5月以降、南アフリカで反移民運動の高まりが報道されている。5月27日には、ガーナ政府が飛行機をチャーターし、300人の自国民を帰還させた。ナイジェリア政府も自国民の帰還を準備している(5月30日付ルモンド)。
南アフリカには、アフリカ各国出身の移民が数多く生活している。その数は、約400万人(人口の6%程度)とも言われる(5月31日付ファイナンシャルタイムズ)。合法的に滞在する人も多いが、非合法に滞在する移民が自分たちの職を奪っているという考えが、南アフリカ人に広く流通している。
南アフリカの反移民運動は「ゼノフォビア」(外国人嫌悪)とも呼ばれるが、2008年、2015年、2019年など、これまで周期的に起こってきた。特に、選挙の際に政治家が反移民感情を煽ることが指摘されている。失業率の高さを移民のせいにして、取り締まりを強化すると訴えるわけである。
今回も、11月に予定されている地方選挙の影響が見て取れる。ジョハネスバーグ近郊のタウンシップ、ソウェトでは、野党ActionSAのマシャバ党首が選挙集会を開き、不法移民取り締まり強化を訴えた後に、移民が経営する商店に支持者が押しかけたという(5月31日付FT)。
6月5日付ルモンド紙は、反移民運動の指導者のひとりJacinta Ngobese-Zumaを紹介している。もともとクワズールー=ナタール州のFMラジオでズールー語のパーソナリティを務めていた。2025年3月以降、ダーバンで、不法移民取り締まり強化を訴える運動「March and March」を活発化させた。Facebookには87万人のフォロワーを持ち、反移民を訴える動画を相次いで投稿して若者から支持を集めている。ズマという名前だが、元大統領との親族関係はない。クワズールー=ナタール州から始まったMarch and Marchの反移民デモは、イーストロンドン、ヨハネスブルク、ブルームフォンテイン、ケープタウンなど、南アフリカ各地に広がっている。
アフリカ各国は、南アフリカへの非難を強めている。ガーナ政府はアクラに駐在する南ア大使を呼び出して抗議し、AUの会合でも問題化する意向である。反移民運動が、アフリカにおける南アフリカの指導力に重大なダメージを与えることは疑いない。(武内進一)
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