コンゴ民主共和国東部から、大量のルワンダ人が本国に移送されている。21日付ルモンド紙によれば、5月10日以来、ルワンダ政府は大規模な帰還作戦を行い、その数は2000人を超えた。このオペレーションは、UNHCRと反政府武装勢力のAFC/M23とが協力して行い、ルワンダ政府が支援している。
M23は、コンゴ東部に「不法に滞在しているルワンダ人」を本国に帰還させていると主張している。帰還の対象になっているのは、コンゴ東部で活動するルワンダの反政府武装勢力FLDR関係者と目された人々で、フトゥ人である。FDLRの源流は、1994年にルワンダ内戦で敗れた旧ハビャリマナ政権支持者で、ジェノサイドに加担した人々も含まれる。
AFC/M23は、人々が自発的にルワンダに戻っていると主張する。帰還に際して、同意書に署名しているようだ。しかし、UNHCRの地域スポークスマンは、「帰還は完全に自発的というわけではない」と認めている。
この帰還作戦は、ルワンダ政府の明確な意図に基づくとみられる。同政府は、機会あるごとに、コンゴ東部における「FDLRの脅威」を強調してきた。M23がゴマ、ブカヴをはじめとする東部を支配したタイミングで、FDLRの弱体化を狙って、関係があると見られる人々を送還しているのであろう。UNHCR職員は、「帰還のスピード、ルワンダのトランジットセンターに運ばれるやり方」に懸念を示したと報じられているが(21日付ルモンド)、帰還した人々はイデオロギー教育の対象となる。
この帰還作戦もまた、東部コンゴの勢力図が塗りかわり、M23、AFC、そしてルワンダ政府の影響力が支配的になったことを示している。(武内進一)
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