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今日のアフリカ

今日のアフリカ

アフリカと国連改革

2023/03/18/Sat

 16日、ブリンケン米国務長官はエチオピアの首都アジスアベバのAU本部を訪問し、ムサ・ファキ・マハマトAU委員長に対して、国連安全保障理事会やG20でアフリカの代表性を高めることへの支持を表明した。
 AUは常々、国連などでアフリカ諸国がより多く代表されるべきだと主張してきた。ブリンケンに対してムサ・ファキは、安保理の議題の6割はアフリカに関するものだと述べた。アジスアベバを訪問中のグテーレス国連事務総長も、「安保理の最大の不公正は、常任理事国にアフリカが含まれていないこと」だと同調した。
 現在アフリカは、国連安保理の非常任理事国に3つの地域枠を持つのみである。国連改革に対するアフリカの立場は、AUが2005年にスワジランド(当時)で採択したエズルウィニ・コンセンサスに示されており、安保理に2つの常任理事国、5つの非常任理事国を得るというものである。
 国連安保理にアフリカを含める方向性は大国の支持を得つつある。ドイツとフランスは早期に支持を表明したし、中国、ロシア、米国も改革の方向性を支持している。とはいえ、その実現が近いとは言い難い。実際に改革が実現されるには、国連総会で可決された後、安保理ですべての常任理事国の支持を得て可決されねばならない。また、アフリカ域内も、ナイジェリア、南アフリカ、エジプトのなかでどれが常任理事国となるのか、コンセンサスは得られていない。
 一方、G20については、早期に改革が進む可能性がある。現在、G20のメンバーに入っているのは、アフリカでは南アフリカだけだが、AUをメンバーに加える方向で調整が進んでいる。今年の議長国インドが前向きの姿勢を示していることもあり、早期に実現する可能性が高まっているという(17日付ルモンド)。
 ウクライナ戦争が勃発して以降、国際秩序のあり方が強く意識されるようになった。この問題に関する国連でのアフリカの投票行動も、既存の国際秩序への不満や疑問を表明したものと考えられる。こうした状況下、国連をはじめとした国際機関の改革がアジェンダに上がっている。アフリカの代表性を高めることに主要国の間で異論がないだけに、その方向性で改革が進む可能性が高い。
(武内進一)