12月12日付ルモンド紙によれば、複数のベナン、ニジェール筋が、7日にベナンで起こったクーデタ未遂事件にニジェールの軍事政権側が関与していた可能性を示唆している。
このクーデタ未遂事件は、ティグリ(Pascal Tigri)中佐を中心とする100~200人のグループが主導したとされ、13人は逮捕されたものの、首謀者の多くはなお逃亡している。
2023年にニジェールでクーデタが起こった際、ベナンはこれを厳しく批判して、ECOWASによる軍事介入にも積極的な姿勢を示した。それ以降、両国の関係は悪化し、国境も閉鎖されてきた。
しかし、クーデタの数時間前、ニジェール軍は自国領とベナン領を結ぶ橋の通行規制を解除していた。ニジェール軍事政権は、フランス企業のオラノ(旧アレバ)との間でウラニウム開発をめぐる紛争を抱えているが、11月末にウラニウムの精鉱であるイエローケーキ1000トンを首都ニアメの軍事基地に搬出したことが報じられていた(11月28日付ルモンド)。
クーデタが成功していれば、このイエローケーキがベナン経由で輸出された可能性がある。その輸出先と見られるのがロシアで、ニジェールは11月初めにロシアのRosatom社との間でウラニウム取引の協定を結んでいる(11月6日付ルモンド)。
クーデタに関連して注目を集めたのは、ベナン出身のインフルエンサー、ケミ・セバ(Kemi Seba)である。彼は、反欧米の言説で人気を博し、タロンに敵対してニジェール軍事政権の顧問に就任したが、12月7日朝には、SNSにクーデタを賞賛する動画を投稿した。
ベナンでクーデタが成功していれば、ニジェールだけでなく、マリやブルキナファソの軍事政権もこれを歓迎しただろう。このクーデタ未遂事件から、西アフリカの深い亀裂が垣間見える。(武内進一)
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