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今日のアフリカ

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仏大統領、キガリ虐殺記念館で演説

2021/05/28/Fri

 27日、マクロン仏大統領がルワンダを訪問し、首都キガリのジェノサイド記念博物館で演説。1994年のジェノサイドにフランスが重大な責任を有することを認めた。明確な謝罪はしなかったが、ルワンダのカガメ大統領はこの演説を「謝罪よりも価値がある」と称賛した。
 マクロンの演説は、ルワンダ語も織り込んだ、格調の高いものだった。内容的には、3月に刊行されたデュクレール報告書に沿っている。というよりも、報告書の刊行に際して、今回の演説まで考慮されていたと考えるべきだろう。実際、報告書の責任者ヴァンサン・デュクレールは、4月9日にキガリを訪問し、カガメと面会している。その際、カガメから、ルワンダのジェノサイドを防ごうと努力したとして報告書の中で言及された人々、特に軍関係者に面会したいとの希望が出され、5月中旬、アフリカ経済復興サミット出席のためにカガメがパリを訪問した機会に、軍関係者との会談が実現した(27日付ルモンド)。それを踏まえての今回のマクロンの訪問と演説であった。マクロン政権は、ルワンダとの関係改善のために、長い時間をかけて、周到に準備をしてきたと言える。
 マクロンの訪問に合わせて、ルドリアン外相もキガリを訪問し、二国間協定を締結した。Covid-19のワクチン10万回分を提供するなどの内容で、地元紙はこちらも大きく報じている(27日付New Times)。
 フランス国内では、政治家が異なる反応を見せた。左派のメランシャン(Jean-Luc Mélenchon)が、「認識を共有する」とマクロン演説を支持する姿勢を見せたのに対して、極右のルペン(Marine Le Pen)は、「誰も満足しない、謝罪の連鎖だ」と批判した。
 ルワンダは、フランスのアフリカ政策にとって、長年の桎梏であった。マクロンのイニシャティブによって、両国の外交関係は改善へと向かった。フランスのアフリカ政策にとって、節目となる演説だと評価できよう。