フランスのマクロン大統領は、21日、奴隷制・奴隷貿易に関する「賠償」を考える必要性に言及した。フランスの大統領として初めての、注目すべき発言である。
フランスには奴隷制・奴隷貿易を「人道に反する罪」だと定める「トビラ法」があり、この発言は21日にエリゼ宮で開催された、トビラ法制定25周年記念式典レセプションの場でなされた。「このような犯罪に、どう償いをなすべきなのか。この問いを避けてはならない。しかし同時に、軽々しい約束をしてもならない。」とマクロンは述べた(22日付ルモンド)。
この発言は、3月25日に国連総会で採択された決議へのフランスの対応と大きく異なる。奴隷制・奴隷貿易を「最大の人道に反する罪」と捉え、賠償の必要性を訴えたこの決議に、フランスは棄権した。それから2ヶ月後、アフリカ各国大使を含む約300人の招待客の前で、マクロンはこの発言をしたのである。
変化の背景として、アフリカ連合(AU)やカリブ共同体(CARICOM)からのロビイングが指摘されている。4月8日、国連決議の提案国ガーナのマハマ大統領は、エリゼ宮に招かれマクロンと会談した。この会談が両首脳の見解を近づけたとされている。マクロンは「マハマ大統領と、具体的な提言をまとめるために国際科学委員会を発足させることを決めた」と述べ、今後のプロセスも明らかにした。
マクロンはこの日、いわゆる「黒人法」(Code noir)の廃止にも言及した。「黒人法」とは17~18世紀に制定された王令で、捕獲されたアフリカ人を「動産」と見なすなど、奴隷制に関する定めが含まれている。もはや効力はないが、法律自体は今日まで残っている。この廃止に向けた手続きが、5月末に下院で進められることになった。
マクロンの対応について、ルモンド紙の社説は好意的に評価した(23日付)。先の文化財返還法もそうだが、大統領2期目の任期満了まで1年を切るなかで、積極的にレガシーを作ろうとしているようにも見える。この方向性はポジティブに評価すべきだと思う。(武内進一)
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