のチセケディ、ルワンダのカガメ両大統領は、トランプ大統領立ち会いの下、ワシントンで和平合意に署名した。この和平協定の眼目は、東部コンゴへの米国企業による投資と平和とのディールである。  署名から2ヶ月が過ぎたが、現地の状況に好転は見られない。署名のわずか1週間後には、ブルンジ国境の町ウヴィラがM23に制圧され、大量の難民がブルンジに流出した。メンツを潰された格好の米国はルワンダを非難し、それに対応する形で、M23は12月15日にウヴィラからの一方的な撤退を宣言した。  米国企業のコンゴ鉱業への投資については、動きが見られる。2月3日、米国政府が支援する鉱業投資ファンドOrion Critical Mineral Consortiumは、資源大手Glencore社が カタンガ州で展開する銅、コバルト生産事業に数十億ドル規模の出資すると発表した。ワシントンにはコンゴ政府高官が複数招かれ、鉱物資源に関する関係閣僚会議が開催された(2月4日付ルモンド)。同じくカタンガ州で銅、コバルト生産に関わるChemaf社(ドバイが拠点だが、コンゴ政府も株式を保有)についても、米国政府は自国のVirtus Resources社が率いるコンソーシアムへの売却をコンゴ政府に働きかけている(1月31日付ルモンド)。  そうしたなか、1月31日から翌日にかけて、コンゴ北東部に位置するキサンガニの空港にドローンが飛来し、自爆攻撃を仕掛けた。M23が犯行声明を出し、コンゴ政府によるドローン攻撃への反攻だと主張した。  キサンガニはコンゴ政府軍(FARDC)の第三軍管区の司令部が置かれ、ドローン(中国製CH4、トルコ製TAI アンカ)の基地となっているほか、東部戦線の部隊にロジスティックスを提供している。M23の制圧地である北キヴから遠く離れたキサンガニまで攻撃がなされたのは、これまでにないことである(2月5日付ルモンド)。  一方、ルワンダの政府系紙New Timesは、2月6日付記事で、コンゴ東部でバニャムレンゲ人コミュニティがコンゴ政府に対する抗議活動を行ったと報じている。バニャムレンゲはルワンダ系コンゴ人で、M23やルワンダ現政権との繋がりが深い。報道によれば、この示威行動は米国政府に向けられたもので、人道に反する罪を行うコンゴ政府に対して投資などの資金提供を止めるべきだと訴えている。「バニャムレンゲはコンゴ東部の少数派キリスト教徒であり、コンゴ政府による暴力や迫害に苦しんできた。迫害はM23がウヴィラを制圧している間だけ止んだが、撤退後はまた再開された。コンゴ政府に圧力をかけてほしい」という要請である。  この抗議活動とNew Times紙の報道に、ルワンダ政府の意図を見ることはたやすい。ただし、この地域のバニャムレンゲの人びとが暴力の対象になってきたことも間違いない。トランプが仲介したディールによって、ローカルな紛争は、コンゴ・ルワンダ両国政府というナショナルなレベルを超えて、米国企業や米国政府というグローバルなレベルと結びつくことになった。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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マリ軍事政権に接近するトルコ

2026/02/01/Sun

 近年トルコはアフリカ諸国との関係を急速に深めている。28日付ルモンドは、マリ軍事政権との関係深化について報じている。  トルコがアフリカ諸国との関係を深めるにあたって、軍事産業が重要な役割を果たした。よく知られているのがドローンで、バイカル社のバイラクタル TB2は人気が高い。マリに初めてバイラクタルTB2が入ってきたのが2022年末のことで、それ以降急速に普及した。バイラクタルTB2だけでなく、アキンジ(Akinci)機も利用されている。2025年4月に国境付近でアルジェリアに撃墜され、両国関係の悪化を招いたのはこのドローンである。操縦技術を学ぶため、数十人のマリ人軍人がトルコ北西部のKesanでバイカル社ドローンの操縦訓練を行っている。  トルコの防衛産業は、ドローンだけでなく多くの武器や装備品をマリ軍に納入している。マリ軍兵士のトレーニングを請け負ったり、軍事政権トップのボディガードも行っている。  トルコへの接近を、軍事政権内のバランスから説明する分析もある。ロシアに近くワグネルやAfrica Corpsの受入れを担当しているカマラ(Sadio Camara)国防相への牽制として、アシミ・ゴイタを中心にトルコとの関係を深めている、との説明である。  ただし、ロシアとトルコを比べれば、マリとの関係は前者の方がずっと深い。Africa Corpsはマリ国内に2000人いるとみられ、これに匹敵する数の軍事・治安要員を派遣する国はない。  トルコのエルドアン政権は、ソマリアと深い関係を築いたことで知られる。西アフリカでは、マリのみならずブルキナファソやニジェールにもドローンを販売し、関係を深めている。軍事産業を中心にアフリカとの関係を深めるやり方は、ロシアとも共通する。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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アメリカの人気動画配信者のアフリカツアー

2026/01/31/Sat

 1月28日、世界的な人気を誇るアメリカの動画配信者IShowSpeed氏が、貧困や暴力のイメージに隠れがちなアフリカ大陸の文化的多様性をアピールすることを目的とした、約1か月のツアーを終えた。  IShowSpeed氏は、アメリカ出身の人気動画配信者で、エネルギッシュでカオスな配信スタイルや、世界各地を訪れるライブ動画配信で知られる。ライブ動画配信は、編集をしないリアルタイムの映像に対して、コメント機能などを通じて配信者と視聴者が即時的に双方向コミュニケーションを取ることができるのが特徴である。同氏はYouTubeで5000万人以上のチャンネル登録者数、Instagramで4500万人以上のフォロワー、TikTokで4700万人以上のフォロワーを有するメガインフルエンサーである。  アフリカ20カ国を28日間でめぐる「Speed Does Africa」と題された今回のツアーでは、訪問先のガーナ、ナイジェリア、ケニア、セネガル、モロッコ、ナミビアなどの各国から毎日ライブ動画配信をおこなった。賑やかな通りを歩き回り、地元の人びとと冗談を言い合い、踊りや儀礼に参加し、市場で飲み食いする臨場感あふれるリアルタイムの様子が映し出された。1月18日には、モロッコで開催されたアフリカネイションズカップ決勝を観戦し、その後セネガルを訪れ、ファンとともに代表チームの勝利を祝っている。ナイジェリアの首都ラゴスでは、若いファンらが同氏の21歳の誕生日とYouTubeチャンネル登録者数5000万人達成の節目を祝った。(1月28日付AP通信、29日付DW)。  1月28日付の旅行観光メディアSkiftの記事によると、IShowSpeed氏のような人気動画配信者は、政府の観光キャンペーンよりも早く、アフリカのグローバルイメージを刷新する力を持つと指摘している。現に、アフリカツアーのライブ動画配信は、エチオピアでの動画は20時間以内に1000万回、続いてケニアで960万回、南アフリカで500万回という驚異的な再生回数を記録している。ケニアとエスワティニの観光局は、同メディアのインタビューにおいて、インフルエンサーによるライブ動画配信は、従来の観光マーケティングモデルを覆し、Z世代の関心を基盤とした新たなモデルの構想を可能にすると語っている。  周知のように、新しい秩序が生まれたり、変化をもたらしたりするのが、混沌の中や若い世代であることを考えると、ステレオタイプ的なイメージを変える可能性を秘めているのは、こうした一見するとカオスに見える若いインフルエンサーなのかもしれない。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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サヘル三国に接近するトーゴ

2026/01/24/Sat

 1月20日、トーゴ政府は、ダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐のブルキナファソへの引き渡しを発表した。16日に首都ロメで逮捕され、翌日引き渡されたという。ダミバ中佐は、2022年1月のクーデタで実権を握り、同年9月にトラオレ大尉のクーデタによって放逐された。その後トーゴに亡命していたが、ブルキナファソの軍事政権からは不安定化工作に関与したとして繰り返し非難されてきた。  ブルキナファソでは、今月3日、不安定化工作の疑いで複数の軍人が逮捕されたが、この時もダミバの関与が囁かれた(5日付ルモンド)。これが今回の逮捕と引き渡し劇のきっかけになったと思われる。  今回の引き渡しにより、トーゴのフォール・ニャンシンベ政権のブルキナファソ軍事政権への接近が明らかになった。ブルキナファソだけではない。2025年3月、トーゴのデュセイ(Robert Dussey)外相は、同国がサヘル諸国同盟(AES)への参加を検討しており、メンバー国に海洋への出口を提供できる、と述べて、AES構成国(マリ、ブルキナファソ、ニジェール)への接近を印象づけていた。  トーゴは、サヘル三国と並行して、ロシアにも接近している。2025年10月30日、フォール・ニャンシンベはマクロンとエリゼ宮で会談したが、11月中旬にはモスクワを訪問し、クレムリンでプーチンと会談した。そこで新たな二国間防衛協定を結び、ロシア海軍がロメ港を利用できるようにした(21日付ルモンド)。  ロメ港をめぐっては、実現はしなかったものの、2025年末にニジェール産ウラニウム(イエローケーキ)1000トンがロシア向けに輸出される計画があった。ブルキナファソ、トーゴが治安維持を約束し、ジハディストが活動する地域を通ってニジェールからロメ港まで運ぶことになっていた(21日付ルモンド)。このイエローケーキは、フランス企業オラノとニジェール軍事政権との係争の種になっており、ニジェールに協力するトーゴの姿勢は、そのままフランスとの距離を示している。  12月に起こったベナンのクーデタ未遂事件をめぐっても、周辺諸国に亀裂が生じている。事件にはニジェール軍事政権の関与が取り沙汰され、首謀者のティグリ(Pascal Tigri)中佐はトーゴを経由してニジェールに逃亡した。  サヘル三国にトーゴが接近して親ロシアの外交姿勢をとり、それにベナン、コートジボワールなど親仏諸国が対立する構図が西アフリカに浮かび上がってきた。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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