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今日のアフリカ

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チセケディ政権発足から1年

2020/01/26/Sun

コンゴ民主共和国のチセケディ政権は、1月24日、発足から1年を迎えた。カビラ前大統領派との同盟関係の下に発足した同政権は、選挙での明らかな混乱もあって、当初先行きが不安視された。エボラや紛争など東部地域の諸問題は依然深刻だが、最初の1年間は国政を大きな混乱に陥らせることなく乗り切った。キンシャサの外交官の間では、チセケディの功績は国内を落ち着かせたことにあるとの見方が強い(1月23日付ルモンド)。
 19日、UK・アフリカサミットのためにロンドンを訪問したチセケディは、「閣僚が言うことを聞かないときには、解散に踏み切ることもある」と、一般論として議会解散に言及した。これに対して、マブンダ(Jeanine Mabunda)国会議長は、21日、発言を批判するコメントを出した。議会解散は政府と議会との危機が継続する場合の手段として憲法第48条に規定されており、そうした状況では全くない以上、軽々に解散に言及するのは憲法をもてあそぶことに他ならない、という批判である(1月22日付Jeune Afrique記事)。カビラ前大統領の側近であるマブンダ氏からすれば、チセケディに自分の立場をわきまえるよう釘を刺したというところだろう。カビラ派が議会や知事職の多数を占め、国内政治がその論理で動いていることは、1年たっても全く変わらない。
 この間の変化としては、やはり外交面が大きい。チセケディ政権は外交的孤立を脱して欧米など先進国、そしてルワンダ、ウガンダを含む近隣諸国ともよい関係を構築した。内政面での制約は依然厳しいが、変化の兆しもある。選挙公約として掲げた教育無償化が、徐々に実現しつつあるという(1月24日付ルモンド)。コンゴでは、親が教員の給与を一部負担するなど、教育無償化政策の実施が遅れていた。国内政治が安定し、先進国との関係が改善するだけでも、援助が流入し、国民が裨益できる。それ自体は喜ばしいが、その状況がどの程度持続できるかは、やはり国内政治構造に依存する。