12月以降、アフリカ各国で新型コロナウイルス感染症が再拡大している。ウガンダやルワンダ、南アフリカなどの国々では、感染拡大を受けて、移動制限や夜間外出制限が再び発出された。アフリカ諸国では、昨年3月から7月頃にCovid-19の第一波が観察されており、第二の波と言える。
7日付ファイナンシャルタイムズは、南アで見つかった新型コロナウイルスの変種が、感染力が強いだけでなく、ワクチンの効力を弱める可能性があるとの研究発表を報じている。クワズールー・ナタール大学のオリベイラ(Tulio de Oliveira)教授の研究によれば、南アで発見された新型コロナウイルスの変種がワクチンの効果を少し弱める可能性があるという。ただし、同教授は同時に、ワクチンは強力な効力を発揮する場合も多いと述べており、変種にワクチンが利かないわけではない。南アの大学は英国の大学と共同で研究を進めており、世界トップレベルと言ってよいが、Covid-19に関しては依然はっきりしないことも多いということだろう。
こうしたなか、テドロス事務局長はルモンド紙に論説を寄せ、感染症が開発課題でもあることを改めて強調している(6日付)。Covid-19への対応を長期的に考えれば、医療システムへのさらなる投資が不可欠であり、それにはSDGs(持続可能な開発目標)のような幅広い開発課題への取り組みを必要とする。ワクチンが開発されたとしても、それは貧困、飢餓、気候変動、不平等といった、医療システムの脆弱性に深く関わる課題を解決するわけではない。
第二波でやや浮足立った時期だからこそ、新型コロナウイルス感染症を開発課題のなかで考える視点が大切なのだと思う。