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今日のアフリカ

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国際社会のルワンダ非難高まる

2024/02/23/Fri

 コンゴ東部でM23の攻撃が激しさを増し、東部の主要都市ゴマに迫る勢いを見せている。これに伴って、欧米各国からルワンダへの非難が高まっている。17日、米国は「ルワンダによって支援されたM23の行動による暴力の悪化」を強く非難。ルワンダに対して、コンゴ東部から、ルワンダ軍兵力と地対空ミサイルシステムを即時撤去するよう求めた。20日、フランスも、コンゴ東部の状況に懸念を表明し、「ルワンダの支援によるM23の攻撃が続いていることを非難」した。ルワンダに対する国際的な批判がこれほど強まったのは、近年にないことである。
 M23の攻撃をめぐっては、様々な方法で解決が模索されてきた。しかし、コンゴのチセケディ大統領とルワンダのカガメ大統領が歩み寄れず、和平への展望は開けていない。16日、AUサミットに合わせて両者の会談がセットされ、アンゴラのロウレンソ大統領がファシリテーターとなって南アフリカのラマポサ大統領、ケニアのルト大統領も参加したが、失敗に終わった(20日付ルモンド)。
 チセケディは、ルワンダがコンゴ東部の鉱物資源を搾取するために戦争を続けているとして、ルワンダは「地域の悪」だと主張した。M23はルワンダによって創設され、操作されるテロリスト集団だとして、「M23と決して交渉しない」とチセケディは繰り返している。
 一方、カガメに言わせれば、コンゴ東部で紛争が30年以上も続くのは、コンゴ政府がルワンダ系住民(特にトゥチ人)の権利と生命の保護に継続的に失敗してきたからだ。M23はコンゴ人の組織であり、トゥチ人コミュニティの防衛のために創設された。したがって、コンゴ人自身がM23の問題を政治的に解決するしかないとの立場である。
 両者の主張はまったく噛み合わず、翌17日に予定されていた会合はキャンセルになった。
 コンゴ東部の反乱勢力にルワンダが支援を続けてきたことは疑いない。最近の国連専門家報告書でも、ルワンダの支援が指摘されている。しかし、その支援は以前に比べればずっと少なくなっている。仮に、ルワンダが全面的に手を引いたとしても、それでM23が活動を停止するかはわからない。ルワンダが主張するように、コンゴ国内では、ルワンダ系住民への差別や煽動が激しさを増しているからである。
 この問題に政治的解決以外の道はなく、コンゴ人自身がそれに真剣に取り組む必要がある。それは、ルワンダがこれまでの介入政策を反省し、真の意味で和平にコミットすることと同様に、必要なことである。
(武内進一)