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今日のアフリカ

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クーデタ政権への制裁解除の動き

2024/03/23/Sat

 クーデタで成立したアフリカ諸国の軍事政権に対して、地域機構が制裁を解除する動きが広がっている。
 2月24日、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はナイジェリアのアブジャで臨時会合を開き、ニジェールに対する制裁解除を決めた。25日には、マリとギニアへの制裁解除を発表した。また、中部アフリカ諸国経済共同体(CEEAC)は、3月9日、赤道ギニアのマレボで第24回定例サミットを開催し、ガボンに対する制裁解除を決めた。
 昨年7月ニジェールで軍事政権が誕生した際、ECOWASは軍事介入を示唆するなど強硬な対応を取った。半年以上が過ぎ、バズーム大統領の解放もなされないなかで、手詰まり感が広がっていた。ECOWAS議長国のナイジェリアは、ニジェールと長い国境線を共有しており、経済活動の影響を最も顕著に被る立場にある。事態が動かない以上、対応を変えるより仕方ないとの判断があったのだろう。
 ガボンについては、少し事情が異なる。8月に誕生したオリギ=ンゲマ軍事政権は、それ以来活発に近隣諸国を訪問し、自国の立場を説明していた。クーデタで倒されたアリ・ボンゴ前政権の評判が悪かったため、周辺国も関係改善に動いたと思われる。隣国コンゴ共和国(首都ブラザヴィル)は典型的な例である。
 同国のサス=ンゲソ大統領は、娘のエディットをアリ・ボンゴの父オマールに嫁がせた。エディットは病気で2009年に亡くなり、同じ年にオマールも死去した。その後、遺産相続も絡んで、アリ・ボンゴとサス=ンゲソの関係が悪化していた。オリギ=ンゲマは、報道されているだけでも昨年10月、今年3月にコンゴ共和国を訪問し、エディットの墓参りをした。サス=ンゲソとしても、ガボンの新政権との関係改善を望んでいたのである。
(武内進一)