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今日のアフリカ

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スーダン・イスラーム強硬派排除と湾岸諸国の関与

2019/04/19/Fri

バシール前スーダン大統領失脚後、イブンオウフ国防大臣が同国軍事評議会のトップの座に就いたものの、バシールの側近であったことなどから市民の怒りを買い、イブンオウフは僅か一日で退任した。後任に指名されたブルハン中将は前任者とは異なり、イスラーム主義の印象も薄く、穏健派として知られている人物である。また、イエメン内戦の際に、有志連合に参加したスーダン軍の指揮に関わった経験を有し、湾岸諸国の軍高官らと親交のある人物とも言われている。

4月13日、同評議会は会見を開き、サラハ・アブダッラ国家情報・安全保障局長(通称サラハ・ゴシュ)の辞任を発表しつつ、評議会から旧政権関係者を一掃することを表明した。サラハ局長はバシール政権のナンバー2とも言われてきた強硬派の一人で、市民の抗議運動のターゲットの一人でもあった人物でもある。

バシール失脚から、僅か1週間でスーダンの体制は目まぐるしく変化したが、ここで興味深いのは、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプトの湾岸3か国が、スーダンの強硬派の要人(バシール、イブンオウフ、サラハ)の排除に関与した疑いを持たれていることである。狙いは、スーダンにおけるイスラーム主義勢力の弱体化であるといわれている。実際、アラブ首長国連邦とサウジアラビアは、合同使節団をハルツームに派遣して軍事評議会とすでに交流を果たし、同評議会を支援する声明を発出している。

対照的に、スーダンの軍部主導の新体制を強い口調で批判したのはアフリカ連合であった。スーダンは中東とアフリカの結節点ともなっていることに地政学的な特徴があり、現下、同国は、アラブ連盟とアフリカ連合の加盟国を兼ねている。4月15日、アフリカ連合は声明を発出し、法にのっとらない仕方で政権が転覆させられたことを非難しつつ、15日以内に文民政権に移行されなければ制裁を課す考えがあることを明かした。アフリカ連合への加盟停止処分が示唆されている。文民政権への道筋がみえるかどうか、ひとまずAUの期限である今月末までの同国の動きに注目が集まっている。