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今日のアフリカ

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共同宣言をめぐる論争、法廷へ

2025/03/26/Wed

 ナミビアの11の伝統的権威と野党の土地なき人民運動(LPM)は、昨年12月に内閣で承認された植民地期ドイツのジェノサイドに関する共同宣言を無効にして取り消すよう、法的代理人を通じて書簡をナミビア政府へ送った。

 法的代理人であるムロルア・クルツ・カスペル社による説明によると、当事者らは、今週末までに緊急申請という形式で法的措置をとるために、高等裁判所に救済を求めている。書簡の中で、同社のパトリック・カウタ氏は、申請者を代表して、共同宣言は、植民地期ナミビアにおける大量虐殺に関する2006年の議会の決議と矛盾していること、そしてその決議は合法的または適切に撤回されたり、ナミビア政府の行為を許すために変更されたりしていないと主張している。2006年の議会決議では、ナマとヘレロの伝統的指導者らが交渉プロセスの先頭に立つこと、政府は単にプロセスを促進するだけだと説明されていた。

 昨年12月12日付内閣決議では、政府は国際関係協力省による共同宣言への署名を承認し、ドイツとの交渉の終結を告げていた(「今日のアフリカ」、2024年12月31日)。加えて決議では、共同宣言の合意が、被害を受けたコミュニティが居住するとされる7つの特定地域の首長らに提出され、精査され、そののち国会承認のために提出されるように指示されていた。

 25日付のナミビアン・サンの報道では、政府とともに交渉をおこなってきた団体代表のチャールズ・アイセブ氏の見解が紹介されている。同氏は、大臣が特使として7つの特定地域へ派遣され、昨年12月19日にすべての地域で協議が完了し、首長らが著名に賛成したと述べている。

 しかし、ヘレロとナマの伝統的指導者らの各組織(OCAとNTLA)は、今年1月、政府の共同宣言への反発について声明を出していた(「今日のアフリカ」、2025年1月31日)。

 アイセブ氏によると、今月末までにおこなわれる予定だった署名は先月のドイツの大統領選挙とナミビア初代大統領であるサム・ヌヨマ氏の死去により署名が遅れている。そのため、来月4月の第2週にドイツとの最終協議を行う予定という。引き続き、論争に関与するアクターらの動きを注視していく必要があるだろう。(宮本佳和)

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