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今日のアフリカ

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ギニアのクーデタ続報

2021/09/08/Wed

 ギニアでは、クーデタを挙行した軍部が「団結・開発国民評議会」(Comité National du Rassemblement et du Développement: CNRD)を組織し、新たな統治体制の確立に向けて活動を開始した。もはや権力移行は確実である。西アフリカでは、4月のチャド、5月のマリに続き、軍による政治への介入ということになる。
 クーデタに対しては、即座に国連、AU、ECOWAS、フランスなど、国際社会が非難声明を出した。当然の動きである。一方で、こうした事態に至ったアルファ・コンデ前大統領の責任を問う声も強い。ファイナンシャルタイムズ(FT)紙は、8日付の社説で、自分の都合のよいように憲法を改正し、三選禁止条項を無効にしたコンデは、民主主義の価値を減じることによって今日の状況を招いたと、厳しい意見を述べている。報道も、ギニア国内でクーデタを歓迎する市民が多いことを伝えている。
 新たに権力を握ったドゥンブヤ(Mamady Doumbouya)という人物について、7日付ルモンド紙が経歴などの情報を提供している。彼は特別部隊(Groupement de forces spéciales)のトップで、2018年、その職にコンデ大統領自身の手で任命された。彼は以前フランス軍外人部隊に所属し、軍曹の地位にあった。フランス人の妻を持ち、子供が3人いる。外人部隊に契約通り5年勤め、2011年にいったんコナクリに戻ったが、それからフランスの軍事教練学校(école de guerre)で7年を過ごした。その間、アフガニスタン、ガボン、中央アフリカでフランス軍の活動に従事した経験がある。パリ第2大学(Panthéon-Assas)で「国防・産業動態」の修士号を取得している。
 特別部隊は大統領警護を主要任務としており、そのメンバーの多くは、コンデと同じくマリンケ人であったという。マリンケは、プール(フラニ)人と並んで、ギニアの人口の多くを占めるエスニック集団である。地域やエスニシティに依拠して大統領の安全保障を確保しようとの意図があったのだろうか。それは無意味なことであった。
 6日付FTによれば、CNRDは同日、外国人投資家に向けて、通常通り業務を行うよう要請した。ギニアは世界第二位のボーキサイト生産国であり、世界供給量の4分の1を占め、主に中国とロシアに輸出している。6日、ボーキサイト価格は10年来の最高値を付けた。ドゥンブヤは、鉱山採掘地帯での戒厳令は解除するとし、また輸出向け港湾業務も通常通り行うとして、鉱業生産に政治的影響が及ばないよう、配慮を示した。経済面への影響をなるべく抑えたいという意図の現れてあろう。逆に言えば、経済面で国民の不満が相当強いことを物語っている。最近、アフリカで目立つ政治的混乱が、パンデミックの影響を受けていることは間違いない。