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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2026年01月

アメリカの人気動画配信者のアフリカツアー

2026/01/31/Sat

 1月28日、世界的な人気を誇るアメリカの動画配信者IShowSpeed氏が、貧困や暴力のイメージに隠れがちなアフリカ大陸の文化的多様性をアピールすることを目的とした、約1か月のツアーを終えた。  IShowSpeed氏は、アメリカ出身の人気動画配信者で、エネルギッシュでカオスな配信スタイルや、世界各地を訪れるライブ動画配信で知られる。ライブ動画配信は、編集をしないリアルタイムの映像に対して、コメント機能などを通じて配信者と視聴者が即時的に双方向コミュニケーションを取ることができるのが特徴である。同氏はYouTubeで5000万人以上のチャンネル登録者数、Instagramで4500万人以上のフォロワー、TikTokで4700万人以上のフォロワーを有するメガインフルエンサーである。  アフリカ20カ国を28日間でめぐる「Speed Does Africa」と題された今回のツアーでは、訪問先のガーナ、ナイジェリア、ケニア、セネガル、モロッコ、ナミビアなどの各国から毎日ライブ動画配信をおこなった。賑やかな通りを歩き回り、地元の人びとと冗談を言い合い、踊りや儀礼に参加し、市場で飲み食いする臨場感あふれるリアルタイムの様子が映し出された。1月18日には、モロッコで開催されたアフリカネイションズカップ決勝を観戦し、その後セネガルを訪れ、ファンとともに代表チームの勝利を祝っている。ナイジェリアの首都ラゴスでは、若いファンらが同氏の21歳の誕生日とYouTubeチャンネル登録者数5000万人達成の節目を祝った。(1月28日付AP通信、29日付DW)。  1月28日付の旅行観光メディアSkiftの記事によると、IShowSpeed氏のような人気動画配信者は、政府の観光キャンペーンよりも早く、アフリカのグローバルイメージを刷新する力を持つと指摘している。現に、アフリカツアーのライブ動画配信は、エチオピアでの動画は20時間以内に1000万回、続いてケニアで960万回、南アフリカで500万回という驚異的な再生回数を記録している。ケニアとエスワティニの観光局は、同メディアのインタビューにおいて、インフルエンサーによるライブ動画配信は、従来の観光マーケティングモデルを覆し、Z世代の関心を基盤とした新たなモデルの構想を可能にすると語っている。  周知のように、新しい秩序が生まれたり、変化をもたらしたりするのが、混沌の中や若い世代であることを考えると、ステレオタイプ的なイメージを変える可能性を秘めているのは、こうした一見するとカオスに見える若いインフルエンサーなのかもしれない。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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サヘル三国に接近するトーゴ

2026/01/24/Sat

 1月20日、トーゴ政府は、ダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐のブルキナファソへの引き渡しを発表した。16日に首都ロメで逮捕され、翌日引き渡されたという。ダミバ中佐は、2022年1月のクーデタで実権を握り、同年9月にトラオレ大尉のクーデタによって放逐された。その後トーゴに亡命していたが、ブルキナファソの軍事政権からは不安定化工作に関与したとして繰り返し非難されてきた。  ブルキナファソでは、今月3日、不安定化工作の疑いで複数の軍人が逮捕されたが、この時もダミバの関与が囁かれた(5日付ルモンド)。これが今回の逮捕と引き渡し劇のきっかけになったと思われる。  今回の引き渡しにより、トーゴのフォール・ニャンシンベ政権のブルキナファソ軍事政権への接近が明らかになった。ブルキナファソだけではない。2025年3月、トーゴのデュセイ(Robert Dussey)外相は、同国がサヘル諸国同盟(AES)への参加を検討しており、メンバー国に海洋への出口を提供できる、と述べて、AES構成国(マリ、ブルキナファソ、ニジェール)への接近を印象づけていた。  トーゴは、サヘル三国と並行して、ロシアにも接近している。2025年10月30日、フォール・ニャンシンベはマクロンとエリゼ宮で会談したが、11月中旬にはモスクワを訪問し、クレムリンでプーチンと会談した。そこで新たな二国間防衛協定を結び、ロシア海軍がロメ港を利用できるようにした(21日付ルモンド)。  ロメ港をめぐっては、実現はしなかったものの、2025年末にニジェール産ウラニウム(イエローケーキ)1000トンがロシア向けに輸出される計画があった。ブルキナファソ、トーゴが治安維持を約束し、ジハディストが活動する地域を通ってニジェールからロメ港まで運ぶことになっていた(21日付ルモンド)。このイエローケーキは、フランス企業オラノとニジェール軍事政権との係争の種になっており、ニジェールに協力するトーゴの姿勢は、そのままフランスとの距離を示している。  12月に起こったベナンのクーデタ未遂事件をめぐっても、周辺諸国に亀裂が生じている。事件にはニジェール軍事政権の関与が取り沙汰され、首謀者のティグリ(Pascal Tigri)中佐はトーゴを経由してニジェールに逃亡した。  サヘル三国にトーゴが接近して親ロシアの外交姿勢をとり、それにベナン、コートジボワールなど親仏諸国が対立する構図が西アフリカに浮かび上がってきた。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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南部アフリカにおける豪雨と深刻な洪水被害

2026/01/19/Mon

 南部アフリカの南アフリカ、モザンビーク、ジンバブエでは、数週間にわたって豪雨が襲い、モザンビーク中南部と南アフリカ北部で深刻な洪水が発生している。昨年末に雨が降り始めて以来、3か国で合わせて100人以上が死亡し、数十万人が避難を余儀なくされている。  南アフリカは16日、北部のリンポポ州とムプマランガ州で発生した洪水で少なくとも30人が死亡したと発表し、18日には国家的災害と宣言した(16日付BBC、16日付ロイター通信、19日付AP通信)。増水した河川が町や村を襲い、屋根や木の上に逃れた住民の救助のため、軍のヘリコプターが派遣されている。観光地として有名なクルーガー国立公園も被害を受け、約600人の観光客と職員が洪水被害を受けたキャンプから避難した。公園当局は、死傷者の報告はないものの、河川の氾濫により依然として広い地域が立ち入り禁止となっていると発表している。  17日付アルジャジーラによると、モザンビークでは昨年末から続く激しい雨で103人が死亡した。この数字には、洪水、落雷、インフラ崩壊、そして汚染された水源に関連したコレラの流行による死者も含まれている。ジンバブエでも今年に入ってから少なくとも70人が死亡し、千世帯以上の家屋が損壊し、学校、道路、橋梁が洪水の影響で倒壊した。各国の気象局は、今後さらに壊滅的な天候が続く可能性があると警告している。  南部アフリカでは近年、サイクロン、深刻な干ばつ、そして今回の豪雨といった一連の異常気象に見舞われている。先進国が原因とされる気候変動の影響が深刻に現れているように思えてならない。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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中東から北東アフリカへ―紛争の連鎖

2026/01/11/Sun

 年末の2025年12月26日、イスラエルがソマリランドを承認した。1991年以来、ソマリアからの分離独立を宣言してきたソマリランドだが、正式に承認したのはイスラエルが初めてである。理由については、ガザ地域の住民を送致する計画があるとも言われるが、ソマリランドの地政学的重要性が指摘されている。イスラエルはソマリランドとの関係を深めることで紅海へのアクセスを確保し、対岸のイエメンで活動するフーシ派勢力の抑制を目論んでいる。  この動きに対応してか、アラビア半島からアフリカ北東部にかけての情勢がいっそう流動化している。12月30日、UAEからイエメンの南部暫定評議会(STC)向けに運搬された武器の積み荷をサウジアラビア主導の連合軍が攻撃し、UAEとサウジアラビアの緊張関係が顕在化した。1月9日、STCは解散を表明し、サウジアラビアへの協力を約束したものの、その指導者のイエメンからアブダビへの出国をめぐって、サウジアラビアはUAEを批判している。  UAEは近年北東アフリカに深く関与し、スーダン内戦では準軍事組織RSFを支援してきたほか、エチオピアやソマリランド、プントランド、ケニアなどとも深い関係を構築した。こうしたUAEの動きをサウジアラビアが警戒し、対抗姿勢を強めている。  12月中旬、サウジアラビアはスーダンのブルハーンをリヤドに招き、SAFを資金的に支援することを約束した。1月7日にはサウド外相がワシントンでルビオ国務長官と会談したが、同じ日に外務副大臣がポートスーダンを訪問している。  SAFは、サウジアラビアの他にエジプト、トルコ、カタールの支援を得ている。その一方で、RSFをUAEが支援し、リビア(ハフタル将軍派勢力)、チャド、エチオピア、ケニアなど周辺アフリカ諸国がその背後につく形になっている。  サウジアラビアはエリトリア支援にも動いており、2025年には、イサイアス大統領を二度招待した。紅海進出に強いこだわりを持つエチオピアへの対応措置とみられ、エチオピアの背後にいるUAEを意識した動きでもある(1月10日付ルモンド)。  北東アフリカからアラビア半島にかけては、複数の紛争が重なり合っている。スーダン内戦とイエメン内戦を筆頭に、ナイル川をめぐるエジプト、スーダン、エチオピアの対立、エチオピアとエリトリアの緊張、ソマリア連邦政府と分離勢力(ソマリランド、プントランド)の対立、リビア紛争(暫定政府と国軍派勢力)が相互に影響し、さらにエチオピア、南スーダン、チャド、中央アフリカなど、いずれも国内に紛争を抱えている。このように重なり合う紛争に、中東諸国の対立が反映し、拍車をかけているのである。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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