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フランス大統領が奴隷貿易への賠償の必要性に言及
2026/05/27/Wed
フランスのマクロン大統領は、21日、奴隷制・奴隷貿易に関する「賠償」を考える必要性に言及した。フランスの大統領として初めての、注目すべき発言である。
フランスには奴隷制・奴隷貿易を「人道に反する罪」だと定める「トビラ法」があり、この発言は21日にエリゼ宮で開催された、トビラ法制定25周年記念式典レセプションの場でなされた。「このような犯罪に、どう償いをなすべきなのか。この問いを避けてはならない。しかし同時に、軽々しい約束をしてもならない。」とマクロンは述べた(22日付ルモンド)。
この発言は、3月25日に国連総会で採択された決議へのフランスの対応と大きく異なる。奴隷制・奴隷貿易を「最大の人道に反する罪」と捉え、賠償の必要性を訴えたこの決議に、フランスは棄権した。それから2ヶ月後、アフリカ各国大使を含む約300人の招待客の前で、マクロンはこの発言をしたのである。
変化の背景として、アフリカ連合(AU)やカリブ共同体(CARICOM)からのロビイングが指摘されている。4月8日、国連決議の提案国ガーナのマハマ大統領は、エリゼ宮に招かれマクロンと会談した。この会談が両首脳の見解を近づけたとされている。マクロンは「マハマ大統領と、具体的な提言をまとめるために国際科学委員会を発足させることを決めた」と述べ、今後のプロセスも明らかにした。
マクロンはこの日、いわゆる「黒人法」(Code noir)の廃止にも言及した。「黒人法」とは17~18世紀に制定された王令で、捕獲されたアフリカ人を「動産」と見なすなど、奴隷制に関する定めが含まれている。もはや効力はないが、法律自体は今日まで残っている。この廃止に向けた手続きが、5月末に下院で進められることになった。
マクロンの対応について、ルモンド紙の社説は好意的に評価した(23日付)。先の文化財返還法もそうだが、大統領2期目の任期満了まで1年を切るなかで、積極的にレガシーを作ろうとしているようにも見える。この方向性はポジティブに評価すべきだと思う。(武内進一)
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セネガルで大統領が首相を解任
2026/05/24/Sun
22日、大統領府事務局長ウマル・サンバ=バ(Oumar Samba Ba)が、ウスマヌ・ソンコ首相の解任と内閣解散を発表した。ソンコは与党Pastefの指導者で、2024年3月の政権交代以来、ジョマイ=ファイ大統領とのコンビでセネガルを率いてきた。両者の決裂によって、セネガル政治の混乱は必至である。
ソンコとジョマイ=ファイは、Pastefが結成された2014年以来の盟友であった。カリスマ性があり、動員力に長けたソンコに対して、ジョマイ=ファイは戦略を練る裏方という役割分担であった。2024年の大統領選挙の際にはソンコに立候補資格が与えられなかったため、ジョマイ=ファイが立候補し、当選した経緯がある。
この数か月は両者の間に亀裂が表面化し、ソンコがジョマイ=ファイのやり方を批判する場面が目立っていた。5月に入って、ジョマイ=ファイはTVインタビューで、ソンコと決裂する可能性について初めて言及していた(23日付ルモンド)。
セネガルではこれまで、比較的安定した民主的な政権運営を続けられてきた。独立以来、クーデタなどによる非合法的な政権交代は起きていない。選挙暴力はあったが、それによって膨大な数の犠牲者が出る事態は避けられてきた。今回の政治危機をうまく収拾できるのか、政権は重大な事態に直面している。(武内進一)
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エボラ熱の感染拡大
2026/05/22/Fri
WHOは20日、コンゴ民主共和国東部ではかなり前からエボラウイルスの感染が広がっていたとの見解を明らかにした(21日付ルモンド)。コンゴ東部におけるエボラ熱は、15日にアフリカ疾病予防センター(Africa CDC)が公式に発表したばかりである。この時は、エボラ熱による死亡が最初に確認されたのは4月24日で、東部の都市ブニアにある教会系の病院でということだった。
ただし、感染が拡大したのはブニアではなく、そこから北方に約75キロ入った鉱山町モングワル(Mongbwalu)であった(18日付ルモンド)。ブニアとモングワルとの間は、悪路のためアクセスが非常に困難である。モングワルでいつ頃、どのように感染が広がったのかという情報はほとんどなく、初期の感染経路は特定できていない。
公式発表以降、感染は急速に拡大し、死者数は当初発表された80人から139人に増加している(21日付ルモンド)。
Africa CDCはアフリカ連合直属の疾病予防機関で、トップのカセヤ(Jean Kaseya)氏はコンゴ民主共和国出身の医師である。ルモンド紙とのインタビューで、彼はエボラ熱の急速な感染拡大に懸念を示し、援助の大幅な削減によって、サーベイランスシステムの維持、医療人材の育成、機材の管理、検体の輸送などが難しくなっていると指摘している(19日付ルモンド)。
エボラ熱の世界的感染を恐れる必要はないが、コンゴ東部を中心とする地域では感染拡大が深刻に懸念される。援助削減の影響が表面化したと考えるべきであろう。(武内進一)
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フランスで文化財返還に関する法律制定
2026/05/18/Mon
フランスで、文化財返還に関する法律が公布された。「違法に取得された文化財の返還に関する2026年5月9日付法律No.2026-351」である。この法律は、植民地の征服などに際しての強奪など違法に取得されたフランスの文化財を対象とし、その返還を進めることを目的に制定された。上下両院を全会一致で通過したことは特筆される(6日、7日付ルモンド)。
ルモンド紙文化担当編集責任者のミッシェル・ゲラン(Michel Guerrin)はこの法律を高く評価し、マクロンの業績だと賞賛している。文化財返還に際しては、これまで国内の文化財に関する譲渡禁止条項が壁となり、個別の特例法を作って対応するしかなかった。この法律制定により、違法に取得された文化財に関してはその必要がなくなり、委員会での審査で返還を進められるようになった。ゲランは、この法律によってアジア・アフリカの作品の多くがフランスの博物館から消えるだろう、それはよいことだ、と述べている(15日付ルモンド)。
フランスにおける文化財返還の動きが、マクロン政権下で進んだことは事実である。彼は大統領に就任した2017年、訪問先のブルキナファソにおいて文化財の返還を約束した。今回の法律制定によって、その約束が果たされたことになる。ナイロビで開催されたフランス・アフリカサミットでも、アフリカの博物館関係者が参加し、返還に向けた協議が進んだという。
法律の審議に際して、全会一致での採択に漕ぎ着けたことは高く評価できる。フランスでも、「過去」との向き合い方には多様な意見がある。2001年に制定された「トビラ法」によって、5月10日は奴隷と奴隷貿易を想起するための国民記念日とされているが、極右政党(RN)出身の市長のなかにはこの行事を取りやめた者もいる(13日付ルモンド)。文化財返還に関しても、意見が割れても不思議ではなかった。全会一致での法案採択と迅速な法律制定は、フランス外交にポジティブな効果をもたらしたと言えよう。(武内進一)
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フランス・アフリカサミット
2026/05/17/Sun
5月11-12日、ケニアの首都ナイロビでフランス・アフリカサミット("Africa Forward")が開かれた。このサミットは、幾つかの面でフランスの対アフリカ政策の変化を感じさせる内容だった。
まず、この会議がナイロビで開催されたことである。フランス・アフリカサミットが英語圏アフリカで開催されたのは初めてのことだ。マクロン大統領は、「アフリカがフランスの占有地(pré carée)であった時代は終わった」と述べ、このサミットがフランスの新たなアフリカ政策を象徴するものだと訴えた。
「援助から投資へ」の流れを確認したことも、このサミットの特徴である。会議には、フランスやアフリカ各国から1500人の民間企業家が参加した。Schneider Electric, TotalEnergies, Orange, Danoneといったフランスの有力企業トップに加えて、ナイジェリアのダンゴテなど著名なアフリカ人企業家が会議に集まり、多くの商談を成立させた。サミットでは、フランスから140億ユーロ、アフリカから90億ユーロ、合計230億ユーロの投資が約束された。
35人の国家元首、企業家や市民社会など総計7000人が参加したサミットについて、ルモンド紙は前向きに評価した(13日付社説)。任期満了まで残り1年となったマクロンの、アフリカでの最後の花道だと評する向きもある。
サミットの場を利用して民間ビジネス振興を図るという意味で、今回のフランス・アフリカサミットは近年のTICADに似ている。アフリカの企業家も取り込んで、より大規模にビジネスサミットを展開したと言えるだろう。
「対等なパートナー」であること強調して民間ビジネス振興打ち出す姿勢は、メローニ首相の下でイタリアが進める「マッティ計画」や、EUが進める「グローバル・ゲートウェイ・プログラム」とも共通している。多くの企業家を引き連れて北京を訪問したトランプ大統領の例を見ても、ビジネス振興が首脳外交の中心課題になりつつある。(武内進一)
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マリ軍事政権に大規模な攻撃
2026/04/29/Wed
軍事政権が支配し、ロシアと密接な関係を結んできた西アフリカのマリで、25~26日にかけて反政府武装勢力が主要都市に攻撃を仕掛け、甚大な被害を与えた。政権幹部が死亡し、北部のキダルは反政府勢力に制圧された。この事件は、マリをめぐる内外の政治情勢に大きな影響を与えるであろう。
ルモンド紙の報道によれば、25日、マリのジハディスト勢力(GSIM/JNIM)とトゥアレグ人武装勢力(FLA)が、首都バマコ、国軍参謀本部が置かれたカティ、北部キダル、ガオ、中部セヴァレなど主要都市を一斉に攻撃した。カティに対する自爆攻撃によって、軍事政権No.2のカマラ(Sadio Camara)国防相が死亡した。また、軍事政権がロシアの支援を受けて2023年11月に制圧したキダルは、再びトゥアレグ人武装勢力の支配下に戻った。
今回の事件の全容はなお不明だが、はっきりしているのは、マリ軍事政権がロシアとの間で進めてきた治安対策が十分な効果を上げなかったということである。2020年のクーデタで政権を握ったマリ軍部は、特に2021年5月にゴイタ(Assimi Goita)が二度目のクーデタで権力を掌握して以来、フランス軍や国連平和維持部隊を撤収させ、ロシアに接近して、その準軍事組織(当初はワグネル、後に「アフリカ部隊」)の兵士を国内に展開させてきた。今回の甚大な被害は、ロシアに依存した治安対策が十分な効果を生んでいないことを明確に示している。
キダルの制圧にあたって、GSIMとFLAはロシアの「アフリカ部隊」と協定を結び、その撤退を秩序だって行わせた。反政府勢力は、自分たちが交渉可能なアクターであると内外に示そうとしているようだ。この協定は、アルジェリアの仲介で行われたという(28日付ルモンド)。ここ数年マリとの関係が悪く、サヘル諸国ともギクシャクしてきたアルジェリアが、この地域に強い影響力を持つアクターとして復帰してきたことを印象づける。
GSIMは首都バマコへの包囲網を続けると表明した。軍事政権への圧力はさらに強まるであろう。現在、国内で政治組織は活動を禁止されており、反軍事政権の動きがすぐに首都で活発化することは考えにくい。また、GSIMによるバマコ制圧は、アルジェリアを含めて地域各国が避けたいシナリオである。このように、軍事政権が当面存続する条件もある。周辺国も、フランスも、状況の推移を慎重に見守っているというところだろう。(武内進一)
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セネガル反同性愛法の根拠を問う
2026/04/18/Sat
セネガルでは最近になって同性愛者に対する抑圧が強まり、3月には厳罰化を趣旨とする反同性愛法が制定・発布された。これを正面から批判する人類学者Richard Powisの論説が、17日ルモンド紙に掲載された。彼は、この法律を正当化する二つの論理について、根拠がないと批判する。
第一に、同性愛はアフリカのものではなく、西側から輸入されたという主張である。こうした主張をするアフリカの指導者は少なくない。しかし、これまでの研究で、そうした主張に根拠がないことが示されている。植民地化以前のセネガルでは、同性愛者は社会に統合されていた。植民地期に持ち込まれたのが、同性愛を厳しく禁じる法律であった。今回のセネガルの法律についても、米国保守派(プロファミリー)の影響が指摘されている。
第二に、同性愛禁止は公衆衛生上の観点から必要だという主張である。しかし、性的マイノリティを罰することが、疾病の予防になるという主張には根拠がない。
セネガルはこれまで、安定した民主主義を実現してきた。サブサハラアフリカ諸国のなかではHIV/AIDSの感染率が低く、西アフリカでは妊産婦死亡率が最も低い国のひとつである。HIV感染率が低い理由として、WHOの勧告に迅速に対応してきたこと、イスラム宗教指導者・政府保健当局・議会が協力してきたことが指摘され、複合的要因によって感染症の流行が抑制されてきたと考えられている。妊産婦死亡率の低さも、過去数十年の政策的努力の結果と評価され、コミュニティ医療を重視するBajenu Goxという政府のプログラムが機能してきた。コミュニティの関与によって状況が改善してきたわけである。
罰則の強化は対象者に恥辱やスティグマを植え付け、コミュニティの関与を難しくする恐れがある。感染症予防など保健・衛生分野において、恥辱、スティグマ、孤立は状況を悪化させることが多くの研究で証明されている。
セネガルでは、2月以来、同性愛者と目された人びとが数多く逮捕されている。性的マイノリティを対象としたポピュリスト政策が、保健衛生に関する長年の蓄積に深刻なダメージを与えることが懸念される。(武内進一)
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2025年にODAの大幅減
2026/04/12/Sun
OECDは9日、2025年の援助動向について発表し、DAC加盟国の援助総額が2024年に比べて23.1%減少したと発表した。ODA供与額の減少は二年連続で、下げ幅は過去最大であった。特に米国のODAは前年度比で56.9%減少し、その供与額はドイツを下回って世界第2位に後退した。二国間ドナーの供与額は、ドイツ、米国、英国、日本、フランスの順となった。
二国間援助は前年度比26.4%、多国間援助は同12.7%の減少となった。二国間援助のなかでは借款より無償の切り下げ幅が大きく、前者がマイナス10.3%だったのに対して、後者はマイナス29.1%であった。多国間援助へのインパクトは機関によって異なる。国連への援助が27%と著しく削減されたのに対して、世界銀行など多国籍銀行への拠出は増加した。
開発プログラム、開発プロジェクト、技術支援向けODAは26.3%、人道支援向けODAは35.8%の減少で、国際協力の中核事業が大幅に削減された。
地域で見ると、ウクライナ向け二国間ODAは、米国支援の大幅カットの影響を受けて38.2%減少し、103億ドルとなった。ただし、ウクライナに対してはEU諸機関から巨額の支援がなされ、総額では449億ドルが供与された。2024年に比べて、18.7%の増加となる。これは単一の受益国に対する史上最大のODA供与額で、DAC加盟国による後発開発途上国向けODA総額(281億ドル)、対サブサハラアフリカ向けODA総額(292億ドル)を上回る。後発開発途上国(LDCs)向けとサブサハラアフリカ向けODAは、それぞれは25.8%、26.3%の減少で、貧困国向け援助が顕著に削減された。
ODA供与額は、2019年から2023年の間、新型コロナウイルス感染症対策の影響で32.7%増加した。その後、2024年に6.1%、2025年に23.1%と連続で大幅に切り下げられ、2019年を下回る水準となった。2026年もさらなる切り下げを見込んでいる国が多い。
ルモンド紙は、援助額の削減に加えて、援助のモダリティに関わる問題を指摘している。貧困国への連帯という観点が薄れ、ドナーの利益に応える必要性が強調されるようになった。典型的には米国で、稀少鉱物確保のために援助を利用している。米国はザンビアに対して、10億ドルのエイズ、結核、マラリアの治療薬購入の援助を与える見返りとして、鉱物資源へのアクセス改善を求めている(9日付ルモンド)。
ODA削減が憂うべき事態であることは確かである。これによって感染症対策が滞ることも懸念されている。一方、過去20年あまりを振り返ると、「テロとの戦い」、「コロナ対策」、「ウクライナ支援」など様々な理由でODA支出が増加を続けており、その検証も十分になされたとは言い難い。こうした形でODA予算を増やし続けることが、国内政治的に不可能になったという側面もあろう。ODAの理念や意義について再考するには良い機会かもしれない。(武内進一)
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ルワンダによるモザンビークへの派兵
2026/04/07/Tue
ルワンダ軍による対モザンビーク派兵の帰趨が注目されている。ルワンダ軍は、モザンビーク政府との二国間協定に基づいて、同国北部のカボ・デルガド州に約2000人の部隊を派遣している。同州ではトータルエナジーズ(仏)やエクソンモービル(米)といった企業によって大規模な液化天然ガス開発プロジェクトが計画されているが、イスラム急進主義勢力の活動によって中断を余儀なくされた。ただし、ルワンダ軍の派兵もあって、最近では治安状況が一定程度改善し、計画の再開が見込まれている。
一方、ルワンダ軍に対してはコンゴ民主共和国東部への軍事介入が指摘され、3月には米国が制裁対象とした。EUは2022年、ルワンダ軍に2000万ユーロを提供したが、今年5月以降は新たな資金を提供しないことを決めた。これに対して、ルワンダ外相は、EUからの資金が停止されれば部隊を撤収すると反発している(3月14日付New Times)。
国際危機グループ(ICG)のアナリストは、ルワンダは実のところ、モザンビーク派兵に際してEUの資金を必要としていないと述べている(3月27日付ルモンド)。そもそも2000万ユーロでは、2000人の派兵経費の一割程度しかカバーしない。ルワンダは、政権与党RPF系の企業Crystal Ventures 社を通じてモザンビーク経済に投資している。軍の進出によって、現地でビジネスを展開しており、撤退に利益はないという。「ルワンダは援助は必要ないが、(EUからの支援を通じて)モザンビークへの派兵に正統性を求めている」とアナリストは分析している。
ルワンダは国連PKOに積極的に参加し、現在は最大の兵員提供国のひとつである。国連PKOへの参加を通じて、軍の装備が近代化され、軍事的能力を高めたとの指摘もある。「部隊を撤収する」というルワンダ外相の発言が単なる脅しなのかどうかは、遠からずはっきりするだろう。(武内進一)
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大西洋奴隷貿易に関する国連決議
2026/04/05/Sun
3月25日、国連総会で、大西洋奴隷貿易を最も重大な「人道に対する罪」だとする決議が採択された。決議の正式名称は「奴隷化されたアフリカ人の人身取引および人種に基づく動産的奴隷制を、人道に対する最も重大な犯罪と位置づける宣言」と訳せる。これまでも何度か「人道に反する罪」だとされてきた大西洋奴隷貿易を、国連総会の場で、「最も重大な犯罪」だと認定したものである。
決議は、賛成123,反対3(米国、イスラエル、アルゼンチン)、棄権52の圧倒的多数で採択された。ヨーロッパ諸国や日本は棄権し、ほとんどのグローバルサウスの国々、中国、ロシア、韓国などは賛成した。
アフリカ諸国のなかでは、ベナンとマダガスカルが投票しなかった。ベナンは、行政上のミスだと述べ、内容には賛成するとしている。マダガスカルは明確な説明をしていないが、両国とも決議の提案国に名前を連ねているので、ベナンと同じく手続き的なミスによるものだろう。
決議には幾つかの議論のポイントがある。第一に、補償(reparations)に関するものである。決議では、奴隷貿易を「人道に反する罪」だと認め、その補償を求めている。奴隷制度や奴隷貿易が重大な「人道に反する罪」だという認識は、様々な機会を通じて共有されてきた。2001年に南アフリカのダーバンで開催された反人種主義世界会議はよく知られているし、同じ年にフランスはいわゆる「トビラ法」を制定して、その認識を法制化した。ただし、補償については依然として消極的である。ヨーロッパ諸国や日本が棄権した理由として、この点が大きいのであろう。
第二に、大西洋奴隷貿易の「特権化」という問題がある。奴隷貿易は、大西洋ルートだけでなく、インド洋やサハラ砂漠を経由したルートもある。しかし、この決議では、大西洋奴隷貿易だけが取り上げられている。大西洋奴隷貿易だけに光を当てることが、「記憶のヒエラルキー化」につながらないか懸念する声がある(4月2日付ルモンド)。
いずれも難しい問題である。補償について前向きな国はなく、奴隷貿易に関する理解を深め、記念事業を行うところから時間をかけて進めるしかない。また、大西洋奴隷貿易は、強制移住を強いられた人口の規模が巨大であることに加えて、現代資本主義経済の基盤を構築した点で特に重要だという識者の意見がある。ただし、奴隷貿易の他のルートについても忘却を防ぐ取り組みが必要なことは言うまでもない。(武内進一)
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