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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2020年12月

南アでCovid-19が再拡大

2020/12/30/Wed

南アフリカで新型コロナウイルス感染が再び拡大し、1日当たりの感染者数が1万人を上回る状況が続いている。12月27日、同国のCovid-19感染者数は累計で100万人を超え、死者数は2万7千人に迫っている。南アではウイルスの変異が報告されているが、専門家によれば、感染拡大はウイルスの変異よりも人々の行動によるところが大きい。12月はフェスティバルの季節で、人々が集まることが多く、感染を広めたという(29日付ファイナンシャルタイムズ)。  この状況を受けて28日、ラマポサ大統領は新規の対策を発表した。アルコール販売禁止とマスク着用義務を定め、夜間外出禁止令の開始時間を23時から21時に早めた(朝6時まで)。バー、レストランの完全な閉店は求めないものの、21時には営業を止める必要がある。2週間は屋内、屋外であらゆる集会を禁止し、例外として認められる埋葬の場合も出席者を50人までに制限した。南アのCovid-19感染者数はアフリカ最大だが、早い時期から厳格な対策を打ち出しており、政権の対応に大きな不満は報じられていない。  今回の感染拡大のピークはまだこの先と予想される。ウイルスの変異に過度な心配は必要ないようだが、しばらくは各自がマスク着用や手洗いに留意し、集会を避けるといった行動を守ることが求められる。

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チセケディ派が下院で多数派工作に成功

2020/12/21/Mon

 12月10日、コンゴ民主共和国の議会下院において、現大統領チセケディ派が提出した請願を受けて投票が行われ、281票対200票で、マブンダ(Jeanine Mabunda)議長の免職が決議された。前大統領カビラ派の代表格であるマブンダの罷免は、下院においてチセケディ大統領派が多数派工作に成功したことを意味する。チセケディ大統領は6日のTV演説でカビラ派との決別を宣言したばかりだが、時を置かずして下院で主導権を握った。  チセケディ派は、次の動きとして、内閣改造と首相の交代を狙っており、またタンブウェ(Alexis Thambwe Mwamba)上院議長の追い落としを画策しているとも報じられている(12月17日付Africa Confidential)。ただし、こちらはそれほど簡単ではないようだ。  チセケディがどのような手段をもちいて短期間に多数派工作に成功したのかは不明だが、Africa Confidential誌が「議員には格好のクリスマスプレゼントとなる」と書いているように、多額のカネが動いたであろうことは想像に難くない。現状では、勢いは現職の大統領派にあると言えそうだ。

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選挙を前に中央アフリカ情勢が緊張

2020/12/20/Sun

 12月27日に予定されている大統領選挙、国会議員選挙を前に、中央アフリカ共和国の情勢が緊張の度合いを高めている。先週半ば、中央アフリカ政府や国連PKOミッション(Minusca)は、前大統領のボジゼが国土不安定化工作を図っていると非難した。ボジゼは、2013年のクーデタで追放されたが、昨年帰国し、大統領選挙への立候補を申請した。しかし、今月初め、最高裁はボジゼを大統領選挙立候補者に不適格だとして、その申請を退けていた。  19日、広範な国土を支配下に置く3つの主要武装勢力が、同盟関係を構築すると発表した。北部を主たる活動領域とする「中央アフリカ愛国運動」(Mouvement patriotique pour la Centrafrique:MPC)、西部で活動するプール人の勢力「帰還、抗議、復興」(Retour, réclamation, réhabilitation:3R)、そしてボジゼ支持と言われる「アンチ・バラカ」(anti-balaka)の3つである。これら3つの組織は、「変革のための愛国者同盟」(Coalition des patriotes pour le changment:CPC)を結成し、統一の指揮下に入るとのことである。政府や国連は、この動きの背後にボジゼがいると見ている。  武装勢力は活動を活発化させており、これに対してMinuscaは、首都バンギ周辺のOmbella-Mpoko県に部隊を展開している。18日、グテーレス国連事務総長は中央アフリカの各勢力に対して、敵対状況を即時停止するよう、メッセージを送った。  内戦以降、国際社会の関与によって、中央アフリカでは何とか平和構築プロセスが進んできた。しかし、首都以外の地域では武装勢力が実効支配する状況が続いており、紛争後の国家建設が進んだとは言い難い。Minuscaには現在11,500人の要員がいるが、もし2013年のときのように、ある程度統合された武装勢力が首都に攻め込んでくれば、それを阻止することは困難だろう。  専門家の分析では、武装勢力の統合宣言は脅しの要素も強く、すぐに首都に攻め込む状況ではなさそうだという(19日付ルモンド)。しばらくは様子見が続くのだろうが、27日に予定されている選挙が実質的な意味を持つことには、悲観的にならざるをえない。

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ガーナ大統領選挙でアクフォ=アド再選

2020/12/19/Sat

7日、ガーナで大統領選挙、議会選挙が行われた。現職のアクフォ=アド大統領が再選を果たし、与党の新愛国党(NPP)が僅差で勝利した。9日の選挙委員会の報告によれば、アクフォ=アドが51.6%と過半数を制し、対立候補のマハマ前大統領は47.6%であった。中等教育の無償化政策などが評価されたと報じられている。  国会議員選挙についても、全274議席のうち、NPPが137議席、NDCが136議席(1議席は未決)と僅差ながら与党の勝利となった(12月17日付Africa Confidential)。EUの監視ミッションが選挙が成功裏に組織されたと評価するなど、総じて公正な選挙が実施されたと評価されている。  しかし、この結果に対し、マハマとNDCは投票に不正があったとして、法廷闘争を行うと宣言した(11日付ルモンド)。アクフォ=アドとマハマは、これまでにも大統領選挙での対決を経験しており、2012年にはマハマに敗れたアクフォ=アドが法廷闘争に持ち込んだ。この時はマハマの勝利確定までに8か月を要し、その間国政が停滞したと指摘されている。その後法改正がなされ、42日以内に判決を出すように変わっている。  マリやコートジボワール、ギニアなど、選挙に絡んで政情が混乱した周辺国と異なり、ガーナでは、1992年に軍政からの民主化を遂げて以降、一貫して安定した民主主義体制が維持されてきた。大統領選挙前には、混乱もなく「退屈」なほどだという報道まであった(6日付ルモンド)。一方で、今後の政権運営では債務管理など取り組むべき課題も多く、アクフォ=アドの二期目が注目される。

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米国、西サハラに対するモロッコの主権承認

2020/12/11/Fri

10日、トランプ大統領は、モロッコとイスラエルの関係正常化を公表するとともに、米国が西サハラに対するモロッコの主権を認めると発表した。バハレーン、UAE、スーダンに続いて、米国主導でアラブ諸国がイスラエルを承認するという流れだが、今回は西サハラ問題がその取引材料として使われた。  モロッコとイスラエルは、従来からある程度親密な関係があり、1990年代には相互に連絡事務所を置いた経緯がある。10日付ルモンド紙によれば、今回の正常化の動きは、2月にポンペイオ国務長官がラバトを訪問した際に協議された。当時すでに、イスラエルのメディアは西サハラ承認と引き換えにモロッコが正常化に踏み切ると報じていたという。  西サハラに対するモロッコの主権承認は、国際規範と乖離している。旧スペイン領の西サハラは、実効支配するモロッコと、主権を主張するポリサリオ戦線との間で紛争状態にある。国連は、一貫して、この地域の自決問題を住民投票によって決定しようとしてきた。ヨーロッパ連合(EU)も同じ考え方で、西サハラが紛争状況にあると見なしてきた。アフリカ連合(AU)は、西サハラに対して、ポリサリオ戦線を主体とする「サハラ・アラブ民主共和国」(SADR)の主権を承認してきた。  トランプ政権は、その末期にあって、イスラエルの安全保障と西サハラ問題という基本的に関係のない問題を取引材料に使った。この決定は、西サハラ問題に新たな混乱を持ち込むことになるだろう。

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チセケディ、カビラ前大統領との同盟関係解消

2020/12/07/Mon

6日、コンゴ民主共和国のチセケディ大統領は約30分のTV演説を行い、「国民コンサルテーション」(consultations nationales)の終了を表明するとともに、前カビラ大統領派であるFCCと自らの基盤であるCachとの協力関係解消を発表した。約2年にわたって続いた同盟関係が終わりを告げることになる。  2018年末に行われた大統領選挙では大規模な不正が行われ、前大統領のカビラが、「扱いやすい野党候補」であるチセケディを勝たせた、と言われている。国際社会から疎外されたカビラ派が、トップはチセケディに譲ったうえで、「実を取る」作戦に出たといえる。同時に実施された選挙で、中央、地方の議会や知事はカビラ派のFCCが多数派を押さえた。  しかし、両者の溝は徐々に広がり、今年10月にはチセケディが、「国民コンサルテーション」を行うと宣言していた。これは実質的に、新たな協力関係を構築するための協議であった。  とはいえ、チセケディが思うように協力関係を築けてたわけではない。ベンバやカトゥンビなど会談に応じた有力者もいるが、2018年末選挙の真の勝者は自分だと主張し続けているファユルはチセケディの招きに応じなかった。カビラ派の議員たちがどこまで「寝返る」かは全く未知数で、議員1人の買収金額が7000ドルといった報道もある(11月27日付ルモンド)。  チセケディは、憲法に従い、多数派形成のための「情報収集ミッション」(mission d'information)を派遣すると述べている。これはコンゴ民主共和国憲法第78条に従った措置で、2か月を期限として、議会内で多数派工作を行うことが想定されている。これが不調に終わった場合には、議会の解散が検討されることになる。  チセケディとカビラの軋轢は、今年初めころから報道されてきた。政治権力機構をカビラ派が握る状況に変わりはないが、この間キンシャサに駐在する米国大使がチセケディに接近し、カビラ派との決別を勧めてきたと報じられている(11月5日付ルモンド)。  今後、カビラ派の切り崩しが活発化するだろうが、チセケディが議会で安定多数を握れるかは全くわからない。地方政府においても、カビラ派の影響力は簡単にはなくならないだろう。コンゴ内政は新たな局面に入ったが、その着地点はまだ見えない。

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