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今日のアフリカ

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マリ軍事政権に大規模な攻撃

2026/04/29/Wed

 軍事政権が支配し、ロシアと密接な関係を結んできた西アフリカのマリで、25~26日にかけて反政府武装勢力が主要都市に攻撃を仕掛け、甚大な被害を与えた。政権幹部が死亡し、北部のキダルは反政府勢力に制圧された。この事件は、マリをめぐる内外の政治情勢に大きな影響を与えるであろう。

 ルモンド紙の報道によれば、25日、マリのジハディスト勢力(GSIM/JNIM)とトゥアレグ人武装勢力(FLA)が、首都バマコ、国軍参謀本部が置かれたカティ、北部キダル、ガオ、中部セヴァレなど主要都市を一斉に攻撃した。カティに対する自爆攻撃によって、軍事政権No.2のカマラ(Sadio Camara)国防相が死亡した。また、軍事政権がロシアの支援を受けて2023年11月に制圧したキダルは、再びトゥアレグ人武装勢力の支配下に戻った。

 今回の事件の全容はなお不明だが、はっきりしているのは、マリ軍事政権がロシアとの間で進めてきた治安対策が十分な効果を上げなかったということである。2020年のクーデタで政権を握ったマリ軍部は、特に2021年5月にゴイタ(Assimi Goita)が二度目のクーデタで権力を掌握して以来、フランス軍や国連平和維持部隊を撤収させ、ロシアに接近して、その準軍事組織(当初はワグネル、後に「アフリカ部隊」)の兵士を国内に展開させてきた。今回の甚大な被害は、ロシアに依存した治安対策が十分な効果を生んでいないことを明確に示している。

 キダルの制圧にあたって、GSIMとFLAはロシアの「アフリカ部隊」と協定を結び、その撤退を秩序だって行わせた。反政府勢力は、自分たちが交渉可能なアクターであると内外に示そうとしているようだ。この協定は、アルジェリアの仲介で行われたという(28日付ルモンド)。ここ数年マリとの関係が悪く、サヘル諸国ともギクシャクしてきたアルジェリアが、この地域に強い影響力を持つアクターとして復帰してきたことを印象づける。

 GSIMは首都バマコへの包囲網を続けると表明した。軍事政権への圧力はさらに強まるであろう。現在、国内で政治組織は活動を禁止されており、反軍事政権の動きがすぐに首都で活発化することは考えにくい。また、GSIMによるバマコ制圧は、アルジェリアを含めて地域各国が避けたいシナリオである。このように、軍事政権が当面存続する条件もある。周辺国も、フランスも、状況の推移を慎重に見守っているというところだろう。(武内進一)

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