コンゴ民主共和国とルワンダ、米国主導の和平協定締結
2025/06/28/Sat
27日、ルワンダとコンゴの外相が、米国の首都ワシントンでルビオ国務長官を間に挟んで着席し、和平協定に調印した。トランプ大統領は、30年にわたるコンゴ東部の戦争を終わらせる素晴らしい協定だ、と成果を強調した。
和平協定の内容は明快だ。両国の領土的一体性はともに守られ、敵対行為はただちに停止される。コンゴはルワンダのフトゥ系武装勢力FDLRを「中立化」(つまり解体)し、ルワンダはコンゴから撤兵してM23への支援を止める。武装勢力は武装解除、動員解除して、コンゴ国軍や警察に統合する、という内容である。
こうした約束はこれまでも繰り返しなされてきた。4000人コンゴ領内にいるというルワンダ軍の撤兵を誰の監視の下でどのように進めるのか、コンゴ国軍が実効的にFDLRを「中立化」できるのか、それ以外の武装勢力をどう扱うのか、などなど、和平協定の実効性に関する疑問は尽きない。
トランプ政権は、そのあたりを気にしていない。コンゴとの間で鉱物資源開発に関する「ディール」を結び、米国企業が投資することで和平が担保されると考えている。
この文脈で、ゴマに近いルバヤ(Rubaya)鉱山に関する「ディール」が報じられている(28日付ファイナンシャルタイムズ)。ルバヤ鉱山は、コンゴのコルタン生産の半分を占めるといわれる巨大埋蔵地だが、その開発をめぐる交渉を行っているコンソーシアムに、トランプ大統領に近いジェントリー・ビーチ(Gentry Beach)氏がトップを務める投資会社America First Globalが含まれているという。関係者は、紛争鉱物問題の代名詞とも言えるこの鉱山を、地域の繁栄の中心地に変えると意気込んでいる。
ルバヤ鉱山は、紛争のなかで様々な武装勢力が支配下に置き、コルタンの密輸によって巨額の富を得てきたところである。今年の初め以来、M23が支配下に置いている。この鉱山で採掘されるコルタンを合法的にルワンダに運び、同国内に精錬所を建設して付加価値を高めて世界市場に輸出するという構想のようだ(28日付FT)。
これは、ルワンダ優位の現状をそのまま永続化させることを意味する。それをコンゴ側(政府およびローカルコミュニティ)が受け入れるだろうか?事はそう簡単でないと考えざるを得ない。(武内進一)
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