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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2018年08月

中央アフリカとロシア

2018/08/31/Fri

 8月29日付ルモンド紙によれば、セレカとアンチバラカに由来する中央アフリカの武装勢力が、ロシアとスーダンの仲介により、8月28日ハルツームで会談した。もともと武装勢力は、AUの仲介により、27-30日に中央アフリカ西部の街ブワル(Bouar)で会談をすることになっていたが、AU主導の和平交渉よりロシアとスーダンが主導する交渉を選んだ模様である。 ロシアは最近、中央アフリカとの関係を急速に深めている。8月21日には中央アフリカと軍事協力協定を締結し、国軍の養成を担うこととなった。同日付ルモンド紙は、ロシアが今年初めから中央アフリカに5人の軍士官と170人の民間人教官を送り、国連から武器禁輸例外措置を取得した後、国軍に武器を調達したと報じている。また、これらの民間人教官は、近年シリアでも活動している、ロシアの民間軍事企業ワグナー(Wagner)に関わりがあると見られている。7月末には、ロシア人ジャーナリスト3名が中央アフリカで殺害されたが、彼らはワグナーの活動を調査していたとのことである。  中央アフリカは2013年以来、全土で治安が確立できない状況が続いており、その背景の一つとして、大規模にコミットする外部アクターの不在が指摘できる。旧宗主国のフランスでさえ、サンガリス作戦を終結させるなど、軍事面でのコミットに及び腰になっている。こうした中でロシアの積極的な姿勢は注目されるが、そこには武器輸出をはじめとする国益への考慮があるようだ。ロシアという新たなアクターの関与が中央アフリカにどのような影響を与えるのか、注視が必要である。

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南アの土地改革とトランプ氏のツイート

2018/08/24/Fri

 22日、米国のトランプ大統領は「ポンペイオ国務長官に対して、南アの土地・農場の収奪、そして農民の大量虐殺についてよく調査しろと命じたところだ。南ア政府は白人農場の土地を奪っている」とツイートした。これに対して南ア政府は即座に「わが国民の分断だけを意図し、植民地主義の過去を彷彿とさせるこの認識を全面的に拒絶する」とツイートを返した。23日南ア政府は、トランプ大統領の意図について米国大使館を通じて説明を求めることを明らかにした。 24日付ファイナンシャルタイムズ紙によれば、トランプ氏のツイートはフォックスニュースの番組で南アの土地問題が取り上げられた後になされたもので、この番組では、コメンテーター(Tucker Carlson氏)が南アがすでに土地を無償で取り上げられるよう憲法を改正した(実際にはまだ改正していない)と誤った情報を述べ、ラマポサ大統領を「レイシスト」だと発言した。 南アの農場で白人が虐殺されているという主張は、南アの白人ナショナリストグループが繰り広げているものだが、南アの農民組織AgriSAは5月、農場での殺害件数は近年ここ20年間で最低水準にあるとの声明を出している。一方、アフリカーナーの極右グループが組織するAfriforumは、近年米国の「オルト・ライト」の活動家との関係を強化し、SNS上で"WhiteGenocide"ハッシュタグを使って南アに関する議論に参入しているという。Afriforumの指導者Kallie Kriel氏は、トランプ氏のツイートを歓迎し、フォックスニュースのコメンテーターにも謝意を表した。23日、米国国務省スポークスマンは、南アの「補償なしの土地収用」(appropriation without compensation)政策に懸念を表明している。 一方、南アのラマポサ大統領は、23日付のファイナンシャルタイムズ紙に寄稿し、土地改革の正当性と必要性を訴えている。強調しているのは、極端な土地所有の不平等が解消せず、貧困削減が進まないために経済成長が阻害されていること、恣意的な土地所有権の剥奪を防ぐために憲法改正によって土地改革プロセスを透明化すること、未利用地や遺棄された建物、完全に投機目的の所有地など「補償なしの土地収用」ができる条件を明確化することなどで、ランドグラブではないと強く主張している。 フォックスニュースの偏向した報道に基づくトランプ氏のツイートは、結果として南ア政府の取り組みの正当さを宣伝する結果になったように思われる。とはいえ、このツイートを受けて南アの通貨ランドは値を下げたし、ANCが進めようとしている土地改革がきわめてセンシティブな問題であることも事実である。アフリカーナーの極右とEEFのようなポピュリスト政党の間で、ラマポサ政権は難しい舵取りを迫られている。

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モザンビークでメディアに新課税

2018/08/22/Wed

8月21日付ルモンド紙によれば、モザンビーク政府はメディアやジャーナリストに対する新たな課税を決定した。ルポルタージュの認可に1500ユーロ、外国通信社の年間登録料7300ユーロ、国際メディアに協力するモザンビーク人に450ユーロといった具合でかなりの高額。この決定は7月末、広く知られずに閣議で決められ、8月22日以降に有効となる政令で発布された。アムネスティ・インターナショナルは、「ジャーナリストに対する明白な抑圧」だと批判している。新課税の背景として、近く予定されている地方選挙で政権与党のFRELIMOが劣勢であることが理由だとも推測されている。モザンビークでは数年来政府に批判的なジャーナリストへの抑圧が目立っており、3月には首相の息子の生活をTVで批判したジャーナリストが誘拐され、暴行を受ける事件が起こった。モザンビークで近年FRELIMO政権が強権的な姿勢を強めていることは様々な形で報道されているが、今後は報道自体が減少するかもしれない。

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マリ大統領選でIBK勝利

2018/08/17/Fri

8月12日に行われたマリ大統領選挙第2回投票の結果が発表され、予想通り、現職のイブラヒム・ブバカール・ケイタ(IBK)がスマイラ・シセを破って当選した。IBKの得票率は67.17%で、前回(2013年)より10%ほど下がった。投票率は34.54%で、第1回投票の43.06%からさらに下がった。7月30日付本欄でも触れたが、マリの現状には課題が山積している。投票率の低さを人々の政治不信の表れとして懸念する声も多い。16日付ルモンド紙は、IBK当選を受け、マクロン仏大統領が電話で祝意を表したと報じているが、誰もが問題はこれからだと考えていることだろう。

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サミール・アミン死去

2018/08/16/Thu

8月14日付ルモンド紙は、12日にサミール・アミンが死去したと報じた。アミンは1931年カイロ生まれ。父親はエジプト人、母親はフランス人で、双方とも医者であった。幼少期から青年期にかけてエジプト北部、地中海沿岸の街ポートサイードで暮らす。父が貧困層に無償で医療を提供するなど、社会的問題意識の強い家庭に育った。主としてフランスで教育を受け、博士論文『世界的規模での資本蓄積』は1970年に公刊されると、世界的な評価を得た。長くダカールの経済開発・計画アフリカ研究所(IDEP)所長を務める。カルドーソやウォーラーステインらとともに、従属論、世界システム論の代表的な論者。14日のラジオ・フランス・インターナショナルのアフリカ向けニュースでは、彼の死がトップで報じられた。

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カビラ大統領が後継発表(コンゴ民主共和国)

2018/08/09/Thu

 8月8日、大統領選挙立候補者受付最終日に、カビラ大統領は自らの後継を発表。シャダリ(Emmanuel Ramazani Shadary)元内相が与党PPRDの候補者となった。カビラは、2016年末に任期が切れた後も選挙を実施せず、大統領の座に居座り続けた。この間、野党や市民社会、そして国際社会は選挙実施に向けた圧力をかけ続けてきたが、カビラが政権に居座るために何か策を講ずるのではと見られてきただけに、後継者の任命は一定の驚きと歓迎をもって迎えられた。8月8日付ファイナンシャルタイムズは、ヘイリー米国連大使は、カビラが三選に踏み切らなかったことを歓迎するコメントを出したと報じている。 元内相という肩書からわかるように、シャダリはカビラ政権を支えてきたインナー・サークルの一人である。2016年以降、米国やEUはコンゴに選挙実施を促す目的で制裁(ビザ発給停止や資産凍結など)を科してきたが、シャダリも制裁対象者の一人である。カビラとしては、忠実な部下を後継者に選んだと言えよう。 シャダリの他に、ICCから無罪判決を得た元副大統領のベンバ、長年野党を率いて昨年死去したチセケディの息子フェリックス、元国会議長のカメルへなどが大統領選挙への立候補届を提出した。有力者の一人で元カタンガ州知事のカトゥンビは、立候補届提出のために入国しようとしたが当局の妨害で果たせず、期限までに立候補届を提出できなかった。 今後、12月23日の選挙に向けて、選挙管理委員会が立候補資格審査を行うなど、もろもろの準備を進めていくことになる。4か月間、様々な波乱が予想される。

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ベンバのキンシャサ帰還(コンゴ民主共和国)

2018/08/02/Thu

8月1日、国際刑事裁判所(ICC)で無罪判決を受けたベンバ(Jean-Pierre Bemba)が、11年ぶりにキンシャサに帰国した。数千~数万人の支持者が空港からキンシャサ市内への道路を埋め尽くし、ベンバの帰国を迎えた。ベンバは、12月23日に実施が見込まれている大統領選挙への出馬を公言しており、2日にも立候補届を選挙管理委員会に提出したいとしている。その後、彼の故郷赤道州のゲメナに行き、収監中に亡くなった父親(ベンバ・サロアナ)の墓参りをする予定。ICCにおけるベンバの無罪判決については、6月9日付の本欄でも論じたが、予想以上に早いキンシャサ帰還である。 現在、コンゴ政府は、12月23日の選挙実施を否定していないが、かといって積極的に準備を進めているわけでもない。憲法の規定上、この選挙にカビラ現大統領は出馬できないが、政権与党のなかで彼の後任を決める動きは表面化していない。選挙管理委員会(CENI)に政府の息がかかっていることは周知の事実だが、CENIが選挙の準備を熱心に行っているようにも見えない。つまり、選挙の準備が十分になされないまま、選挙日が刻々と近づいている。これから12月23日に向けてどのような政治情勢が展開されるのか、非常に不透明である。

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コモロの憲法改正

2018/08/01/Wed

インド洋の島しょ国コモロで、7月30日に憲法改正レファレンダムが実施された。コモロでは、政情不安が繰り返された反省から、2001年以降、大統領職を3つの主要な島で持ち回りする仕組みが憲法で定められてきた。すなわち、ンガジジャ島(Ngazidja, 旧Grande Comore)、モワリ(Moili, 旧Moheli)、ンズアニ(Ndzouani, 旧Anjouan)の3島から5年毎に大統領を選出し、同じ島から連続して大統領を選出することは認められない仕組みである。7月27日付ルモンド紙によれば、今回の憲法改正では、大統領が二期続けて任期を務めることが可能になるとともに、3ポストあった副大統領職と憲法裁判所が廃止された。現在の大統領はンガジジャ島出身のアザリ(Azali Assoumani)であるが、彼の任期はもともと2021年までだった。憲法改正が承認されたことで、彼は今後10年合法的に大統領職にとどまることができる。今回の憲法改正は、3つの島の間に平等に配分されてきた権力を集権化する方向に改編するものと捉えられる。野党や市民社会は憲法改正に反発し、ボイコットを呼びかけたが、投票率は63.9%であった(7月31日付ルモンド紙)。この投票率をどう評価すべきかはより詳細な検討が必要である。政情不安が繰り返された反省から導入された分権的な制度をより集権的に変更する試みであるだけに、今回の憲法改正が再び政情不安の要因にならないか、率直に言って懸念を覚える。

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