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今日のアフリカ

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ギニア軍、39ヶ月の移行期間を発表

2022/05/03/Tue

 ギニア軍は4月30日、選挙までの移行期間を39ヶ月にすると発表した。ギニアでは昨年9月にクーデタでアルファ・コンデ政権が倒れ、ママドゥ・ドゥンブヤ大佐を首班とする「団結・開発国民評議会」(CNRD)が政権を握る。地域機構の西アフリカ経済共同体(ECOWAS)は、ギニアに対して、民主的選挙に向けた政権移行のロードマップを示すよう繰り返し要求し、4月25日を期限として回答がない場合には制裁を科すと通告していた(3月26日付ルモンド)。
 ECOWASがもともと半年から1年程度の移行期間を求めていたことを考えれば、39ヶ月という期間はあまりに長い。ギニア国内でも、この発表を受けて、主要政党は一斉に反発している。5月1日段階でECOWASは公式の反応を示していないが(5月2日付ルモンド)、制裁へと動く可能性は高いであろう。
 軍部も否定的反応を見越した声明を出している。ECOWASが設定した回答期限が過ぎた26日、軍スポークスマンは、アルファ・コンデ大統領時代の政治的抑圧に対して、ECOWASが具体的な対応を取らなかったことを「自己批判すべきだ」と述べている(5月1日付ルモンド)。
 その一方で軍は、汚職追放を掲げて、前政権の幹部を次々に逮捕している。軍が設置した「経済金融犯罪撲滅法廷」(Cour de répression des infractions économiques et financières (Crief))は、これまでに元首相、元下院議長、元選挙管理委員長などを汚職や資金洗浄の疑いで逮捕した。
 一般大衆の反応は、今のところ曖昧である。アルファ・コンデ政権末期には、強権的な姿勢に対する批判が高まり、大衆は軍のクーデタを事実上支持した。軍としては、汚職追放などを掲げて前政権の腐敗を暴くことで、大衆の支持をつなぎ止めようとしているのであろう。ギニアの状況は、同じく軍部が政権を握るマリ、ブルキナファソとも連動しており、3カ国の動きを並行して観察する必要がある。