ベナンのワダニ(Romuald Wadagni)新大統領が、就任早々、活発な地域外交を展開している。5月24日に大統領就任式を終えると、6月初めにナイジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、トーゴ、コートジボワールを歴訪した。
歴訪の主目的は地域の緊張緩和で、特にニジェールとの関係改善がポイントである。2023年のクーデタで軍事政権が成立したニジェールに対して、地域機構の西アフリカ経済共同体(ECOWAS)は経済制裁を加え、ベナンもそれを積極的に支持した。その結果、国境は封鎖され、両国関係は著しく緊張した。昨年12月にベナンでクーデタ未遂が起こった際には、ニジェールの関与が疑われた。
ワダニは、大統領就任式にニジェールの首相、内相、国境地域で強い政治力を持つスルタンを招待したうえで、自ら首都ニアメを訪問し、軍事政権トップのチアニと会談した。結果として、6月20-21日、ベナンの最大都市コトヌをニジェールの治安担当大臣が訪れ、安全保障・国境協定に署名した。ニジェールはベナンに駐留するフランス軍の存在に神経を尖らせており、完全な和解とは言えないものの、両国関係は大きく改善した。
ワダニは今回の歴訪でブルキナファソを訪問し、トラオレ大統領と会談している。マリ、ニジェールとともにECOWASから脱退したブルキナファソへのアプローチも、西アフリカの緊張緩和という文脈で注目される。関係がよくなかった隣国のトーゴを訪問したことも、同様の文脈で重要な動きである(23日付Africa Confidential)。
これまで西アフリカでは、サヘル三国(マリ、ブルキナファソ、ニジェール)の軍事政権が反フランスを掲げ、ECOWASからも脱退して、域内の緊張を高めていた。三国に対してはトーゴが接近していたが、ナイジェリア、ベナン、コートジボワールはサヘル三国に厳しい態度を示してきた。こうした域内の構図が変化するかも知れない。(武内進一)
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