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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2025年07月

コンゴ政府とM23がカタールで停戦協定に署名

2025/07/20/Sun

 19日、コンゴ政府とM23がカタールで停戦協定に署名した。両者は、コンゴの交渉に向けた原則に合意し、「恒久的な停戦に向けて約束を守る」と宣言した。  同宣言では、包括的和平協定に向けた公式な交渉を近々開始し、東部コンゴにおける国家権限の確立に向けたロードマップの作成を進めるとしている。この和平協定に向けた交渉は、6月末にワシントンで署名されたコンゴとルワンダの和平協定の枠組みに準拠する。両当事者は、遅くとも2025年7月29日までに宣言を実施に移し、8月8日までに直接交渉を開始する(19日付ルモンド)。  この合意については、コンゴ政府はもちろん、米国、ルワンダ、AU、EU、Monuscoなど、関係する政府、国際機関が評価している。  米国とカタールがコミットした和平プロセスが、ここまで進展したことは評価に値する。一方で、今回の署名は、交渉をスタートさせることにコンゴ政府とM23が合意したということである。チセケディ政権がM23との交渉を拒絶していたことを考えれば大きな進展だが、今後どのように合意に至るかはなお不透明と言わざるを得ない。  特に、東部コンゴに国家の権限を確立するという、戦争終結に不可欠なプロセスがどう展開するかが重要である。今年初めの攻勢で、M23は支配領域を大きく広げたが、それはコンゴ政府が求める国家権限の確立と真っ向から対立するだろう。今後の事態の展開を注視したい。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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米国が南スーダン、エスワティニに「不法移民」を移送

2025/07/19/Sat

 7月15日、米国は、エスワティニ(前スワジランド)に対して、ベトナム、ラオス、イエメン、キューバ、ジャマイカの国籍保持者5人を送還した。これらの人々は、本国が引き取りを拒否した「犯罪者」だと、米国側は説明している。  これに先立つ、7月4日、トランプ政権は南スーダンに8人の「不法移民」を送致した。8人のうち南スーダン国籍は1人だけで、残りはミャンマーやキューバの国籍保持者である。  米国では6月に最高裁が、「不法移民」を強制送還する際、出身国が受け入れを拒絶した場合には「第三国」に移送することを認めた。これが南スーダンとエスワティニへの移送につながったのだが、この2ヵ国だけでなく、多くのアフリカ諸国がトランプ政権から「不法移民」の受け入れを持ちかけられている。  7月9日、セネガル、ガボン、モーリタニア、リベリア、ギニアビサウの大統領がホワイトハウスに招かれた。トランプはそれぞれの大統領と面会し、鉱物資源取引を協議したが、ここでも「不法移民」の受け入れについて打診された模様である(10日付ルモンド)。  また、ナイジェリアの外相は、国外追放処分となったベネズエラ人を受け入れるよう、米国から圧力を受けたと認めている(11日付ファイナンシャルタイムズ)。同外相は、既に様々な問題を抱えているナイジェリアにとって、そうした受け入れは困難だと述べた。  こうした動きにアフリカ側から反発の声が上がるのは当然だ。エスワティニの市民社会勢力からは、我々は米国の「ごみ箱」ではない、という批判がでている(17日付ルモンド)。  一連の動きは、トランプ政権がアフリカを必要としていることを意味している。鉱物資源や移民問題などをディールの材料として、米国はアフリカに接近している。援助を大幅に削減したトランプ政権は、アフリカとの関係を切断するのではなく、ディールに基づく別の形での関係を構築しようとしている。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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