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今日のアフリカ

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パリでアフリカ経済復興サミット

2021/05/20/Thu

18日、フランス政府はアフリカ経済復興サミットを開催し、パリにアフリカ21か国の元首が集まった。コロナ禍のため、アフリカは四半世紀来の経済不振の只中にあり、特に債務救済の必要性が議論されている。2020年4月のG20で債務サービス停止イニシャティブ(debt service suspension initiative:DSSI)が発表され、債務利子の繰り延べで合意したものの、これには民間債権者が加わっておらず、実効性がないと批判されている。
 現在、2021年に終了する同イニシャティブに代えて、民間部門や中国を交えた債務再編の共通枠組みが議論されている。今回のサミットにも中国副首相がTV会議システムで参加した。アフリカへの積極的な投資、援助の結果、中国はアフリカの幾つかの国で最大の債権国になっている。債務再編の共通枠組み構築への議論に中国を参加させたことは、今回の成果と言える。
 マクロン仏大統領はまた、IMFの特別引き出し権(SDR)の配分を通じたアフリカ支援を訴えている。SDRが提供された場合、ハードカレンシーと交換できるため、債務救済には効果的である。IMFは加盟国に6500億ドルのSDR増額を行うとされるが、出資額に応じた配分となるため、増額分の多くは先進国に回り、アフリカ向けは337億ドル(サハラ以南アフリカ諸国向けに240億ドル)に過ぎない(18日付ルモンド)。マクロンは、先進国が1000億ドル分のSDR新規割り当てをアフリカ向けに再配分するよう訴えた。
 今回のサミットで新たな資金的コミットメントは見られず(19日付ルモンド)、会議が目立った成果を生んだとはいいがたい。民間部門を含めた債務の「共通枠組み」がどの程度機能するか、またマクロンが主張するSDRの再配分に先進国がどの程度応じるのか、今後に持ち越された格好である。