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Africa Today今日のアフリカ

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2025年10月

AGOAの失効と今後

2025/10/02/Thu

 25年にわたって適用されてきた米国の「アフリカ成長機会法」(AGOA)が、9月30日で失効した。クリントン政権期から続いてきたAGOAは、アフリカに大きな影響を与えてきた。  米国議会の統計によれば、AGOAの枠組みでのアフリカからの輸出額は2024年に80億ドルに達した。受益国としてはまず南アフリカが挙げられ、この枠組みを利用して自動車、金属、化学製品などを米国に輸出している。ケニア、マダガスカル、レソトといった国々も、AGOAを利用して繊維製品を輸出してきた。  アフリカ側は、AGOAの継続をトランプ政権に訴えている。南アフリカのタウ(Parks Tau)商業相は、米国政府に対して継続に向けたロビイングを続けると述べ、ケニアのルト大統領も「援助より貿易」のロジックで継続を訴える意向である。  この先AGOAをどうするか、米国政府からまだ何の公式発表もない。現在、米国政府は与野党対立の余波でシャットダウンの危機に陥っており、そうした発表がある可能性は当面低い。ただ、10月1日付ルモンド紙に掲載されたインタビューのなかで、米国のブロス(Boulos)特使は、AGOAの1年間の延長に前向きの姿勢を示した。  関税措置によって、トランプ政権はAGOAを事実上無効化した。しかし、その後個別の交渉が続いており、実際どのように関税が適用されているのかいないのか、判然としないのが実状である。当面は不透明な状況が続きそうだ。(武内進一)   アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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