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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2021年01月

コンゴ民主共和国の首相が辞表提出

2021/01/30/Sat

 29日、イルンガ・イルカンバ(Sylvestre Ilunga Ilunkamba)首相がチセケディ大統領に辞表を提出した。これは、27日に下院で不信任決議が可決されたことを受けたものである。定数500人の下院において、不信任決議は投票数377票のうち367票という圧倒的多数をもって可決された。首相辞任により、大統領は新たな内閣を任命することになる。  これは、昨年末から表面化している、チセケディ派とカビラ前大統領派の権力闘争の新たな一幕である。12月6日のTV演説によって、カビラとの同盟関係を正式に解消した後、チセケディは議会で多数派工作を行い、下院議長の解任に成功した。そして次に、首相への不信任決議を採択させ、辞任に追い込んだのである。  2019年1月にチセケディ政権が発足したとき、カビラ前大統領の支配力は圧倒的だと考えられていた。しかし、短期間のうちに、議会と内閣は現大統領チセケディの支配下に移行した。ここのところ、カビラ前大統領は地元のカタンガに籠っているとされ、カビラ派の議員はその影響力低下を恐れて、雪崩を打ってチセケディ陣営へと鞍替えしたようである。さらに、カトゥンビやベンバといった有力政治家も、ここにきてチセケディ支持を打ち出した(28日付ラジオ・フランス・アンテルナショナル)。  ここまで急速にチセケディが中央での権力確立を進めることは、予想を超えた事態の進展と言える。カビラがどのような形で反撃に出るのか、そして軍はどう動くのか、といった点が注目される。

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ラマポサ大統領、先進国による「ワクチンの独占」を非難

2021/01/28/Thu

 ラマポサ南ア大統領は、26日、ビデオ会議で開催されたダヴォス会議にプレトリアからビデオメッセージを送り、新型コロナウイルス感染症のワクチンに関する「ナショナリズム」を非難した(27日付ルモンド)。この声明は、WHOのテドロス事務局長の主張と重なる。テドロス氏は、先週、コロナワクチンへのアクセスが富裕国に偏っており、世界が「破局的な道徳的な破壊」に瀕していると警告した。「富裕国の若く、健康な成人が、貧困国の医療従事者や老人より先にワクチン接種を受けるというのは正しくない」と彼は述べている(19日付ファイナンシャルタイムズ)。  途上国向けにCovid-19のワクチンを提供する仕組みとしてCovaxがあるが、十分な支援が集まっていないという。ラマポサも、Covaxだけでは、感染拡大が十分抑制できないだろうとの見通しを示している。南アはアフリカでCovax以外のルートでもワクチンを確保しようとしており、アストラゼネカ社と直接交渉してワクチンを入手した。しかし、その価格は、EU諸国の入手額よりも2.5倍も高かったとルモンド紙は報じている。  途上国に十分な量のワクチンが供給されなければ、結局はCovid-19の終息が遅れる。ここで先進国側がどのような政策をとるか、効果的な国際協調ができるのかが、きわめて重要な意味を持つことになろう。

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アルジェリア戦争の記憶をめぐる歴史家の提言

2021/01/24/Sun

 1月20日、パリ第八大学教授で歴史家のバンジャマン・ストラ(Benjamin Stora)が取りまとめた報告書がマクロン大統領に提出された。これは、アルジェリア戦争を中心としたフランス・アルジェリア間の記憶をめぐる和解(réconciliation mémorielle)に関する報告書であり、両国間に横たわる複雑な歴史問題に向き合おうとするものだ。マクロンは、歴代の仏大統領の中で初のアルジェリア戦争後生まれであり、就任前からアルジェリアでの植民地支配を「人道に反する罪」だと述べるなど、両国間の歴史問題に取り組む姿勢を示してきた。その一環で、アルジェリア戦争がフランス、アルジェリアで生み出した傷の癒しに資する提言を、歴史家のストラに求めたのである。  1月20日以降、ルモンド紙は連日この提言やアルジェリア戦争について大きく取り上げている。アルジェリア戦争はフランスにとってきわめて大きな歴史的事件であり、調査によれば、18~25歳のフランス人の39%は、家族に一人はアルジェリア戦争に何らかのかかわりがある人がいると回答している(22日付ルモンド)。当然ながら、植民地支配と戦争に対する見方は、フランス、アルジェリアの双方で多様である。フランス側では、アルジェリア独立戦争の大義を主張したサルトルのような知識人から、それに反対した入植者(ピエ・ノワール)や軍人まで様々だし、アルジェリア側にも解放戦線(FLN)だけでなく、ハルキ(Harki)と呼ばれる仏軍側で戦った人々もいる。  報告書の政治的反響を考慮して、その提出時期は慎重に検討された。報告書は、2020年9月末には概ね準備できていたが、フランス側の理由(テロ事件、警察暴力への抗議など)とアルジェリア側の理由(テブン大統領の不在)の双方により、提出が大きく遅れたと報じられている(20日付ルモンド)。  20日付ルモンド紙に従い、22の提言の概要を以下に示す。  1.戦争終結(1962年3月19日)、フランスでのアルジェリア人労働者運動鎮圧(1961年10月17日)など、記念日の公式化。  2.真実と和解のための証言の収集  3.19世紀半ば、フランスの侵略に抵抗したエミール・アブデルカデルの記念石柱建設  4.1957年のアルジェにおける弁護士アリ・ブーメンジェル(Ali Boumendjel)の殺害にフランスが関与したことを認める  5.2012年オランド大統領のアルジェ訪問時に設置されたワーキンググループの作業に基づき、アルジェリア戦争における「行方不明者便覧」(アルジェリア人、ヨーロッパ人)を刊行する。  6.フランスが1960~66年にアルジェリアで行った核実験の場所を特定する共同作業を行う。  7.国立自然史博物館(Muséum national d'histoire naturelle)に保存されている19世紀のアルジェリア戦士の人骨調査を仏・アルジェリア共同委員会で進める。  8.ハルキとその子供たちが仏・アルジェリア間を移動しやすくするよう、アルジェリア当局と検討する。  9.1962年7月にオランで起こったヨーロッパ人誘拐、殺害事件の解明に向け、仏・アルジェリア合同歴史家委員会を立ち上げる。  10.アルジェリアにおけるヨーロッパ人、ユダヤ人の墓地保存を支援する。  11.通りに海外出身者の名前や、旧フランス領で活躍した医師、芸術家、教師などの名前をつける。  12.2013年に設置された史料(アルシーブ)に関する共同委員会の活動を活性化させる。  13.研究者のビザ発給要件を緩和する。  14.仏・アルジェリア関係に関する研究書出版を助成する。  15.文学や歴史書のフランス語・アラビア語翻訳に資する基金を設立する。  16.学校教育において、仏・アルジェリア関係に関するプログラムをより充実させる。  17.若手芸術家の作品を支援する仏・アルジェリア共同事務局を設置する。  18.かつて構想されたフランス・アルジェリア歴史博物館プロジェクトを再活性化させる。  19.2021年に、アルジェリア戦争に反対した知識人(フランソワ・モーリアック、レイモン・アロン、ジャン=ポール・サルトル、ポール・リクールなど)を顕彰する国際研究集会を開催する。  20.2021年に、アフリカ独立に関する展示と研究集会を国立移民史博物館(Musée national de l'histoire de l'immigration)で開催する。  21.アルジェリア戦争に反対した弁護士ジゼル・アリミ(Gisèle Halimi)をパンテオンに埋葬する。  22.1830年のアルジェ征服時に持ち去られた歴史法典"Baba Merzoug"(la Consulaire)の再現に向けた仏・アルジェリア共同歴史家委員会を設置する。  提言のなかには、実現に相当の政治的困難が予想されるものもある。とはいえ、大統領が歴史家に依頼し、こうした提言が提示されたことは、大いに評価すべきだと考える。植民地支配の見直しという歴史的な流れに位置づけられる動きであり、私たちにとっても考えさせられる問題である。

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第二期トゥアデラ政権の多難な船出

2021/01/19/Tue

18日、中央アフリカの憲法裁判所は、昨年12月27日に実施された大統領選挙において、現職のトゥアデラ(Faustin-Archange Touadéra)が再選されたと正式に認めた。トゥアデラに敗れた13名の候補者は、選挙の無効を主張して共同で提訴していたが、これは却下された。彼らは、選挙には大規模な不正があり、加えて治安悪化のため有権者の多くが投票機会を奪われたとして、無効を訴えていた。  選挙は有効と認められたが、無効の訴えに根拠がないわけではない。トゥアデラは53.16%の得票で決選投票を待たずに当選を決めたが、投票率はわずか35.25%だった。3人に2人は投票所に足を運ばなかったわけで、その理由が有権者の無関心ではなく、治安の悪化にあることは明らかである。12月初めから、中央アフリカでは前大統領ボジゼの下で反乱軍が統合され、首都への進軍を宣言して攻撃を強めていた。1月13日にはバンギに攻撃があり、政府軍は、国連軍をはじめとする外国勢力の力を借りてこれを撃退した。  18日付のルモンド紙は、「政権を守るための奇妙な軍事同盟」と題して、中央アフリカの現状を報告している。同国のトゥアデラ政権は、内戦終結後の選挙によって2016年に発足したが、地方ではその権力を確立できず、複数の武装勢力が群雄割拠する状況が続いてきた。さらなる治安悪化を防ぐうえで、国連平和維持部隊(MINUSCA)の展開が一定を役割を果たしてきたが、それに加えて、同国は2017年以降ロシアとの関係を急速に深めてきた。ロシアは、民間軍事企業のWagner社を通じて、中央アフリカ政府に多数の軍事顧問や傭兵を送っている。この会社はクレムリンに近く、リビアにも多数の傭兵を派遣している。さらに、2020年12月に治安が悪化すると、ルワンダが二国間防衛協定に基づいて数百名の兵士を派遣した。反政府勢力の首都への攻撃に際して、防衛の主体を担ったのは、ルワンダ軍とロシア民兵だったという。  中央アフリカはもともとフランスとの関係が深い国だが、こうした展開のなかでフランスは目立った動きを見せていない。マクロン大統領はトゥアデラの当選に祝意を示したが、ルモンド紙の記事は「フランスは麻痺しているようだ」として、「トゥアデラ支持を言明するのは行き過ぎだ」という研究者の発言を紹介している。   今回の大統領選挙は、治安悪化が懸念されるなか、国連が主導して実施されたものだ。結果として、新たな任期に向けて期待が高まったというよりも、混乱がいっそう深まった印象がある。選挙の結果、トゥアデラ政権が続くことは決まったが、その行き先はさらに不透明になりつつある。

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深刻さ増すコロナ第二波

2021/01/18/Mon

アフリカにおける新型コロナウイルス感染症の直接的な影響は、これまで比較的軽かった。しかし、昨年末以降の第二波の影響は深刻だと17日付ファイナンシャルタイムズ紙は警告している。  総人口13億人のアフリカは、これまで310万人の新型コロナウイルス感染者数、7万5千人の死者数を記録している。米国のそれぞれ2400万人、40万人と比べれば、相対的に抑制された影響だと言えるだろう。しかし、過去1か月の状況は深刻である。感染者数が18%増加し、ナイジェリア、エジプト、南アでは増加率が25%を超えた。死亡率が世界平均の2.2%を上回るアフリカ諸国は、20か国に達している。ナイジェリア、エジプト、南アでは、この間に死亡率が3割上昇した。  ナイジェリア、セネガル、スーダン、南ア、DRCでは、病院のベッド数や酸素吸入器のキャパシティが足りていないと報告されている。ナイジェリア疾病予防センター(Nigeria Centre for Disease Control)のイヘクウェアズ(Chikwe Ihekweazu)センター長は、医師たちがトリアージのために厳しい選択を強いられる段階が近いと述べている。  アフリカCDCのンケンガソン(John Nkengasong)センター長は、最近の患者数の増加ペースが昨年7-8月の第一次ピーク時の2倍に達しており、クリスマスシーズンの旅行の影響が大きいと分析している。また、「感染防止疲れ」もあるという。  AUのラマポサ議長は先週、アフリカ54か国で2億7千万回分のワクチンを確保したと述べた。ただし、Covaxの枠組み以外で企業と交渉してワクチンを確保したのは、アフリカのなかで南アだけである。ラマポサは、6月まではワクチン接種の対象が医療従事者に限定される見込みで、感染症の拡大を抑え込むには十分ではないだろうと述べている。「広くワクチンがいきわたるための時間稼ぎをする」しかなく、「マスク着用、ソーシャル・ディスタンシング、手洗いといった日常の基本に立ち返る必要がある」というナイジェリアの国家プライマリ・ヘルス・ケア開発庁シュアイブ(Faisal Shuaib)長官の言葉は、説得的である。

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ウガンダ総選挙、ムセヴェニ氏が勝利宣言

2021/01/17/Sun

1月16日付のBBCの報道によれば、ウガンダ選挙管理委員会が総選挙の結果を発表し、現職のヨウェリ・ムセヴェニ大統領が勝利を宣言した。 選挙管理委員会の発表によれば、総選挙では有権者1800万人のうち57%が投票した。大統領選については、与党、国民抵抗運動(NRM)の党首であるムセヴェニ氏が59%の票を獲得し、6期目の大統領に選ばれた。一方、野党、国民統一プラットフォーム(NUP)から出馬したロバート・チャグラニ(芸名:ボビー・ワイン)氏は35%にとどまった。その他の対立候補はいずれも5%未満の票しか獲得しなかった。 今回の選挙に対して、ムセヴェニ氏が、歴史上もっとも不正のない選挙だったと述べたに対して、チャグラニ氏は、不正選挙が行われたと主張し、インターネット回線が戻れば、その証拠を公開するとしている。彼によれば、軍が「ムセヴェニ票」(事前にムセヴェニ氏にチェックを入れた票)を人々に配って投票させるという細工が行われたという。 ウガンダ政府は、投票日の前日から国内全土でインターネットを遮断しており、投票日の当日には、警察が、チャグラニ氏の自宅を包囲し、メディアが彼と接触できないようにしている。今後、チャグラニ氏が、彼が主張する不正選挙の証拠を公表するかどうかは不明である。このまま選挙管理委員会の発表が覆ることがなくても、NUPが、これまで野党第一党であった民主改革フォーラム(Forum for Democratic Change: FDC)に代わり、国会でのプレゼンスを増すことは確実とみられる。

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ウガンダで総選挙始まる

2021/01/14/Thu

BBCの報道によれば、1月14日、ウガンダで総選挙が始まった。1800万人のウガンダの有権者による大統領と国会議員を選出する選挙が行われる。大統領選では、35年間、大統領の座にいる現職のムセヴェニ大統領に対し、ミュージシャンから政治家に転身した対立候補のロバート・チャグラニ(芸名:ボビー・ワイン)氏がどこまで迫れるかが注目されている。大統領選は、現職のムセヴェニ大統領を含めた11人の候補者によって争われ、有効投票数の過半数を獲得した候補者が次期大統領に選ばれる。いずれの候補も過半数に満たない場合は、決選投票となる。 大統領選で優勢とみられているのが6期目を目指す現職のムセヴェニ大統領である。76歳のムセヴェニ氏は、1986年に国民抵抗運動(National Resistance Movement: NRM)を率いて政権を奪取して以来、アフリカでは在任期間がもっとも長い大統領の一人となっている。国内の治安維持や経済発展に一定の役割を果たしてきたという評価を受けている一方、失業率の高さや汚職の蔓延などに対する批判も根強い。ムセヴェニ大統領は、農村部では一定の支持を集めているとみられている一方、有権者の多くを占める若者からの支持は高くないとみられている。 10人の対立候補のうち、もっとも注目されているのが、38歳という若さのロバート・チャグラニ(芸名:ボビー・ワイン)氏である。スラム出身のチャグラニ氏は、2000年代初めに、ミュージシャンとして若者の間で人気を集めた。2017年に国会議員として初当選した後は、「ゲットーの大統領」という愛称で、社会の変革を求める若者から絶大な支持を集めている。大統領選では、自らが率いる野党、国民統一プラットフォーム(National Unity Platform: NUP)から出馬した。選挙運動では、「人々の力(People Power)」を合い言葉に、独裁政権の打倒と社会正義の実現を目指して活動を続けてきた。 今回の総選挙に向けた選挙運動では、警察による対立候補者に対する選挙妨害が相次いで報告された。とくに、有力な対立候補とみられるチャグラニ氏に対する警察の介入は激しかった。11月18日には、コロナウイルス感染症対策を講じなかったとして、警察は選挙活動中に同氏の身柄を拘束した。その後、彼の逮捕に抗議する若者と警察との間で衝突が発生し、多数の逮捕者と約50名の死者が出ている。釈放後に、彼は選挙運動を再開したものの、12月には彼の支持者と警察との間で発生した衝突によって彼が乗る選挙カーにゴム弾が撃ち込まれるという事件が発生した。こうした事件にもかかわらず、彼はいかなる暴力や威嚇にも屈しないという姿勢を貫き、選挙運動を続けてきた。 選挙当日が近づく1月11日、治安部隊を乗せた車列がカンパラの中心街を移動する光景がみられ、市内は物々しい雰囲気となった。また、国内では全てのソーシャルメディアが政府によってブロックされた。選挙当日を迎え、カンパラ市内では暴動に備えて警察が市内を循環するなど警備を強化している。 ヨーロッパ連合(EU)やアメリカは、ウガンダ当局がこれまで選挙監視団の勧告を無視してきたことを理由に、今回の総選挙に選挙監視団を派遣しないことを表明している。現職と対立候補の争いが激しさを増すなかで、今回の選挙がどのような結果をもたらすかが注目される。

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米議会乱入事件に対するアフリカの反応

2021/01/09/Sat

6日にワシントンで起こった議会乱入事件は、世界を驚愕させた。7日付ルモンド紙は、この事件に対するアフリカの反応を伝えている。  ギニアのニュースサイトLeDjely.comは、「アメリカがアフリカよりひどくなる時」と題して、この混乱を伝えた。記事は、「アメリカの民主主義は壊れている」として、「今や、政治指導者に民衆が扇動されるのは、コナクリ、アビジャン、キガリだけではない」と述べている。  マリのツイッターでは、「バイデン、トランプ両候補は対話を通じ、法を尊重しつつ問題解決を図らねばならない。駐米マリ大使は、危機打開について協議するため、近日中に両者と面会する」という投稿が「いいね」を集めた。常日頃、アフリカ諸国に向けた欧米の姿勢を念頭に置いたジョークである。コートジボワールでは、「『クソの国』といったのはどいつだ、恥を知れ」という投稿があった。トランプが2018年にアフリカからの移民について、「『クソの国』(shithole countries)から来た連中」と呼んだことを人々は忘れていない。  BLM(Black Lives Matter」のデモに対して「法と秩序」を強調していたトランプ氏が支持者層を扇動したことに対して、「白人の特権」というコメントが多数見られた。アルジェリアでは、ブッシュのイラク侵攻にひっかけて、「トランプが民主主義を確立するために米国に侵攻した」という投稿が見られた。  今回のトランプ氏とその支持者の行動は、愚かしさを白日の下にさらけ出し、世界の嘲笑を招いた。それによって彼の政治的影響力が低下するのなら、それだけは歓迎される結末と言えよう。

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アフリカでもコロナ第二波

2021/01/07/Thu

 12月以降、アフリカ各国で新型コロナウイルス感染症が再拡大している。ウガンダやルワンダ、南アフリカなどの国々では、感染拡大を受けて、移動制限や夜間外出制限が再び発出された。アフリカ諸国では、昨年3月から7月頃にCovid-19の第一波が観察されており、第二の波と言える。  7日付ファイナンシャルタイムズは、南アで見つかった新型コロナウイルスの変種が、感染力が強いだけでなく、ワクチンの効力を弱める可能性があるとの研究発表を報じている。クワズールー・ナタール大学のオリベイラ(Tulio de Oliveira)教授の研究によれば、南アで発見された新型コロナウイルスの変種がワクチンの効果を少し弱める可能性があるという。ただし、同教授は同時に、ワクチンは強力な効力を発揮する場合も多いと述べており、変種にワクチンが利かないわけではない。南アの大学は英国の大学と共同で研究を進めており、世界トップレベルと言ってよいが、Covid-19に関しては依然はっきりしないことも多いということだろう。  こうしたなか、テドロス事務局長はルモンド紙に論説を寄せ、感染症が開発課題でもあることを改めて強調している(6日付)。Covid-19への対応を長期的に考えれば、医療システムへのさらなる投資が不可欠であり、それにはSDGs(持続可能な開発目標)のような幅広い開発課題への取り組みを必要とする。ワクチンが開発されたとしても、それは貧困、飢餓、気候変動、不平等といった、医療システムの脆弱性に深く関わる課題を解決するわけではない。  第二波でやや浮足立った時期だからこそ、新型コロナウイルス感染症を開発課題のなかで考える視点が大切なのだと思う。

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