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Africa Today今日のアフリカ

今日のアフリカ

2018年05月

ルワンダ・フランス関係

2018/05/27/Sun

5月23日、マクロン仏大統領はカガメ・ルワンダ大統領をエリゼ宮に招いて会談。また、ムシキワボ・ルワンダ外相を仏語圏国際組織(OIF)の事務局長とすることに支持を表明した。フランスの対ルワンダ外交にとって大きな変化といえる。フランスは1994年のジェノサイドの際にハビャリマナ政権側を支援していたことから、その後内戦を制して政権を握ったRPFとの間でしばしば外交上の緊張を経験してきた。ハビャリマナ大統領搭乗機撃墜事件に関しては、仏司法当局がカガメ側近のRPF幹部を指名手配、拘束し、ルワンダが外交関係を断絶したこともあった。サルコジ政権は関係改善を図ったが、その後もカガメがジェノサイドにおけるフランスの役割を公の場で批判するなど、両国の関係には緊張が続き、現在もフランスはルワンダに大使を任命していない。今回、OIFのトップにルワンダ外相を据える決定は、関係改善に向けたフランスの姿勢を示すことになる。ただし、強権的な政治運営で知られるカガメ政権への接近には、フランス国内でも意見が割れている。今回も会見でマクロン大統領は、すぐに大使を任命する状況ではないと述べている。とはいえ、今回の動きがフランス・ルワンダ間関係にとって大きな変化を象徴することは間違いない。

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ジンバブウェ、コモンウェルスに復帰へ

2018/05/22/Tue

ジンバブウェが着々と国際社会への復帰を進めている。21日、同国はコモンウェルスへの復帰を正式に申請した。旧英領のジンバブウェはもともとコモンウェルスに加盟していたが、2002年の大統領選挙で暴力が行使されたとして無期限の資格停止処分を受け、翌年脱退していた。復帰申請は問題なく認められる見込み。ムナンガグワ大統領はまた、7月に予定されている総選挙に、コモンウェルスが選挙監視団を派遣するよう要請した。ジンバブウェに対しては、先週Standard Chartered Bankがジンバブウェ企業に1億ドルの融資を決定し、英国との雪解けを象徴する事例だと報じられたところである(5月16日付ファイナンシャルタイムズ紙)。当面はこの方向で事態が進むだろう。

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ブルンジの憲法改正レファレンダム

2018/05/19/Sat

5月17日、ブルンジで憲法改正レファレンダムが実施された。改正のポイントは大統領任期を7年2期とするほか、2人あった副大統領職を1人に減らし、実権を与党から選出される首相に移す内容。2000年のアルーシャ協定で定められたエスニックな権力分有は形式上維持されるものの、実質的には死文化することが確実である。ブルンジでは、2015年にンクルンジザ大統領が三選出馬を強行して以来、深刻な政治危機にある。今回のレファレンダムにあたっても、与党CNDD-FDDの幹部から、憲法改正に反対する人は「国民の敵」だとの発言が出たり、与党の民兵が反対者に暴力を振るうなど、数多くの人権侵害が報告されている。レファレンダムの結果、憲法改正が採択されることが予想されるが、これによってブルンジの国際的な孤立はさらに深まるだろう。

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コンゴ民主共和国のエボラ出血熱

2018/05/19/Sat

WHOは、コンゴ民主共和国で発生しているエボラ出血熱について、国際的な公衆衛生上の緊急事態とは言えないとの見解を発表。コンゴでは北西部でエボラ発症が確認され、今週に入って中西部の都市バンダカで患者が確認された。WHOは、今回の発症が十分コントロール可能と判断している。コンゴでは昨年も北東部でエボラが発生したが、迅速な対応で拡大を防いだ。同国にはエボラに対する知見が蓄積されており、この段階で必要以上に騒ぎ立てる必要はないとの判断である。同国保健省はWHOと協力しつつエボラへの対応を住民に呼びかけており、国際社会としても必要に応じた支援を実施しつつ事態の推移を見守る段階と言えよう。

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タンザニア 難民政策の変化

2018/05/11/Fri

5月8日付IRIN配信ニュースによれば、タンザニアが難民政策を変化させている。同国は難民に対して寛容な政策で知られ、ブルンジやDRCなどから多くの難民を受け入れてきた。特にブルンジからは、1972年の大虐殺以降、数十万人の難民が流入したが、耕作地を与えて長期的に受け入れる政策をとってきた。また2007年には、ブルンジ難民に対して、帰国するかタンザニア国籍を取るかを選択させる帰化政策をとり、世界的に注目された。この政策では、難民の8割程度にあたる約20万人がタンザニアへの帰化を選択した。既に17万人にはタンザニアの市民権が与えられたという。しかし、2015年に成立したマグフリ政権の下で、難民政策が変化しているという。2017年以降ブルンジ人難民への国籍付与政策が停止され、2018年1月には、タンザニアは国際的な難民支援の枠組みCRRF(Comprehensive Refugee Response Framework)から離脱した。研究者は、タンザニアは難民支援を続けてきたが、国際社会からそれに見合う支援を受けていないという意識が同国政府関係者に強いと指摘している。実際、2018年1月、UNHCRはタンザニアの難民支援のため資金拠出を各国に求めたが、集まった資金は必要額の5%だけしかなかったという。2015年以降のブルンジ情勢の混乱によって、ブルンジ難民は本国に帰還しにくい状況がある。一方、タンザニアでは、人口増や経済成長、外資流入に伴って、土地不足が顕在化しつつある。難民政策の変化にはこうした背景があると見るべきであろう。アフリカ諸国はこれまで、押しなべて難民に寛容な政策をとる国が多かったが、今後こうした状況が他の国でも起こることだろう。

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コンゴ共和国で前国軍参謀長の裁判

2018/05/11/Fri

7日、ブラザヴィルで前国軍参謀総長のモココ(Jean-Marie Michel Mokoko)に対する裁判が始まった。モココは2016年3月の大統領選挙に出馬し、14%の得票を集めたが、その後国家転覆や武器隠匿の容疑で逮捕された。裁判でモココは黙秘を続けているが、5月8日付の書簡の内容が9日付ルモンド紙で報じられた。そこでモココは、「全体主義のマシーン」に立ち向かって出馬した自分を、独裁者が屈服させようとしている、とサスー=ンゲソ体制を批判している。モココは、1987~1993年に国軍参謀長を務めたが、1993年に有力政治家(リスーバ、コレラ、サスー=ンゲソ)の間で対立が激化した際、話し合いを求める声明を発したことで知られる。その際も、時のリスーバ大統領に疎まれて参謀長を更迭された。その後、内戦を経てサスー=ンゲソが政権を獲得した後は、中央アフリカでPKOを指揮するなど国外勤務が長かった。サスー=ンゲソはモココを国内に置いておきたくなかったのであろう。退役した後、大統領選挙に出馬した後に監禁、逮捕された。サスー=ンゲソ体制の性格を示す裁判として、注目されるべきものである。

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南スーダン反主流派勢力の統合

2018/05/09/Wed

南スーダンにおいて、5月7日、タバン・デン第一副大統領が発表したところ、同氏率いる反主流派勢力(スーダン人民解放運動野党派:SPLM-IO)はスーダン人民解放運動(SPLM)に公式に統合される模様。 タバン第一副大統領によるこの発表は、今月17日にエチオピアで開催予定の「政府間開発機構(IGAD)」(東アフリカの準地域機構)会合に先立つかたちで行われた。先月末には、「キール大統領は辞任すべきだ」というエチオピア前首相の発言がメディアで報じられたが、今般のSPLM統合の決定は、南スーダン政府による主体的な取組みが進行していることを、周辺国や国際社会にアピールする効果を持ちうるものである。また、これが達成されれば、キール政権はより強固なものとなる可能性もある。 この主体的な取組みには、和平に対する前進と評価する向きもある。他方で、この実施プロセスが今後どのような経緯を辿るかについては注意が必要だろう。また、現下の南スーダンで、武力闘争を展開するアクターは多岐に及び、この枠組みに含まれない紛争当事者も少なくないため、和平に向けた努力がなおも必要となることに変わりはない。

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チャドで新憲法採択

2018/05/07/Mon

チャドでは、4月30日に下院で新憲法が採択された。同国では3月下旬に大統領のイニシャティブで「制度改革フォーラム」が開催され、憲法改正が決定された。新憲法では、大統領任期を6年とし、再選のみ可能とすること(現在は任期5年、三選禁止条項なし)、首相職を廃止することなどが決められた。野党側は、憲法改正は下院の議決ではなくレファレンダムによるべきだと主張し、4月30日の採決を多くの野党議員がボイコットしたが、圧倒的多数を占める与党勢力により新憲法が採択された。デビィ現大統領は1990年に武力で政権を握って以来、国家元首の座に座り続けている。2005年には憲法の三選禁止条項を撤廃した。今回の措置は三選禁止条項を再び導入するものだが、これによりデビィは2033年まで大統領職を継続できることになる。事実上現職大統領の任期を延長するための憲法改正は、近年アフリカで目立っており、2015年にはルワンダやコンゴ共和国で同様の憲法改正がなされている(詳しくは、武内進一「アフリカの三選問題」『アフリカレポート』2016年参照)。

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南アフリカ・じん肺で和解

2018/05/04/Fri

南アでは、鉱山労働により珪肺(じん肺の一種)を患ったとして、鉱山企業を相手取った訴訟と交渉が続いていた。BBCなどの報道によれば、5月3日、鉱山会社側と労働者側との間で和解の合意が成立し、約1万人の労働者に対して50億ラント(約4億ドル)の補償を支払うこととなった。既に南ア・アングロ・アメリカン社は前従業員からの訴えを受けて和解しているが、今回は3年以上にわたる交渉の結果、Harmony Gold, Gold Fields, African Rainbow Minerals, Sibanye-Stillwater, AngloGold Ashantiといった有力企業も和解に合意した。企業側は、病気の鉱山労働者や遺族のために40億ラントの補償基金を設立することでも合意したとのことである。じん肺訴訟は日本でも頻繁に起こされている。同様の被害は、当然ながら、鉱業に依存する他のアフリカ諸国でもあるだろう。今回の南アの和解が、他のアフリカ諸国にどのような影響を及ぼすのか注目される。

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