ナミビア政府は3月23日、アメリカの実業家イーロン・マスク氏率いるSpaceX社の衛星インターネットサービス事業、Starlink(スターリンク)の同国内展開のための申請を却下したと発表した。
スターリンクは、数千基の低軌道衛星を介して世界中の遠隔地に高速インターネット接続を提供しており、現在、世界150以上の国、アフリカ諸国では約25か国で事業を展開している。
ナミビア通信規制局(CRAN)によると、スターリンクの通信事業ライセンスおよび無線周波数帯域へのアクセス申請があったものの、同社は通信法で定められた6つの基準のうち3つしか満たしていなかったという。同社は、ナミビアの国民または現地企業が少なくとも51%の所有権を有することを義務付ける法定要件を満たしておらず、国家防衛および公共の安全上の理由から、スターリンクの外資所有100%というビジネスモデルが、管轄権および法令遵守義務の履行可能性に関して重大な規制上の懸念を生じさせると述べている(3月24日付BBC、25日付ナミビアン、APA、ウィントフック・オブザーバー)。
CRANの発表を受け、イライジャ・ングラレ首相は、外国投資家はナミビアの51%の現地資本比率要件を遵守しなければならないと主張し、「我が国に来る者は誰であれ、我が国の法律を遵守しなければならない。個人が権力を持っているからといって、法律を曲げることはできない」と加えている(25日付ナミビアン)。
隣国、南アフリカに目を向けてみると、スターリンクは同国でもライセンス取得に失敗しており、参入を阻むのは所有権に関する同国の規制であった。南アフリカでは、アパルトヘイト政策下で不利な立場におかれていた黒人への経済活動をうながす、黒人経済力強化政策(BEE)がとられている。この政策には、投資家に対し、南アフリカ国内の黒人企業に事業の30%の株式を付与することを義務付ける法律の制定も含まれている。
24日付BBCによると、昨年、マスク氏はソーシャルメディアへの投稿で、「私が黒人ではないというだけの理由で、南アフリカでの事業展開を認められなかった」と主張し、BEEが外国投資の障壁となっているとして、同政策を強く批判したという。
ナミビアに話を戻すと、同国は1884年から1915年までドイツの植民地支配を受け、その後1990年に独立するまで南アフリカの委任統治下にあり、アパルトヘイト体制が敷かれていた。独立後は、企業における地元資本の拡大とこれまで不利益を被ってきた人びとの経済的自立を支援することを目指す政策、新公平経済エンパワメントフレームワーク(NEEEF)がとられているが、今回焦点となっている通信法との関連は言明されていない。NEEEFはナミビア版BEEとも言われるが、NEEEFの支援対象は、黒人だけでなく、女性や障害者なども含む。
CRANは、決定はまだ再検討される可能性があると述べており、「自らの判断、または訴訟手続きにおける不服のある当事者からの申し立てに基づき、本通知から90日以内に、下した命令または決定を再検討することができる」として、猶予をのこしている(24日付BBC)。今後、どのような動きがスターリンク側からあるのか、引き続き注視する必要があるだろう。(宮本佳和)
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