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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2018年03月

エチオピア

2018/03/29/Thu

3月27日、エチオピア政府与党(エチオピア人民革命民主戦線:EPRDF)は、新党首にアビィ・アフマド氏を選出した模様。同国では、与党党首が首相に就くことが続いているため、同氏が次期首相に就任する可能性が強まった。 エチオピアにおいては、先月15日にハイレ・マリアム首相が辞任表明して以来、次期首相選出のための会合が開催されてきたが、これまで選考は難航していた。一方、オロミア州、アムハラ州などの国内各地では、引き続き対政府抗議活動が行われていたため、政府は治安部隊を各地に派兵するなどの対応に追われていた。 アビィ・アフマドは、今年2月に、連立与党を構成するオロモ人民民主機構(OPDO)の党首に就いたアガロ出身のオロモ人である。アビィが首相に就任すれば、EPRDFが政権の座に就いて以来、初のオロモ人首相が誕生することとなる。 同国で多数派のオロモの人々が、この就任劇をどのように受け止め、対政府感情をどのように変化させていくかという点は注意が必要だろう。多くのオロモ人にとって、この就任が喜ばしいニュースであるのは確かだが、オロモの人々のより強い関心は、同胞者であるアビィがこれからのエチオピアをどのように導いていくかという点にあるだろう。

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アンゴラ

2018/03/27/Tue

ファイナンシャルタイムズ紙などの報道によれば、26日アンゴラ検察は、前大統領の息子であるジョゼ・フィロメノ・ドス・サントス(José Filomeno dos Santos)氏を不正な海外送金疑惑で告発し、出国を禁じた。同氏は既にこの1月に同国ソブリン・ウェルス・ファンドの責任者を解任されている。アンゴラでは昨年9月、38年間大統領職を務めたジョゼ・エドゥアルド・ドス・サントスから、ジョアン・ロウレンソ(João Lourenço)に大統領が交代した。ロウレンソは、11月に前大統領の娘であるイザベル・ドス・サントスを国営石油会社Sonangolのトップから解任し、汚職容疑で捜査を進めている。ドス・サントス一族の利権構造を解体する動きが進んでいるようだ。

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アフリカ大陸自由貿易圏協定に44か国が署名

2018/03/22/Thu

21日、キガリでのAU閣僚会議において、44か国がアフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade Area: AfCFTA)への参加に署名。交渉開始から3年足らずでこれだけの数の国々が署名したことに驚きの声が聞かれる。一方、アフリカ最大の経済規模を持つナイジェリアは、国内経済界の強い反対を受けて参加を拒否した。Financial Times紙によれば、ブハリ大統領は、「わが大陸の希望は国益と補完的でなければならない」とツィートした。アフリカ諸国の多くは域外に資源を輸出する経済構造を持ち、アフリカ域内貿易の規模は小さい。AfCFTAは域内貿易活性化を目指すものであり、方向性として間違ってはいないだろう。しかし、現在平均で6.1%の水準にある関税をゼロレベルに引き下げるという方針はドラスティックで、ナイジェリアのように国内製造業を守りたい国がこれに抵抗するのは当然予想されることである。この協定が額面通りに実施されるなら、外国からの投資が特定の国に集中し、アフリカ域内の経済格差が拡大する可能性もある。今後、署名した国々が協定をきちんと履行するのか、そしてその影響がどのような形で現れるのか、丁寧に観察する必要がある。なお、アフリカの自由貿易協定については、箭内彰子「アフリカにおける経済統合――制度的な制約要因」『アフリカレポート』No.55も参照のこと。

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ケンブリッジ・アナリティカ事件、ケニアでも

2018/03/21/Wed

英国のコンサルティング企業ケンブリッジ・アナリティカ(CA)は、5000万人に及ぶフェイスブックの情報を使って、2016年の米国大統領選挙でトランプ陣営に有利な工作を行ったとして告発されている。この事件がケニアに飛び火した。CA社が2013年と17年のケニア大統領選挙で当選したケニヤッタ陣営の運動を請け負っていた疑惑が発覚した。英国のChannel 4 Newsは、CA社幹部に「おとり取材」を行い、CA社が世界中の政治家を操作するために汚職や「ハニートラップ」などの手法を使ってきたという発言を引き出した。また、CA社はケニア大統領選挙で秘密裏にケニヤッタ陣営を支援し、その政党"National Alliance"(後にJubilee党)のために綱領の策定、メッセージの発信、演説原稿の準備など、選挙運動全般を請け負ったという。「演説の原稿をすべて書いた」との発言も出ている。この報道は当然ケニアで問題となった。BBC等によれば、20日、ケニアの野党NASAは与党Jubilee党を非難するとともに問題の徹底究明を訴えた。各国の政党が選挙運動をコンサルタント企業に任せるのは世界的な傾向であり、米国共和党とケニアのJubilee党が同じコンサルティング企業に依頼するのは不思議なことではない。SNS情報が政治的に利用され、選挙がプロによって操つられる事態が世界的に広がっているということである。

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ブルンジの憲法改正レファレンダム

2018/03/19/Mon

18日、ブルンジ政府は憲法に関するレファレンダムを5月17日に実施するとの政令(デクレ)を発布した。憲法改正案は昨年後半から議論されてきたもので、大統領任期を7年に延長して再選可能とすること、副大統領を2人から1人に減らすこと、新設される首相職に実権を与えることなどが主要な改正点とされている。次の大統領選挙が2020年に予定されているので、この憲法改正案が承認されれば、ンクルンジザ現大統領は、2034年まで大統領職にとどまることができる。ちなみにこれは、隣国ルワンダのカガメ大統領がとどまりうる任期と同じである(武内「アフリカの三選問題」『アフリカレポート』No.54参照)。憲法レファレンダムのキャンペーンは公式には投票2週間前からしか許されていないが、すでに昨年憲法改正案が発表されて以降、与党CNDD-FDDを中心に改正を推進する運動が組織され、反対の意思表明をした者が逮捕されるといった報道が相次いでいる。ブルンジは2015年にンクルンジザの三選出馬をめぐって混乱し、国際社会から孤立化を続けているが、今回の憲法改正はそれに拍車をかけることになるだろう。

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フランスの対ルワンダ政策

2018/03/17/Sat

今週ルモンド紙は、1994年にルワンダでジェノサイドが起こった時期のフランスの外交政策に関する記事を集中して掲載している。幾つかの新たな事実が明るみに出たことを機に当時のフランスの外交政策を批判的に検証することが目的である。記事を読んで考えさせられるのは、当時のルワンダ政策を検討しようとすると、必然的にミッテラン外交の批判的検証になることである。当時フランスは、ハビャリマナ政権に肩入れし、RPF(現政権与党)を敵視する政策をとったが、ハビャリマナ政権の要人がジェノサイドに加担したために、フランスはその外交姿勢を厳しく批判されることになった。本日掲載された記事では、元国防省の要人が、1993年1月の人権団体による報告書を読んで、ハビャリマナ政権に肩入れする危険性を指摘したにもかかわらず、聞き入れられなかったと述懐している。当時のフランスのアフリカ政策は大統領府のアフリカ担当局が主導しており、特に対ルワンダ政策に関してはその担当だったミッテランの息子(ジャン=クリストフ・ミッテラン)の影響力が強かったことがかねてから指摘されてきた。ジェノサイドから四半世紀が経とうとしている現在もなお、ミッテランという偉大な大統領の外交をどう評価するかをめぐって議論が続いているわけで、この「過去の克服」がフランスにとって容易でないことを示している。

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ルワンダの経済統計発表

2018/03/15/Thu

3月13日、ルワンダ統計局は2017年のGDP成長率を6.1%と発表した。これは予想値(5.2%)を上回る水準で、農業、サービス業の成長が大きく寄与しているという。15日付のNew Times紙は、不動産部門の成長が大きいとの記事を掲載している。同記事には瀟洒な分譲住宅の写真が掲載されているが、実際キガリ郊外ではこうした風景をそこここで見ることができる。こうした住宅にどのくらいしっかりしたインフラが提供され、どのくらい購入され、どの程度の人々が現実に居住しているのか。ローンの支払いは滞りなくなされているのか。美しい街並みを見ていると様々な疑問が湧いてくる。ルワンダに限らないが、アフリカの統計を読むときには慎重な検討が必要だ。

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コンゴ民主共和国新鉱業法発布

2018/03/13/Tue

3月12日付ルモンド紙によれば、9日カビラ大統領は新鉱業法に署名した。これにより、多くの鉱物資源に対するロイヤルティが大幅に増加する。特に大きいのはコバルトで、従来の2%から10%に引き上げられる。コバルトは電気自動車のバッテリーに不可欠で、近年価格が急上昇している。コンゴ民主共和国は鉱物資源が非常に豊富なことで知られるが、特にコバルトに関しては2017年には世界需要の3分の2を供給している。新鉱業法に対しては、GlencoreやRangoldなど有力鉱業企業が反対のロビー活動を行ったが、カビラ政権はこれを外国企業による資源略奪への対抗措置と位置付けて押し切った。大統領任期が既に切れた状態で諸外国から選挙実施を迫られる中、国民向けのパフォーマンスという側面もあるようだ。

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エチオピア

2018/03/02/Fri

【エチオピア現地報告3(松波康男特任研究員)】フィールドに入ると、過去にそこで聞かれなかったことばが、現地語として人々の間に流通していることに気付くことがある。「セーフティ・ネット」「フェイス・ブック」などはその例であり、それらはここ数年間ですっかり定着した。今回の調査では「コマンド・ポスト」という単語が、村住民の会話からよく聞かれた。先月末、調査者のフィールドであるオロミア州A村にコマンド・ポストが配置されたため、報告者は調査を切り上げて首都に戻った。A村では、連邦兵士10名ほどが行政村役場に隣接する空き地にテントを張って拠点を構えた。村住民によれば、国家非常事態宣言が解除されるまで連邦兵士はそこに駐屯するのだと言う。同宣言下では、おそらく全国各所でこれと似たような光景が見られるのかもしれない。さて、首都アディスに戻り現地紙に目を通すと、次期首相選出について報じる記事が多く見られた。選出のスケジュールがある程度決まったようである。某現地紙によれば、連立与党EPRDFは、3月1日から3日まで与党協議会(EPRDF Council)を開催し、同協議会において投票で次期首相を選出するという。同協議会には、EPRDFを構成する4党(TPLF、ANDM、OPDO、SEPDM:それぞれティグレ、アムハラ、オロモ、南部諸民族州の民族政党)から各45名が出席し、計180名による投票で次期首相が決められる。有識者らに伺うと、現段階で予見はできないが、アビイェ・アフマド(OPDO)とデメケ・マコネン(ANDM)の二者が有力であるとの見方が強かった。また、TPLFが次期首相候補を党内から選出しなかったため、TPLF党員の票がANDMに流れる可能性があり、その分後者が有利かもしれないと述べていた有識者もいた。報道によれば、今もなお、アムハラ州各所やオロミア州ネケメテなどでは激しい反政府運動が繰り広げられている。次期首相選出時、国内各地の反政府運動がどのように反応を示すのか、しばらくの間は政府および国内各地の動向に注意する必要があるだろう。(エチオピア現地報告はこれを持って終了します。)

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